【心理士監修】恋愛依存は克服できる?治し方・なりやすい女性の特徴

「好きな人とずっと一緒にいたい」という気持ちは自然なもの。しかし、何よりも彼氏を優先したり、連絡がないと不安でいっぱいになったり、頭のなかが彼中心になりすぎてしまう場合は恋愛依存の可能性が考えられます。恋愛依存になると、恋人との関係が悪い方向に行きがちとなり、ますます恋愛や男性に対して不安や不信感が生まれるかもしれません。悪循環を断ち切るためにも、恋愛依存は克服できる方がいいでしょう。今回は臨床心理士が恋愛依存の特徴と克服方法を解説します。

監修者
いけや さき
臨床心理士
心理学系大学院修士課程修了後、精神科病院や心療内科クリニック、療育施設などに従事。 「よりカウンセリングとセルフケアを身近に」という思いから、2020年にフリーの臨床心理士としてオンラインプラットフォームや個人サイトを通してオンラインカウンセリングを開始。主に20~40代女性のカウンセリングを担当。現在は女性が生きやすい世の中を目指し、ライターとしても情報提供を行っている。

資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト

恋愛依存とは?治し方の前に知っておきたいこと

恋愛依存という言葉はよく聞きますが、一体どんな状態や特徴があるのでしょうか。

治し方を実践していくためには、特徴や自分に当てはまるものをわかっておく必要があります。

恋愛依存の症状・特徴

恋愛依存とは、恋愛が生活の中心になっている状態です。

恋人との時間を大切にしたり、会える日を嬉しいと感じることは自然ですが、恋人のことが常に頭のなかにある状態は「恋愛依存」。

たとえば、以下の特徴のなかに当てはまるものはありますか?

・なによりも彼氏を優先する
・連絡がないと不安になる
・恋人のちょっとした言動に一喜一憂する
・ネガティブな思い込みで彼氏を疑う
・相手の行動を制限したり、束縛する
・必要以上に彼氏に尽くす
・嫌われるかもしれないと不安になる

このような特徴があると、恋愛依存の可能性が考えられます。

「恋愛依存症」という病名はない

医学的には「恋愛依存」という病名はありません。

診断名はありませんが、彼氏に対して過度な言動や不安感が存在している状態を一般的には「恋愛依存」といいます。

医療的に依存症とは「アルコール依存」「薬物依存」「ギャンブル依存」の3種類があり、やめたくてもやめられず、問題の否定や周囲を巻き込む病気です。恋愛依存は依存症ではありませんが、恋愛依存の人がなりやすい病気は存在します。

恋愛依存の人がなりやすい病気

恋愛依存自体は病名ではないですが、恋愛依存になりやすい人が患わりやすい病気があります。

<恋愛依存の人がなりやすい病気>
・パーソナリティ障害
・愛着障害
・不安障害
・強迫的性行動症

「恋愛依存=病気」ではありませんが、自分でコントロールが難しい人や苦しみが深い人は当てはまっているものもあるかもしれません。

パーソナリティ障害

パーソナリティ障害とは、ほかの人と違う反応や行動で自分が苦しくなったり、周囲が困ったりする状態。

10種類ほどありますが、恋愛依存の人は次の2つが当てはまりやすいです。

・境界性パーソナリティ障害
・依存性パーソナリティ障害

まず、境界性パーソナリティ障害とは気分の波が激しく、感情が不安定になりやすい症状を持ちます。そのほかに「見捨てられることへの強い恐怖心」「感情がコントロールできず些細なことで怒ったり、傷つきやすい」などの特徴もある人格障害。

次に依存性パーソナリティ障害は、他人に過度に依存し、自分で決定することや一人で行動することが困難な症状を持ちます。自立心が低く、強い承認欲求を持っていて日常生活に支障をきたしていることが特徴的です。

愛着障害

乳幼児期に養育者(父・母など)と愛着関係が上手く気づけなかったことで、人間関係に支障をきたしている状態。

人に対して過度な警戒心を持っている症状と、過度になれなれしくなる症状の2種類があります。

基本的には5歳以前に発症していると考えられますが、子どもの頃に治療されず大人になって「恋愛関係」でその症状が強く出現してから気づく人も多いです。

不安障害

不安が過度なものとなり、日常生活に支障をきたしている状態。

心配や不安自体は自然なものですが、過剰に感じている状態は不安障害かもしれません。パニック障害や社交不安障害、強迫性障害、全般性不安障害が不安障害に分類されます。

強迫的性行動症

ICD-11という世界的な疾患基準に「強迫的性行動症」が追加されました。

強迫的性行動症は、性行為にのめりこんだり、性行為によって望ましくない結果に何度も遭遇しても続けてしまう状態のこと。いわゆるセックス依存です。

性行為自体を好んだり、求めたりすることは自然ですが、性行為に対する過度な依存は強迫的性行動症となります。

恋愛依存になりやすい女性の特徴8選

恋愛依存は、恋愛が生活の中心である状と解説しましたが、恋愛依存になりやすい女性には特徴があります。

特徴①生活が彼氏中心となる

彼氏が途切れない女性や、彼氏がいるときといないときで生活が変わりやすい女性は恋愛依存になりやすいでしょう。

たとえば、彼氏ができると趣味の時間を削ったり、友人と会う頻度が極端に減ったりする人は生活が彼氏中心となっているかもしれません。

特徴②連絡がないと「不安」になる

彼氏からしばらく連絡がこなくて「心配」する女性と「不安」になる女性は異なります。

心配する女性は、連絡がなくても気にしない人もいれば「忙しいのかも」「体調不良かかもしれない」「なにかあったのかな」と気になっても連絡が来れば「何もなくてよかった」と感じます。

不安になる女性は、「誰かと会っているのか」「私のことなんてどうでもいいのか」「嫌われたのではないか」と考え、何度も連絡したり、連絡の内容も相手を責めるものが多く、連絡が来ても納得するまで彼に詰め寄ることがあります。

特徴③友達よりも彼氏を優先しがち

特徴①と似ていますが、「彼氏がいればいい」と考えやすくなる女性がこの特徴に当てはまります。

休みの日がわかったら、友人との予定の前に真っ先に彼氏に連絡をしたり、友人と約束していても彼氏に誘われたら友人を断ったりする人もいるようです。

特徴④自分に自信がない・劣等感がある

過去の人間関係(親子、友人、恋人)から、自信をなくしている女性も恋愛依存になりやすいでしょう。

自分に自信のない人は、他人の評価で自分の価値を決める傾向があります。愛情を与えてくれる相手に依存しやすく、相手に嫌われないように必要以上に尽くしたり、同じくらいもしくは自分以上の愛情を彼に求めることも。

自信がない、劣等感がある女性は人に依存しやすい傾向があるので、自分のためにも改善していけるといいですね。

特徴⑤彼氏を束縛しようとする

連絡や会う頻度を自分基準で求めたり、相手の交友関係や休日をコントロールしたい傾向のある女性も恋愛依存になりやすいです。

この特徴がある人は、自分がされたら嫌がる女性もいれば、自分がされることは平気な女性もいます。

前者は相手を思い通りにしたい気持ちが強く、恋人からの愛情は求めるけど、自分自身は愛情表現が苦手な女性が多いかもしれません。後者は、過去の人間関係の影響から束縛し合うことが当たり前の環境である可能性や自己犠牲的な人が多いと考えられます。

特徴⑥復縁を強く願ったことがある

復縁を願うこと自体が恋愛依存ではありません。「強く願う」というのがポイント。

たとえば「強く願う」には以下の特徴があります。

・占い師に頼んで彼の気持ちを知ろうとする
・失恋した現実を認められず、何度も彼に連絡してしまう
・復縁に執着しすぎて仕事が手につかなくなる
・関係を切らなければ、いずれ戻れると信じている

ただし、彼女側だけの問題ではなく、元カレが中途半端に関係を続けているケースもあります。自分の場合はどうか冷静に考えてみましょう。

特徴⑦周りに「別れた方がいいよ」といわれる

周囲に応援されない恋愛をしがちな女性も恋愛依存になりやすいでしょう。

周囲と自分の価値観が異なる場合もあるので、一概に「別れた方がいいよ」といわれたから恋愛依存というわけではありません。

たとえば「別れた方がいい」といわれて、自分でも「そうだよな」と思っても離れられなかったり、自分しか彼を支えられないと思う場合は共依存という関係になっているかもしれません。

特徴⑧好きと執着がわからなくなっている

好きと執着の違いをみなさんはご存知でしょうか。

好き
  • 相手のことを思っている状態で、その気持ちが温かい
  • 恋人といるときの自分も、普段の自分も好き
  • 離れていても不安ではない
  • 彼氏が求める幸せも自分の幸せも願うことができる
執着
  • 相手に見返りを求めている
  • 相手を思うほどつらくなる、悲しくなる
  • 恋人に肯定してもらえないと不安になる
  • 彼氏に振り回されているのに離れられない

また、相手に離れられたら困るという気持ちや不安から結婚を急ぎすぎる女性もいます。恋は盲目といいますが、恋人への想いが「好き」と「執着」のどちらなのか、一度落ち着いて考えてみませんか? 

恋愛依存の治し方・克服方法

恋愛依存は克服できます。しかし、傷が深かったり、依存期間が長かったり、ネガティブな思い込みが強いほど時間がかかるものです。時間がかかると理解したうえで、あきらめずにこれから紹介する治し方を実践すれば、きっと克服できるでしょう。

治し方①自分のことを受け入れる

あなたは自分のことが好きですか?長所も短所も受け入れていますか?

恋愛依存になりやすい人は、自分を認められず、相手に認めてほしいと思いがち。自分を認めることが恋愛依存克服の一歩です。

治し方②マイナスな影響がないものに没頭する

恋愛依存になりやすい女性は、趣味がない人や日々の生活で楽しめているものが少ない傾向があります。

一方で、人によっては趣味やストレス発散方法にものめり込みやすい人もいるかもしれません。

そこで重要なのが「マイナスな影響がないこと」に没頭すること。例えばお酒や暴飲暴食は、ハマると身体に悪影響を及ぼしますよね。散財してしまいそうになる趣味も没頭しすぎは危険です。

健康度の高いこと、たとえば運動などにハマるのはどうでしょうか?

ヨガやピラティスは、身体とメンタルにいい影響を与えるものの1つですよ。

治し方③自分の軸を見つける

自分の軸とは、他人に左右されずに持っている信念や価値観のこと。

たとえば、あなたは夏になるとフェスに行くのが趣味だとします。しかし新しい恋人はフェス嫌いだったときの行動で考えてみましょう。

フェスに行くのを簡単に辞めたり、彼の趣味のみに合わせる女性は「自分の軸がない」

一人もしくは友人とフェスに行こうとする女性は「自分の軸がある」

自分の軸がないと感じた人は、断る勇気や自分の価値観を押し付けずに伝える姿勢を持ちましょう。

治し方④カウンセリングを活用する

今回紹介した病気まではいかなくても、恋愛依存を繰り返してしまっている女性はカウンセリングがおすすめ

恋愛依存の原因の1つは認知の偏りです。カウンセリングでは、認知の偏りを修正するために認知行動療法を行ったり、吐き出すことによる浄化や考え方の根本となるものの整理します。

また、病気の可能性がある人は病院で治療することも検討しましょう。依存症は皆さんが思っている以上に1人で抜け出すのは大変です。支援者・治療者を適切に頼ることは依存ではありませんよ。

治し方⑤彼氏と距離を適度な距離をとる

今恋人がいる女性は、一度彼氏と距離を取ってもいいかもしれないですね。

恋愛依存になりやすい人は、恋人中心の生活が通常かつ幸せと捉えがち。

毎日のようにLINEや電話をすることがダメとは思いません。しかし、思い切って離れてみて、客観的に2人の関係を見たり、自分を大切にする時間をつくってみると新たな気づきが生まれるでしょう。

恋愛依存の治し方を実践して、自分なりの幸せをつかもう

人を好きになると、まるで自分が自分ではないような状態になることってありますよね。

彼氏・彼女という関係は、家族や友人では得られないさまざまなものが得られます。だからこそ、のめり込んでしまうとほかでは代わりが効かなくなることも。

この記事を最後まで読んだみなさんなら、恋愛依存の治し方を実践する覚悟が読む前よりもでき始めているはずです。

自分の可能性を信じ、自分の軸を見つけて、自分なりの幸せをつかみましょう。

参考
岡田みゆきほか 2020 恋人への依存性と親子関係との関連性.日本家政学誌,71,10,673-679
依存性パーソナリティ障害(DPD) - 08. 精神障害 - MSDマニュアル プロフェッショナル版
境界性パーソナリティ障害(BPD) - 08. 精神障害 - MSDマニュアル プロフェッショナル版

心理カウンセラー(臨床心理士・公認心理師)
医療・福祉施設勤務を経て、フリーのカウンセラー・ライターとして活動中。

“心と身体はつながっている”という考えのもと、女性たちが穏やかで自分らしいライフスタイルを手に入れるためのカウンセリングや情報提供しています。

わたし自身も外側と内側の両方の健康を意識し、運動を意識するほか、最近では漢方や薬膳、食生活に関する分野を勉強中です♪

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