もくじ
臨床心理士
資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト
冷えは万病の元と言われる理由
皆さんは「冷えは万病の元」ということわざを聴いたことがありますか?
冷えはさまざまな病気の原因となります。まずは、どんな症状が出現するのか、どのような病気にかかりやすいのかをご紹介しますね。
免疫力が低下しやすくなる
私たちの体は冷えると免疫力が低下しやすくなります。
免疫力とは、病気を引き起こす原因から身体を守る機能です。
生きている限り私たちは、あらゆる有害な物質などに意図せず触れることがあります。しかし免疫力が高いと、外部からの菌の侵入を防ぎやすくなり、病気になりにくい体を作れるのです。
一方、冷えを体質や季節の影響と捉えて対処せず、耐え続けていると、強くなるどころか体に悪影響を及ぼします。
冷えは放っておくと、倦怠感が生じやすくなったり、不眠や関節痛の症状が出ることもあります。また、女性であれば生理不順などにもなりやすく、肌の乾燥や抜け毛などに悩む人も増えるそうです。
冷えから身を守り、免疫力を高めていきましょう。
さまざまな病気にかかりやすくなる
冷えている状態を放っておくと、次のような症状を引き起こし、病気にかかりやすくなるといわれています。
・頭痛、腰痛などの痛み
・便秘、下痢
・不眠
・倦怠感、やる気の低下
・イライラする
・肥満
・肌のくすみ、たるみ、乾燥
・むくみ
・ほてり
・低血圧
・貧血 など
・膠原病
・甲状腺機能低下症
・消化器系の病気
・月経不順
・自律神経失調症 など
このように、冷えはさまざまな症状や病気の原因となるので、放っておかずに温活することが大切になります。
冷え症さん必見!温活方法5選
「冷え性」と「冷え症」という言葉がありますが、ここでは東洋医学の考え方である「冷え症」に統一します。(※)
冷え性の女性におすすめの温活方法は以下の5つです。
②三首を冷やさない
③毎日湯船に入る
④適度な運動を心がける
⑤食生活を見直す
内側と外側の両方のアプローチが大切ですが、まずはできるところからやってみましょう!
※
冷え症・・・東洋医学の考え方で、治療対象であると捉えています。
冷え性・・・西洋医学の考え方で、病気ではなく体質と捉え「冷え性だけなら」治療対象外とされています。
温活方法①朝ご飯を食べる
冷えにくい体をつくるためには、食事が重要です。
特に朝食は一日のスタートを切るために欠かせないもの。朝食をとると体温を引き上げてくれるので、体を温める朝食を意識してみましょう。
たとえば、次のような食事がおすすめです。
筋肉量を増やすための「たんぱく質」+エネルギー源となり体温を保つ「糖質」を組み合わせたメニュー
・動物性たんぱく質
動物性たんぱく質には、体内で合成できない必須アミノ酸が含まれています。たとえば、肉類(豚や鶏肉など)や魚類(さば、まあじ、鮭、ぶりなど)、乳製品(低脂肪乳、目玉焼き、普通牛乳、ゆで卵、チーズなど)が該当します。
動物性のみは脂質の過剰摂取になる場合があるため、バランスをとる役割を果たします。たとえば、豆類(納豆、大豆、豆腐など)や穀類(そば、とうもろこしなど)、野菜(ブロッコリー、枝豆など)、果物(バナナ、アボカドなど)が該当します。
摂りすぎには要注意ですが、エネルギー源としては必要なものです。たとえば、穀類やイモ類(イモ類を原料とした乾燥春雨も含む)、野菜類(かぼちゃ、たまねぎ、レンコンなど)、果物(日本梨、柿、りんごなど)が該当します。
朝食を食べるなら、たんぱく質と糖質を意識してみましょう!ただし、糖質の取りすぎはご注意ください。
温活方法②三首を冷やさない
三首とは、「首」「手首」「足首」のことです。首回りの皮膚はほかの部分と異なり薄いため、冷えの影響を受けやすい箇所となっています。
「首」はマフラーやタートルネック、「手首」は手袋や長袖をきちんと着る、「足首」は靴下やレッグウォーマーなどがおすすめ。夏もクーラーが直接当たらないように座り位置やストール、ひざ掛けなどで対応してみてくださいね。
温活方法③毎日湯船に入る
シャワー浴は、冷えや低体温の原因となります。
1日の体の疲れのリセットと温活として、湯船につかりましょう。
おすすめの温度は少しぬるめの38~40℃です。長風呂する必要はなく、15分くらいを目安にしましょう。
ほかにも、サウナのような感覚になれる反復浴や温冷交互浴もおすすめです。
ただし、冬場は特にヒートショックに注意してください。浴室と脱衣所の温度差を減らすために、暖房器具を脱衣所に用意したりバスローブを羽織ったりしましょう。
温活方法④適度な運動を心がける
日本人の平均温度は低いといわれています。その原因の1つが、運動不足による筋肉量の低下。
皆さんは毎日どのくらい運動していますか?
東洋医学の視点からは、冬は汗をかくほどの運動は推奨されていませんが(一部体質にもよる)、体を動かすことは冷えから身を守るために重要です。
特に温活では、有酸素運動を長く継続することが効果的といわれています。
ジョギング
ウォーキング
サイクリング
ダンス
水泳
ピラティス
ヨガ(プログラムによっては無酸素運動)
筆者も継続してマシンピラティスに通っておりますが、姿勢改善やインナーマッスルへの効果だけではなく、平熱が上がったことや冷えにくくなったことも実感しています。(個人差はあります)
東京都保健医療局によれば、18~64歳の方の運動量の目安は「息が弾み、汗をかく程度」を一週間で60分、毎週続けることとなっています。一度に60分ではなく合計なので、自分のできるペースでやっていきましょう!
温活方法⑤食生活を見直す
食材には「体を温めるもの」と「体を冷やすもの」があるといわれ、東洋医学の視点では「平(へい)」という真ん中の役割もあるとされています。
温活で取り入れたい食事は、「体を温めるもの」「平(へい)」を積極的にとり、「体を冷やすもの」を適度な量にすること。例えば、このような食材がおすすめです。
(東洋医学の「温性」に当てはまる食材)
・鮭
・シソ
・ショウガ
・たまねぎ、ネギ
・エビ
・かぼちゃ
・くるみ
・黒糖
・コショウ
ただし、温める食材を多く取ればいいわけではありません。なるべくバランスを意識してみてくださいね。
・イカ
・キャベツ
・玄米、黒米
・シイタケ
・じゃがいも
・卵黄(※)
※卵白は体を冷やす食材のため、ビタミンBは熱に弱いですが冷え症さんは過熱がおすすめです。
温活の意味がなくなる冷えやすい4つの習慣
温活方法を紹介しましたが、いくら温活を取り入れても冷えてしまう人がいます。
冷えやすい人がやりがちな生活習慣を4つ集めてみました。
①運動不足
②冷たい食事
③ストレスをためている
④シャワー浴が多い
つい自分もやってしまっていないか、確認しながら読んでみましょう!
冷えやすい習慣①運動不足
温活方法で紹介した通り、運動不足は冷えの原因となりやすいです。
特に筋肉量の低下したり、血行不良となったり、自律神経の乱れることは冷えやすい体質のきっかけとなります。運動は軽いもので大丈夫ですので、適度に体を動かすようにしましょう。
また、仕事で長時間同じ姿勢になることが多い人は、適度に体をひねる、伸ばすなどで体をほぐしてあげてくださいね。
冷えやすい習慣②冷たい食事
「冷たい食事」と聞いてどんなメニューをイメージしますか?
・アイス
・炭酸飲料
・果物
・氷を使ったもの(「冷やしうどん」など)
・ビール
一般的に夏に食べたくなるもののイメージが大きいと思います。
しかし、このほかにも先ほど温活方法で紹介したように、食べ物には「冷えやすくする食材」があるのです。特に生野菜や夏野菜、果物には要注意。
加熱できるものは熱して食べるなど、工夫してみてください。
上記のものたちも摂りすぎている人は気を付けつつ、体を冷やす食事のとりすぎに注意しましょう。
冷えやすい習慣③ストレスをためている
ストレスはさまざまな症状のきっかけとなります。
「ストレス冷え」とも呼ばれ、自律神経の乱れが起きている状態の可能性もあるのです。
ストレス冷えの場合、ここまで紹介した食事や運動などの習慣を変えることである程度対策できますが、ストレスそのものをためにくくする工夫も大事だと臨床心理士である筆者は感じています。
私たちが甘いものや冷たいものを食べたくなるときは、ストレスがたまっていることが多いといわれますが、心当たりはありますか?
甘いものが食べたくなるときは「三大栄養素(たんぱく質、脂質、糖質)」が不足、冷たいものが食べたいときは「鉄分不足」といわれています。どちらも食生活がおろそかになっているとき、出現する欲求です。
また、仕事や家事などで忙しいと運動する気力がわかなくなることもありますよね。ストレスは、ネガティブなことだけではなく日々の積み重ねや「忙しさ」「お祝い事」などでも生じる反応なのです。
ストレスをためにくい生活を心がけることで、体を冷やす原因から離れられるだけでなく、心の病気の予防もできるようになりますよ。
冷えやすい習慣④シャワー浴が多い
疲れているときこそ湯船につかるほうがいいのですが、ついついシャワー浴になっていませんか?
「お湯をためるのが面倒…」
「毎回浴槽を洗う気力ない…」
「長い時間入ってられない」
近年は"風呂キャンセル界隈"と名乗る人も増えていて、そもそもシャワーも入らない人もいるようですが、面倒くさくなることは誰にでもあると思います。
ただ、疲労回復や温活のことを考えると10分でもお風呂に入った方が心と体のためにはなるのです。
入浴準備は面倒だと思いますが、明日以降の自分のためにもできる範囲で湯船につかることをおすすめします。
温活は生理痛を和らげる効果も期待できる
「冷え」は生理痛を悪化させる大敵です。
冷え症傾向の女性に生理痛の方は多く、PMSで悩んでいる女性は冷え症を合併していることが多いという研究報告もあります。
生理痛を和らげるには、生理の時期になってから薬を飲んだり温めるだけでなく、日頃から体の深部を温めるのが効果的です。
特に子宮と卵巣の冷えが女性の大敵となるため、おへそや腰、仙骨周辺を温めるようにしましょう。
カイロなどを貼るだけでなく、血流促進のために筋肉をつける運動もおすすめです。たとえばジョギングや筋トレなどがいいでしょう。あとは骨盤底筋トレーニングも、女性の体を守るために必要な運動といわれています。
温活を取り入れて冷え症さんを卒業しよう
東洋医学では、冷えは未病(病気にかかる前のサイン)と呼ばれています。
未病である冷えやすい段階から温活を行い、長年冷え症の状態である人は漢方薬なども併用しながら、大きな病気を防いでいきましょう。
自分の体は自分自身である程度改善できますが、限界もあります。無理をせず専門家なども頼りながら、過ごしやすい体を手に入れてくださいね。
参考文献リスト
「若年女性の冷え症ならびに月経随伴症状への自律神経活動度の関わり」(2012).三浦史子ほか 神大院保健紀要
「冷え症の生理学的メカニズムについて ─健常成人男女の自律神経活動と熱産生による検討─」(2022).福岡知子ほか 日本臨床生理学会雑誌
温活検定公式テキスト 冷え知らず先生が教える温活百科(2022).青木満ほか 一般社団法人 日本温活協会監修
漢方養生指導士テキスト「漢方基礎講座1」「養生総論」 薬日本堂漢方スクール監修
食品成分データベース
健康ぷらざNo.525『冷えは万病のもと』|日本医師会
冷え | 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ|厚生労働省研究班監修