もくじ
臨床心理士
資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト
生理中に運動しても大丈夫?
生理中の運動は、選ぶ内容に気をつけて、自分の体調を把握できていれば問題ありません。
まずは、生理中に運動する際に知っておいてほしい女性のからだのことや注意点を紹介します。
運動は生理痛緩和になる場合もある
生理中の運動には以下のようなメリットがあります。
・血行促進
・ストレス解消
・むくみ軽減
これらのメリットは生理痛の緩和や、気分を安定させることにもつながります。
しかし、適度な軽い運動に限った話です。激しい運動や身体に負荷をかけるような行為は控えるようにしましょう。
生理中の女性のからだ
私たち女性の月経・生理は、エストロゲンとプロゲステロンという2つの女性ホルモンの分泌によって生まれます。
女性らしい身体をつくるために必要なホルモン
生殖器官を発育させたり、維持させたりする働きがあります。
肌のつや・ハリ、乳房の発育にも重要です。
基礎体温をあげてくれる役割のあるホルモン
妊娠準備のためのホルモンともいわれています。
生理中の女性のからだは、プロゲステロンの分泌が減り、体温が下がって血流が悪くなるのです。
そのため、頭痛や関節痛が生じたり、出血に伴う貧血や身体のだるさ、気持ちに余裕がなくなったりします。
生理中の運動の注意点
生理中の運動は、貧血と生理痛、経血漏れに注意。
生理中の身体は、経血によって鉄分と血液が失われています。普段から貧血気味の人も、そうではない人も気をつけておきましょう。
貧血はめまいや立ち眩みなどの症状が突如発生します。激しい運動を行ってしまうと、めまいや立ち眩みが起きやすくなるため、運動する際は取り組むスポーツの内容だけでなく、小まめな休憩もいれながら十分注意してください。
また、適度な運動であっても身体を動かすことでナプキンがズレる場合もあって心配ですよね。そんなときは羽根つきのロングタイプのナプキンやスポーツ専用のナプキンを使用しましょう。
生理中に運動するメリット
生理中の運動は注意が必要ですが、先ほど簡単に紹介したメリットもあるので、詳しく紹介します。
メリット①血流促進
「生理中の女性のからだ」で解説したように、生理中は血行が悪くなりやすい状態です。
血流が悪いと、子宮の筋肉がかたくなって子宮収縮が発生しやすくなります。子宮収縮が発生すると、下腹部の痛みや関節痛が起きやすくなるのです。
適度に運動することで血流促進効果を得れば、痛みを緩和させられます。
メリット②ストレス軽減
適度で軽い運動は、からだと心をスッキリさせてくれる効果が期待できます。
女性ホルモンのバランスが乱れやすく、自律神経にも悪い影響を及ぼしやすい生理中は、気分の浮き沈みが激しくなりやすいです。
生理中に落ち込みやすかったり、いつもなら悩まないことに反応してイライラすることもあるのではないでしょうか。
PMS(月経前症候群)やPMDD(月経前不快気分障害)の方は、生理前に精神症状や身体症状に悩みますが、生理中は落ち着くことも多くあります。一方で、生理中に気分の波や身体の痛みに悩みを抱えている女性も多くいらっしゃるでしょう。
生理中に運動をすれば、心もからだもスッキリして快適に過ごせます。
メリット③むくみ軽減
特に骨盤から下の足を動かすことで、むくみ軽減効果が期待できます。
生理中のむくみの原因は、プロゲステロンの減少による自律神経の乱れや食生活、冷えやすい環境の影響。
生理前の生活習慣の影響も出やすく、特にデスクワークの人や長時間同じ姿勢で過ごす人は血行の流れが悪くなりやすい。また、生理中に不調を感じてつらいからと、ずっと横になったり座っていることもむくみを引き起こす原因となります。
適度な運動をして、足のむくみを解放させてあげましょう。
生理中におすすめの運動5選
ここからは、生理中におすすめの運動・スポーツを4つ紹介します。
おすすめの運動①ストレッチ
骨盤底筋のストレッチがおすすめ。
骨盤底筋とは、膣や尿道を動かす際に使用する内側にある筋肉のことです。骨盤底筋が弱いと頻尿や尿漏れが起きやすくなるほか、月経時の経血コントロールも難しくなるといわれています。
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おすすめの運動②ヨガ
ヨガにはからだをほぐす効果のほか、メンタル面も穏やかになる効果が期待されています。
ただし、ホットヨガやハードなポーズをとるヨガは生理中におすすめできません。
▼生理中におすすめのヨガ
おすすめの運動③軽いウォーキング
無理のない範囲で、外を歩くのもおすすめ。
軽いウォーキングは、血流促進の効果が期待できます。また、日光をあびることでセロトニンが分泌され、自律神経の乱れを緩和させることにもつながりますよ。
10~15分程度で十分なので、午前中のうちに軽いウォーキングをしましょう。
おすすめの運動④無理のない筋トレ
筋トレはできれば生理中は避けたいスポーツ。
しかし、普段からジムに通っている人は「ちょっとくらい大丈夫なのでは」「やらない日があることの方が心配」という人もいるかもしれません。
なるべく無理はしない方がいいですが、もしも筋トレをやるなら以下のメニューがおすすめです。
・プランク
・スクワット
・クラムシェル
どれも比較的負荷の少ない筋トレメニュー。スクワットをする場合は、いつもよりも回数を少なくしてゆっくりやるといいでしょう。
何度も言いますが、筋トレは生理中に無理に行うスポーツではありません。身体を動かしたいならストレッチやヨガ、軽いウォーキング程度にとどめてください。
運動以外もある!生理中を快適にする過ごし方
生理中の運動にはメリットがありますが、無理は禁物。
運動以外に月経時を快適に過ごす方法はこちらです。
・めまい等がなければ入浴
・鉄分とタンパク質をたっぷりと食べる
・一人時間を充実させる
生理中のからだは、なかなか自分でもコントロールが難しく、心に余裕がなくなって周りとトラブルになる可能性もあります。
まずは自分一人の時間を充実させつつ、衛生面や食事面も意識してみましょう。
生理痛を緩和につながる生理前の生活習慣
生理中の対策も重要ですが、そもそも生理痛にならないように過ごすのも大切なこと。ここでは、生理前からぜひ意識してほしいことを5つ紹介します。
身体を温める
女性のからだは冷えやすく、冷えによって月経不順や不眠、頭痛などが起きやすくなります。
特に夏は、冷房の効いた部屋でアイスや冷たいものを食べるのは最高ですが、冷えから守る意識も忘れないでください。
カーディガンやひざ掛けで直接冷房が当たらないようにしたり、冷たいものも食べるけど、基本的には常温や温かいものを取るなど、からだに優しい行動を増やしてみましょう。
定期的に運動する
体調が著しく悪い女性以外は、生理後~排卵日前後までに有酸素運動を取り入れてみましょう。
ウォーキングやジョギング、水泳、ダンスなどの有酸素運動は、PMSの予防や症状の軽減に効果があるといわれています。有酸素運動はダイエット効果も期待できるので、運動不足になりがちな女性におすすめ。
また、ピラティスも生理前の過ごし方として推奨されています。
ピラティスはもともと第一次世界大戦中の負傷兵のリハビリとして誕生しましたが、現在はしなやかで女性らしいからだをつくりたい女性に人気のスポーツ。しっかりとインナーマッスルは鍛えますが、筋肉ムキムキになるわけではないので、運動が苦手な人にもぴったりのスポーツです。
食生活に気をつける
生理痛やPMS症状にお悩みの女性は、食事も意識したいところ。
生理前に食欲が増して、甘いものや油っこいものを食べたくなる人も多いですが、それらの食事が生理中のだるさや痛みにつながっています。
できればカフェインの過剰摂取を避けたり、塩分やアルコールも控えられるといいでしょう。
一方で、精神症状を和らげるためにビタミンB(肉や魚、ナッツなど)を摂ったり、エストロゲンに近い役割を果たす豆腐や豆乳などを摂るようにしてみてください。
甘いものや油っこいものを食べてはいけないのではなく、量を調節するという意識でやってみましょう。
ストレスを適度に発散させる
生理中に不調を感じやすい女性の多くは、ストレス発散が苦手。
ストレス発散方法はさまざまですが、たとえば以下のようなものがおすすめです。
・信頼できる人に話す、居心地のよい人と過ごす
・自分一人で充実して過ごせる時間をつくる
・日頃がんばる自分を労わる気持ちでご褒美を買う
・気軽にはじめられる“散歩”を生活に取り入れる
などが心身ともに健康的なストレス発散方法。
カラオケや映画、ライブに行ったりすることも楽しいですが、その分の刺激も大きいですよね。
自分に優しいストレス発散方法を探してみましょう。
規則正しい生活を心がける
現代社会で生きていると、なかなか規則正しい生活って難しいですよね。
ですので、完璧に規則正しい生活を送ろうと意識するのではなく、以下のような生活習慣を避けて過ごすだけでもある程度規則正しい生活が遅れます。
・朝ごはんを完全に抜く
・食べすぎ飲みすぎ
・糖質や脂質の過剰摂取
・無理な“制限ダイエット”
・休日に寝貯めする
・睡眠時間を削りすぎる
・運動しない日が週4日以上
みなさんはどのNG習慣から減らしていきますか?
中医学・漢方医学からみた生理痛の原因
中医学とは、長い歴史を持つ中国伝統医学のこと。日本における漢方医学の基礎となっています。
中医学は不調を起こしている症状だけを見るのではなく、一人ひとりの生活習慣や体格、体調、食事、環境、病歴などから個別で合う方法を見つける医学。
中医学から見た生理痛・月経痛は血(けつ)の巡りが滞っている状態や、ストレスで気(気)が滞っていることが原因と考えられています。
細かな症状でおすすめの対処法は変わりますが、どの女性にも温かい食事や「熱(ねつ)」を含む食材が生理痛緩和に効果的。
「熱」を含む食材とは、しょうが、にんにく、鮭、玉ねぎなど。食べたら体内が温かくなる食材を夏や生理前に積極的に採りましょう!
生理中の運動は無理ない範囲はOK!
生理中の運動は、無理のない範囲で運動内容に気をつければ行っても大丈夫です。
しかし、不安や心配のある女性は無理せず“休養””安静”を意識してください。
また、生理中だけでなく生理前からの過ごし方を意識して、心身ともに健康的で暮らしやすい自分を目指しましょう。
参考
櫻井大典(監)「理由がわかればもっと整う! 漢方生活を楽しむ教科書」,ナツメ社,2021年
高尾美穂(著)「大丈夫だよ 女性ホルモンと人生のお話111」,講談社,2022年
【医師監修】PMS(月経前症候群)の症状やセルフケアのご紹介 - 漢方ブログ - 漢方通信 - ツムラの一般向け製品サイト