もくじ
”ヨガの本”読んでますか?
ポーズばかりが上達するのでは意味がない。
本当にヨガをするってどういうことなのでしょうか。「私はヨガの人だ!」と胸を張って自己紹介できるのでしょうか。アーサナももちろん大切。ですがそれ以上に、自分の心の動きや考えを理解するのもとても大切です。
”ヨガの本”にはそんな、自分と向き合うことの意味を教えてくれるエッセンスがたくさん詰まっています。自伝や師の教えをまとめたもの、神話など、ヨガ関連の書籍は多様な切り口があるのも魅力です。
ヨガ哲学とは
様々な学問や宗教の影響を受けた学派。
インド哲学の中でもヨガの実践によって解脱を目指します。
ヨガ哲学的な考えとは、いわばヨーガスートラと言う経典をもとに考えられています。
ヨーガとは、心の働きの死滅である。最初に書かれている定義であり、これこそヨガの最終目的地、いわば目指すものです。経典内に書かれてある有名な教えに八支則があります。知っている方も多いのではないでしょうか。8個の心得は現代の生活でも学びになること間違いありません。
- ヤマ(禁戒)
- ニヤマ(勧戒)
- アーサナ(座法)
- プラーナヤーマ(調気)
- プラーティヤハーラ(制感)
- ダーラナー(疑念・集中)
- ディヤーナ(瞑想)
- サマーディ(三昧)
八支則から学んだこと。私はしばらくある課題に悩みました。ヤマ(禁戒)から細分化された中に、サティヤ(嘘をつかないこと)と言う教えがあります。
自分にも他人にも正直でいることが大切です。しかし、正直に話せば傷つけてしまう可能性がある場合がありますよね。さらに、「知らない」と言えば自分に嘘をつくことになる。相手を傷つけたくないし、自分に嘘もつきたくない。
そして考えた末に出した答え。「どう伝えれば良いかわからない」「この話題について答えなく答えたくない」と相手に伝えるようにしました。もしくは、にっこり笑って固まる。(笑)
インド神話とは
神話と言えば、それぞれの国や宗教によって違っています。
インド神話はまさにインドに伝わる神の話。
インドの人にとって神は身近であり、神話は子供から大人まで今でも親しまれています。日本には七福神と言う神様がいます。彼らの中に実はインドの神様がいるのはご存知ですか?
大黒天はヒンドゥー教のシヴァ神。毘沙門天はクベーラ、弁財天はサラスヴァティー。
なんと3人もの神様がインドのルーツだったのです。後にオススメするヨガを学べる有名なインド神話、バガヴァッド・ギーターにもシヴァ神は超!重要人物として登場します。
こう見ると、インドの神様は日本人にも、ヨガを学ぶ人にも、とても身近に感じられますよね。
どうしてヨガの本を読むのか?
ヨガは師から弟子へ直接指導のもと伝えられます。もしもまだ師と呼べる人に出会えていないのならば、偉大な教えを残した彼らの本から学ぶことがオススメ。
そしてヨガの源流をたどれば、今行っているヨガへの学びが深まり、根本的な教えを知ることができます。バランスよく学ぶと、さまざまなヨガの考え方を知れて、新しい発見があるかもしれません。
日常の悩みやトラウマが心をざわつかせる。”ヨガの本”にはそれらを解決するためのヒントが詰
め込まれているのです。
アーサナで高度なポーズを練習する事は、ヨガ本来の目的ではありません。その最終目標は、深く長い、瞑想のアーサナが取れる自分を鍛錬することにあります。ぜひ一度マットから降りて、思考や心の動きについてヨガを学んでみましょう。
ヨガの祖、源流を知る
ヨガの源流は4つあり、カルマヨガ、ジュニャーナヨガ、バクティヨガ、ラージャヨガがあります。ハタヨガやホットヨガは現代的なヨガで、全てはこの4つから派生したものといってもいいでしょう。
以前の私は、アーサナの練習ばかりをしていました。
「このポーズができれば、もっとヨガの人になれる」「長くホールドできたから、私はまた理想に近づいた」と。しかしその道のりは長く、できないが山積みになっているのが現実でした。
ヨガ哲学を学んだ時、自分の思考の硬さ、狭さに気づくことができました。アーサナしか見えていなかったときには気づけなかった、他人への愛情や献身。まさに、人生との向き合い方を教えてくれるものでもありました。本で読んでみると学びがぐっと増えますよ。以下にヨガの始祖といわれる四つのヨガの特徴を挙げてみます。
カルマヨガ
日常で最も身近なのがこのカルマヨガ。
後におすすめするバガヴァッド・ギーターでも書かれています。
結果を動機とせず、執着を捨て、行為をただすすめることを説いています。成功や失敗ではなく、
ただその行いを精一杯に実行して、起きた結果をただ受け止める。自分に常にセンターポジションを置き、やった自分についてどう思うか。人間関係は全てカルマヨガでクリアーにしていけると、私は考えます。
ジュニャーナヨガ
真理を求める知識のヨガ。哲学を学び、
本当の自分や自我を探求するヨガです。聖人と呼ばれる人が多く実践しているとされています。「私ってなんだろう」誰もが一度は考えたことのあるこの問い。ジュニャーナヨガでは、その真髄を求める学びができますよ。
バクティヨガ
真愛のヨガと呼ばれ、神への祈りを常に行うヨガ。ちょっと待って!今、「なんか宗教ぽいな…」と思いましたよね!(笑)
ギーターにも書かれているのですが、クリシュナ神を慕い、愛することは、自分を愛することへつながるとしています。愛情を絶えず与えてくれる存在、愛情を与えればそれ以上に返してくれる、それが神と考えます。日常の行いすべてを神に捧げるために丁寧に準備する。いっぱいの愛で溢れた行動は、心と体自分の全てで感じ取っているのです。
ラージャヨガ
ヨガの王様の意味。瞑想を中心としたヨガは心を鎮め、解脱を目指します。八支則を実践すること、アーサナの訓練をすることがラージャヨガには重要であるとされるため、アシュタンガヨガや、ハタヨガの練習生にもオススメです。
師の教えや思考にふれる
もしもあなたがクリヤヨガに興味を持ち、学びたいと思ったなら、パラマハンサヨガナンダ氏の著書を読むのは確実でしょう。
聖者や賢人と呼ばれるヨガの師が残した本から、ヨガの本質や真理を学ぶ大切さを学べるのです。師の師、そのまたはじめの師。そんなふうにたどっていけば深い学びに手が届くはず。どんな苦悩があり、どんな学びを得て、人に伝えていったのか。そのプロセスを知ると、「偉大な師もこうやって悩んで、揉まれて生きていたのか」「学んで経験したのか」と思うと、今悩んでいる自分も悪くないと思えてくるものです。
読み解いてみよう
私の考えとして、ヨガの哲学や宗教にまつわる本は一気読みをしなくて良いと思っています。なぜか、すごく難解に感じるからです。
わかっているような、わかっていないようなムズムズした感覚があると思います。その感覚のままざっと読み終えてしまっても良いかもしれませんね。ですが、私は一つ一つ自分から湧き出た問いに対して考える時間を設けるようにしています。
日々の生活でふと、アンサーが現れることがとても面白いです。そして何度も読み返すうちにそれが変わることも。人間関係や立場が変わったりすると、今まで受け付けられなかった考え方も答えになったりするものです。
では実際にどんな内容が書かれているのか一部をご紹介しますね。
インテグラル・ヨーガ
パタンジャリのヨーガ・スートラ から
VRITTI SARUPYAM ITARTA
その他の時は、【自己】は心のさまざまな作用に同化した形をとっている【ように見える】インテグラル・ヨーガ パタンジャリのヨーガ・スートラ
自分のアイデンティティーについての問いです。
アイデンティティーとは自分の何を指すのでしょうか。性別、見た目、立場、役職、社名などあらゆる対象と同一視せずに、自分を証明できるものは何でしょうか?はっきり言っていいですか?「え?そんなことってできるの?」の状態です。(笑)ですが、この問いについて考えるうちに考え方に変化がありました。
他人を性別や職業、見た目などでジャッジすることが少なくなったのです。「この人も、私も、肩書きを全部とっぱらって話をするなら、どんな関係が築けるだろう」と考えられるようになったのです。そう思うと、見た目や肩書の”アイデンティティ”にとらわれていた自分に気づきが生まれます。
れています。
超名作!オススメ3冊
ではここで私のオススメ三冊をご紹介します。
どれもヨガを続けていけば耳にするであろう有名なものばかり。
神話や霊界の話が苦手な方も多いかもしれません。ですが、悩める人が成長していく姿が描かれているので、共感も多いことでしょう。
インテグラル・ヨーガ
パタンジャリのヨーガ・スートラ
ヨガインストラクターの資格を学ぶ際、教科書とされることも多いこの一冊。
パタンジャリ氏によってまとめられたヨガスートラをスワミ・サッチダーナンダ氏が講和形式で本に記しました。
ヨガスートラと言えば、ヨガの代表的な教本。
これからヨガを始める方にも、もっとヨガを深く知りたい方にも大変オススメです。
何度も読み返し、自分の心の内の変化を知るのもいいですね。
あるヨギの自叙伝
パラマハンサ・ヨガナンダ氏の著、クリヤヨガを確立した聖人であり、
ヨガをアメリカに広めた人物です。
Appleの前CEOスティーブ・ジョブズが、自身のiPadにダウンロードしていたただ一冊の本としても有名。幼少期からの実体験をまとめた自叙伝は世界中の人に読まれ、愛さ
れています。
バァガヴァッド・ギータ
世界最古で最長の戦記を抜粋した叙事詩。
そのポエムは神の歌と訳されます。クリシュナ神とアルジュナ王子の対話で進むので読みやすいのも特
徴。
アルジュナ王子の心の葛藤や弱さを導くやりとりは、実生活で思い当たる部分があるかもしれませんよ。勇気がもらえる一冊です!
さまざまな翻訳バージョンがありますが、熊澤翻訳はわかりやすくオススメです。
名作で、より実りあるヨガライフを
ヨガは不思議です。しばらく練習へ行っていなくても、ヨガの哲学書で読んだ一説が頭に浮かんだりします。悩みを解決するヒント与えてくれたりします。
プラクティスのさらなる向上を目指して、ぜひ”ヨガの本”読んでみてはいかがでしょうか?