もくじ
素材選びをしていますか
デザイン、価格、機能性、流行、洋服を選ぶ時、何を重視していますか。洋服を作る方であれば、素材に着目することは必須でしょうが数ある素材の中でも選ぶ基準はひとそれぞれでしょう。今回は素材から選ぶという点に着目してみましょう。
デザインや価格などプチプラが流行している中、素材を重視して選ぶことは環境にも人にもやさしい、サステナブルな社会に貢献できます。
この近年でオーガニックの食品やコスメなどの認知はずいぶんと浸透してきましたが、まだまだ洋服に関しては認知度、普及率共にそれほど高くないのではと感じます。
ですが本来であれば洋服はわたしたちの暮らしの中で切っても切れないもの。生きていく上で必要なものであるため、「素材から選ぶ」という行動を一人一人が選択することで人、環境、地球にやさしい選択ができます。
食品やコスメと違い、素材に関しては環境にやさしいものは限られているので、ぜひ素材の特性や背景を知った上での洋服選びを楽しんでいただけたらと思います。
素材で選ぶことのメリット
肌にやさしい
例えばオーガニックコットンであれば農薬を使っていないことから敏感肌の人にも赤ちゃんにも優しく、安心して着られます。
化学繊維だと肌がかゆくなるけれどコットン100%やリネンやヘンプなら大丈夫というひとも少なくありません。
地球にやさしい
例えば生地に農薬を使わないものを選べば地球にもやさしく、コットン100%の生地は土に還ります。
ポリエステルなどの化学繊維は丈夫な様に思いますが、その分土の中で分解されずいつまでも土の中に残ります。
ただ天然繊維でも大量の農薬を使われているものもあり、逆に化学繊維でも不用品からリサイクルされて生まれ変わったものや土の中に還る再生繊維と呼ばれるものもあります。
オーガニックとうたわれていても、例えばオーガニックウールは羊が農薬や殺虫剤の入ったごはんを食べていることもあるということもあるので、ちゃんと作り手の背景を知ったうえで選択することも大切です。
サステナブルな行動につながる
汚染問題やCO2排出問題、化学染料による汚染などの様々な環境問題が深刻化しています。
わたしたちにすぐにできる行動は、お買い物をする時、持続可能なものを選択することや土に還る素材の服を選ぶ。ゴミを増やさずものが作れるか考える、リサイクル可能なもの、動物犠牲にならないもの、そんな観点からものを選ぶことで人にやさしく、地球を守り持続可能な社会へ役立つことができるのではないでしょうか。
環境にも人にもやさしい生地の種類
天然繊維
オーガニックコットン(綿)
世界基準をクリアし、オーガニック認定を受けたコットンのこと。農薬や防虫剤を使用しないため、ほとんど土を汚さず、無農薬の天然繊維の代表と言われています。肌触・通気性が良く、やさしい生地です。
オーガニックリネン(麻)
こちらも無農薬の天然繊維の代表の生地。夏は爽やかに、冬は暖かく年中着られる生地。丈夫で使うほど、洗うほどやわらかく味わいがでてくるので長く使えます。
オーガニックヘンプ(大麻)
ヘンプは日本古来から衣食住から医療、神事まで幅広く親しまれてきた布です。抗菌、吸収性、消臭効果もあり、丈夫です。
再生繊維
地球や環境にやさしい生地の代表と言われるもうひとつが再生繊維。化学繊維のひとつですが植物由来の繊維なので土に還ります。
レーヨン
シルクに似た光沢と艶、滑らかな質感、ドレープ感が特徴です。木材パルプが原料で、高級裏地や婦人用の肌着としてもよく使われています。
吸収性が高いので汗をよくかく夏にはおすすめです。
リヨセル
ユーカリの木が原理で、ソフトな風合いと柔らかさ、ドレープ感・吸湿性、防湿性ともに優れ、ハリやコシもあるのが特徴。
濡れても弱くならず、洗濯による縮みも少ない。
キュプラ
高級裏地に使われることの多いキュプラ。滑らかくしなやかでツヤと光沢がありドレープ感が贅沢な雰囲気。肌触りもとても良い。
吸湿性、防湿性があり、静電気が起きにくいことも特徴です。
おすすめのサステナブルな洋服ブランド
People Tree(ピープルツリー)
オーガニックコットンを使用した下着や衣類、開発途上国の自立を支援するフェアトレード食品や雑貨、小物まで販売するピープルツリー。
シンプルで着心地の良いベーシックアイテムから、環境負荷の少ないインクでプリントされた、オリジナルの手作りコットンで作られた素敵な柄のアイテムまで豊富なアイテムが揃っています。
買い物をすることでピープルツリーの製造生産者を支援する寄付までできる「寄付付きのお買い物」や、チョコレートのポイントを貯めてコスタリカのカカオ農園にカカオの苗木を贈ることのできる取り組みなどを積極的に行っています。
PRISTINE(プリスティン)
プリスティンはオーガニックコットンのインナーウェアブランド。原綿から糸、生地、製品化して、企画、製造、販売まで行っていて、商品についたQRコードからものづくりのストーリーや背景を知ることもできます。
無染色にこだわり、インナーウェアだけでなくワンピースやパジャマなどのウェアからメンズ、ベビーアイテム、上質なハンドメイド生地も販売されているので、手作りしたい人にもおすすめです。
tennen(テンネン)
ゴミを出さない、生まない、服づくり、100%すべて還せる、をコンセプトとしているブランド。
生地からボタンや糸などの副素材までのすべてに天然素材を使用したり、染色にも草木染めや藍染めをして環境を汚さないことも大切にしています。
シンプルなヘンプ100%のtシャツなどのトップスやエプロン、ユニセックスなアイテムが揃います。
Liv:ra(リブラ)
「花の命を着る」をコンセプトにオーガニックコットンやシルクを使用し、伝統の草木染めで染め上げた、カラフルでキュートなランジェリーブランド、リブラ。
マリーゴールド染めはデトックスや消化促進の効果があったり、茜染めはリラックスや保温効果など、染色は色鮮やかにするためだけではなく植物のもつ薬効成分を取り入れる目的もあるのだそう。職人さんの手で一点一点大切に染められています。
ランジェリー以外に藍染めや草木染めされたインナーからワンピース、マスク、色落ちしてきたときの染め直しセットも販売されているので、自分で染め直せば愛着も湧いて、長く大切な一着となりそうですね。
MERCI(メルシー)
メルシーは国産の安全な生地のみを使用して、ニーズに合った用途に困らない服を作り、過剰な数を作らず、人と環境にやさしいアパレルブランドです。
日本で売られている国内で作られた洋服はわずか2%しかないという、その中のひとつのメルシーは製品のすべてを国内で生産しています。
素材や生地を製造している工事はすべて視察済みで持続可能な労働環境で製造されていたり、環境汚染の問題にも取り組むブランドです。
デザインは計算されたシンプルでスタイリッシュなものが多く、きれいな色のものも多いので長く使えて愛着の沸く一枚が見つかりそう。
Patagonia(パタゴニア)
今ほど環境問題が世界の意識に高まっていない1990年代からサステナビリティに取り組んできたアウトドアブランド。売り上げの1%を自然環境の保護、回復のために貢献しています。
コットンを使用する製品には全てオーガニックコットンを使用し、フェアトレードなものづくり、着るうちに傷んできたりパーツが取れてしまった場合にはお直しまでをもしてもらえます。
メンズ、ウィメンズ、キッズアイテムも充実しています。
おすすめのサステナブルな生地を扱うメーカー
cocca(コッカ)
創業70年以上のテキスタイルメーカー「KOKKA」がプロデュースしたファブリックブランドのオンラインストア。
国際認証されたオーガニックコットンは、ベビーアイテムにぴったりの人気No. 1のダブルガーゼをはじめとして、オックス、シーチングなどの取り扱いがあり、柔らかな色や柄など見ていて楽しくなります。
ASAFUKU(麻福)
無農薬で育つヘンプ、リネン、おお麻、オーガニックコットンを扱う麻福は、生地のみならずマスクや枕カバー、ストールなど幅広いアイテムを扱っています。
筆者はこちらでヘンプの生地を購入しマスクを手作りしましたが、届いたその生地は見るからに質の良いものと分かりました。
肌に当たる部分をヘンプで作りましたが、布製マスクの中でも暑い日でも気にならない風通しの良さを感じますし、消臭効果もあると言われているように臭いがほぼつかないと感じています。
簡単に自宅で染め体験の出来る、新万葉染めキットも販売されています。
FELI-DA(フェリダ)
カラフルかわいい生地やさんのフェリダ。信用できる日本製オーガニックコットンを仕入れて販売しています。
かわいい柄の並ぶストアの中でオーガニックコットン生地は無地のシングルガーゼや二重ガーゼがメインですが、色合いが柔らかでとても可愛らしいです。
小紋工房
オーガニックコットンからサステナブルな生地を扱う小紋工房。
綿本来の色を活かした無染色のオーガニックコットン100%のポプリンやトリアセテート、リサイクルウール、東レ(株)の使用済みPETボトルを原料とした新しいリサイクル繊維を100%使用したものなどが揃います。
ものを選ぶ行動を見つめてサステナブルな社会へ
今回は洋服と生地をテーマにご紹介しましたが、普段何気なく消費しているその行動ひとつ見つめるだけで、色んな選択ができることに気付きます。
長く使えるものを選ぶ、ゴミを出さないようにする、リサイクルできるか考える、寄付をする、ブランドや作り手のストーリーや背景を知って購入する、そんな取り組みをしている人やお店に貢献するなど、小さな行動一つでも地球とよりよい未来のため貢献していくことが必要です。
人任せではなく、地球に住まわせてもらっているという意識と感謝をもって、生きていく上での切り離せないお買い物・洋服・おしゃれを楽しみつつも積極的に取り組みたい事柄です。