もくじ
まずは知っておきたい燻製製法の種類
燻製は、ヒッコリーやサクラなど燻製材を焦がすことで煙を出し、その煙で食材を燻して作ります。温度と時間によって以下3つの製法に分類されています。
初心者向きの「熱燻」
熱燻(ねっくん)は、食材に風味を付ける製法です。80度以上の高温でおよそ10分、短時間だけ燻す手軽な方法のため、初心者はここから試してみましょう。保存食としての燻製には不向きですが、当日の食事用としてチーズやソーセージを燻製にしたいときや、魚や肉をジューシーに仕上げたいときにおすすめです。
保存食にもなる「温燻」
温燻(おんくん)は、食材をしっとりと燻製させたいときにおすすめの製法です。60~80度の温度で、2時間から半日ほど燻します。魚介類から肉類まで幅広い食材に適しており、熱燻に比べて保存が効きます。
上級者向きの「冷燻」
よく目にするスモークサーモンや生ハムがこの冷燻(れいくん)による製法です。20~30度以下に温度を落として、数日から数ヶ月かけて燻製していきます。歯ごたえが硬く、噛むほど旨味が出る特徴があります。
自宅で燻製を楽しむ際に必要な道具
燻製器
燻製器は、食材と燻製材をセットして火にかけるだけで燻製が完成するアイテムのことです。家庭用の燻製器には鍋タイプや家電タイプなどがあり、煙の少ない燻製器を選べばご近所にも迷惑にならず安心です。さっそく燻製器の選び方のポイントである素材、深さ、網目、温度管理について見ていきましょう。
素材
ジューシーに仕上げたいなら遠赤外線効果のある陶器製、よく使うなら錆びにくく高い耐久性があるステンレス製、アウトドアと併用したいなら熱伝導が高く丈夫な鉄製がおすすめです。
深さ
全体に燻煙を循環することでしっかり香る燻製料理ができあがるため、深さと密封性のある燻製器がおすすめです。より本格的に燻製に挑戦するのであれば、直径20cm、深さ5cmほどがよいでしょう。
網目
ナッツなど小さいものを燻製するのであれば細かい網目がおすすめです。また、一度にたくさん調理したい場合は複数段で利用できるタイプがよいでしょう。
温度管理
燻製は温度管理が大切なため、温度計がついたものか、温度計を差し込める穴が空いているものを選びましょう。
燻製器には上記の鍋タイプの他に、トースター機能やロースター機能などがついた汎用性の高い家電タイプもあります。煙が漏れないようにファンやフィルターが搭載されているため、室内でも使いやすいのが特徴です。また、手軽に試してみたい方には、2,000円ほどで買える市販のダンボール製燻製器もあります。自作してみるのもよいですね。
おすすめの燻製器2選
LivEもくもくクイックスモーカーS/ドウシシャ
コンパクトサイズの燻製器のため、食卓に置いて気軽に燻製が作れます。固形燃料をセットして燻製チップを加熱するだけなので操作方法も簡単です。ドーム型のガラス蓋のため煙が外に出づらく、燻製されている様子が見え、動画映えもしそうですね。
サイズ:15×15×高さ15cm
重量:約0.85kg
価格:2,713円(税込)
ステンレススモーカーⅡ/Coleman(コールマン)
キャンプをより満喫したい方におすすめなのが、こちらの本格燻製器です。丈夫なステンレス製で、温度計付きなので、熱燻にも対応可能!2段棚式で一度に十分な量の食材を燻製できます。また、フックがついているので、魚やベーコンなどを吊るして燻製するときにも便利です。
サイズ:約25×26.5×高さ40cm
重量:約2.1kg
価格:7,636円(税込)
燻煙材
燻製材は2種類あります。細かい木片のスモークチップと呼ばれる燻製材は、高温の熱源で加熱して不完全燃焼させ、煙を発するため熱燻に向いています。
スモークウッドは砕いた木片をブロック状に固めた燻製材で、線香のように直接火をつけて長時間煙を出すため、温燻や冷燻におすすめです。使用する燻製材にはそれぞれ以下のような特徴があります。
- サクラ:香りが強いため、ラムやマトンなどの羊肉や魚介類に適している。
- ブナ:スッキリとした香りで、短時間の燻製に向いている。
- ナラ:香りはクセがなく、独特の渋みがあるため、魚介類に適している。
- リンゴ:フルーツ特有の甘く柔らかい香りのため、鶏肉やチーズ、豆腐などマイルドな燻製に適している。
- ヒッコリー:香りが強く、肉類、とくにベーコンやサーモン、ハムに適している。
おすすめの燻製材2選
スモークチップ 80g 5種セット/NANTO
いろいろ試してみたい方におすすめなのが、NANTOのスモークチップです。山桜、くるみ、ブナ、水楢(みずなら)、そしてブレンドと5種の燻製材が80gずつセットになっています。すべて国産原木を使用しており、各パッケージにおすすめの食材や燻製材の特徴が記載されています。チャック付きの袋のため、保存にも便利ですよ。
重量:80g×5種(山桜・くるみ・ブナ・水楢・ブレンド)
価格:1,540円(税込)
LOGOSの森林 消えないスモークウッド/LOGOS(ロゴス)
こちらは1本で約5時間発煙する途中で消えないスモークウッドです。熱源がなくても連続スモークができるため、加熱による失敗もなく、熱燻・温燻・冷燻すべてに使用できます。折ったり、つなげたりすることで、煙の量や燻製時間の調節ができるのが特徴です。
種類:7種類(サクラ/ナラ/クルミ/リンゴ/ブナ/ヒッコリー/メイプル)
重量:約220~260g ※樹種により異なる
サイズ:約30×5×5cm
発煙時間目安:1本あたり約5時間
価格:613円(税込)~726円(税込)※樹種により異なる
自宅で楽しめる燻製の基本の作り方
まずは燻製器と燻煙材をセット
燻製器を平らで安定感のある場所にセット。熱源であるスモークウッドやスモークチップをチップ容器の中央に置いておきます。
食材の味付けをする
たとえば、卵であれば塩や黒コショウ、ローリエなどを混ぜた燻製液(ソミュール液)に2時間ほど漬け込みます。その後、卵と液体を鍋に移してゆで卵にします。使用する食材によって下ごしらえにかかる時間は異なるので、作りやすい燻製のレシピを探してみてください。
スモークして完成
卵の殻をむいて、表面の水分を拭き取ったら燻製器に並べてスモークします。90~100度で20分ほど熱燻すれば完成です。
こちらの基本の作り方をもとに、もっと気軽に楽しみたい場合は、フライパンでも代用できます。
まず、フライパンにアルミホイル、スモークチップ、金網の順で置き、最後にアルミホイルで作ったお皿に入れた食材を載せます。スモークチップから煙が出るまで強火、煙が出てきたら中火から弱火にしておよそ10分で完成です。
燻製を美味しく仕上げるコツ
燻製を美味しく仕上げるために大切なのは「乾燥」です。食材表面の水分を乾燥させることで煙がつきやすくなり、身崩れを防ぎます。さらに歯ごたえや燻製の仕上がり色にも大きく影響します。寒い季節なら干しカゴを、暑い季節なら冷蔵庫をうまく活用しましょう。
燻製におすすめの食材はコレ!
燻製法によっておすすめの食材は異なります。それぞれ見ていきましょう。
・熱燻におすすめの食材
卵、牡蠣、鶏肉などは熱燻製にぴったりです。卵は熱燻する前に市販のつゆやタレに漬け込んだり、牡蠣は燻製後にオリーブオイルに1日漬け込んだりといったアレンジ法があります。鶏肉も、しょうゆベースで漬け込んでから燻製すると美味しく仕上がります。
・温燻におすすめの食材
ベーコン、ソーセージ、たくあん、チーズなど、仕込み要らずで、そのまま燻製できる食材がおすすめです。他に必要な材料がない分、気軽に作れるのでキャンプやバーベキューにぴったりですよ。
・冷燻でおすすめの食材
サーモンやハム、ビーフジャーキーなどが冷燻には適しています。熱燻、温燻に比べて水分が少ないため、少し硬い仕上がりになります。噛むほどに旨味が出てくる食材のためおすすめです。
使用する燻製材によっても風味が変わってくるので、いろいろと試してみたいですね。
まとめ
自宅のキッチンでも簡単に仕上がる燻製。いつもの食卓におかずとしてプラスしたり、晩酌のおつまみにしたりと楽しんでみましょう!