もくじ
他人に頼ることの大切さ
「頼ることは大事」と頭の中では理解していても、なかなか相手に頼ることができない人も多いのではないでしょうか。もしかしたらそれは、頼ることに慣れていないのが理由かも。
「自己責任論」が日本社会で広がり、問題は自分で解決する傾向が強く根付いています。誰かに頼ることに慣れていない人が多いのは、日本社会が「個人主義」に傾いていったことが理由の1つだと考えられています。
誰かに頼ろうとしても「どうやって/誰に頼ればいいのだろう」と悩んだり、「批判されるのではないか」と不安を抱き頼るのをやめてしまったりした経験があるかもしれません。
自分だけでできることには限界があります。より豊かな生活を営むためには、他人に頼るコツを身につける必要があるのです。
誰かに頼ることで得るメリット
ビジネスシーン
生産性が向上する
仕事で誰かに頼ることができると、生産性が向上します。
得意な人に作業を頼むことで、仕事の効率をアップさせることができます。チームで働くときに効果を発揮するには、自分の苦手なことを克服するのに時間を使うよりも、得意な人に任せることが重要です。
メンバーの成長につながる
誰かに作業を任せることで、頼んだ相手の成長を促す場合があります。持っているスキルを少し超えた具合の作業を頼むことで、相手は学ぶことができるのです。
作業を任せるときは、お願いする作業の難易度が相手の「ラーニングゾーン」のレベルにあるのを確認してから、お願いするようにしましょう。詳しくは「自分も相手も満足できる頼るコツ!」でご説明いたします。
家庭のシーン
家事&育児を分担できる
家事シェアの考えが広がってきてはいるものの、いまだに女性のほうが家事と育児において負担が大きいという事実が明らかとなっています。
家事や育児を1人で抱え込むのではなく、相手に頼ることができれば、心身ともに健康な生活を目指すことができるでしょう。
相手との関係が良好になる
一般に、人間には承認欲求があると言われています。頼み事や悩み事を相談してもらうと「自分は必要とされている」と感じます。頼むほうも、相手に対する信頼感が高まります。
しかし良好な関係を構築するには、片っ端から頼むのではなく、タイミングや内容を考慮しながら頼むことが大事です。
人に頼ることが難しい理由
責任感が強い
人に頼るのが難しいのは、責任感が強いことが関係しているかもしれません。責任感が強いことはいいことですが「全てのことを自分で対処しなければならない」と思いながら対応を続けていると、限界がきて疲れてしまいます。
また、他人に頼むことで、1人でやるときよりも大きなことを成し遂げられるかもしれません。
他者からの評価を気にしすぎてしまう
他者からの評価を気にしすぎてしまうのも、人に頼りづらい理由かもしれません。他者の評価に敏感だと、自分の弱さを他人に見せたがらず、他人に頼ることができなくなってしまいます。
「頼み事が拒絶されるのでは」という不安がある
頼み事が拒絶されることに強い不安を感じる人は、頼ることが苦手な傾向にあります。私たちは「頼み事が拒絶されるのではないか」という予測が下手だと言われています。人は案外、頼み事を快く受け入れてくれる傾向にあるのです。
コーネル大学の研究で、被験者約1.4万人の研究を分析したところ、被験者は頼み事の成功率を平均48%低く予想していたことが明らかとなったそうです。つまり、私たちが思っているよりも約2倍、人は誰かを助けたいと思っているのです。
頼れる人がいない
頼れる人がいないことも原因の1つのようです。日本においては頼れる親しい人がいないと感じる人が多いのだそう。親しくなるまではいかなくても、困ったときに頼れる人になるのを目指してみてはいかがでしょう。
頼れる人になるには、日頃から「頼りやすい雰囲気」を相手に与える必要があります。「いつでも聞いてね」と言葉をかけることや、相手が困っているときに進んで相談に乗るなどして、頼りやすい雰囲気づくりをしていくことが重要です。
しかし、他人を利用する人には注意する必要があります。作業を頼む相手が当事者意識を持っていないと感じた場合や、頼む相手の状況を把握せずに甘えてくる人とは、できるだけ距離を置くことをおすすめします。
自分も相手も満足できる頼るコツ!
まずは小さな頼み事から始めよう
他人に頼むことが難しいと感じる人は、まずは小さな頼み事から始めてみましょう。小さな頼み事を積み重ねることで、人に頼むことに抵抗感を感じことが減るでしょう。
相手の負担にならない小さな頼みごとを積み重ねることで、自然と「頼み上手」になれるはずです。
謝らない
助けを求めたことについて、謝らないようにしましょう。謝ってしまうと、仕事を頼まれたほうは気分を害してしまう可能性があります。
一般的に人には承認欲求があるため、頼まれるとうれしいものです。しかし、謝られてしまうと、相手に頼み事を強いられている感覚に陥ります。進んで助けているのではなく、「相手に頼まれたため助ける」という感覚が強くなり、頼まれても不快に感じるのです。
頼み事をするときは、謝るよりも感謝を伝えることが大切です。
承認欲求を満たす頼み方をする
人に何かを頼むときは、承認欲求を満たす頼み方をするのがポイントです。承認欲求を満たすためには、「使命感を感じるように頼む」のがコツ。使命感を感じるように頼むことで、依頼を引き受けてもらう確率がアップします。
人が使命感を感じる頼み方は、以下の3つのポイントについて言及すること。
- これまでにやってきたことを褒める
- 困っていることを伝える
- あなたにできることがあると伝える
この3つのポイントが揃うことで、相手は使命感を感じ「自分が作業をやり遂げよう」という気持ちになるでしょう。
頼み方としては「これまで、〇〇で助けてもらっています。現在、〇〇で困っていて、Aさんなら解決できるのではと思い頼みました」というように依頼してみると、頼まれたほうは気持ちよく引き受けてくれるはずです。
相手がどれくらいの仕事を抱えているのかを知る
頼む相手の状況は、なかなか目には見えづらいもの。同じ作業を一緒にやっているか頻繁に状況を確認していない限りは、相手が今置かれている状況を判断しにくいです。
相手がどれくらい仕事を抱えているのかを把握せずに依頼してしまうと、期限内に作業を完成することができなかったり、タスクの出来がイマイチだったりということが起きてしまいます。
相手が置かれている状況を判断するには、素直にその相手に聞くようにしましょう。
作業の難易度が相手の「ラーニングゾーン」のレベルにあるのを確認する
作業を任せるときは、お願いする作業の難易度が相手の「ラーニングゾーン」のレベルにあるのを確認してから、お願いするようにしましょう。
簡単すぎるのでもなく難しすぎるのでもなく「適度な学びが必要なレベル」の作業を依頼することで、相手はストレスを感じることなく学ぶことができます。
他人に作業をお願いするときは、「コンフォートゾーン」「ラーニングゾーン」「パニックゾーン」の3つの考え方に沿って、相手にとって適切なレベルかどうかを判断してみてください。
①コンフォートゾーン
「快適な空間」という意味です。本人が持っている能力だけで、業務を遂行することができます。能力よりも上のことはしないため、力を注ぐ必要はありません。成長するためには、このコンフォートゾーンから抜け出す必要があります。 |
②ラーニングゾーン
コンフォートゾーンの外に出ると、ラーニングゾーンがあります。今までのスタイルや持っている能力では、通用しないゾーンで、学びが必要になります。 コンフォートゾーンと比べると、ラーニングゾーンでは程よい不安を抱えることもありますが、その気持ちがあるからこそ成長します。 |
③パニックゾーン
ラーニングゾーンの外に出ると、パニックゾーンがあります。現在持っている能力から遠すぎて、どうすればいいのかわからない状態にあります。極度な不安を抱え、成長できないどころか、精神的なストレスを抱える危険性がはらんでいます。 |
相手がラーニングゾーンで活動できるような作業をお願いすることが大事です。
頼んだあとのリアクションも大事
頼んだあとに、リアクションを送ることも大事です。頼まれたほうは、自分がこなしたタスクがどう貢献できたかを知ることで、達成感や承認欲求を満たすことができるからです。
そのため、仕事を頼んだほうは後日、相手に結果や成果について報告するようにしましょう。「Aさんのおかげで、〇〇を達成することができました。感謝しています」というように、具体的な結果を報告して力になったことを伝えてあげるようにしましょう。
頼るコツを身につけよう!
人に頼るのは気が引けるかもしれませんが、助ける側にもメリットがあります。助けることで気分がよくなったり、温かい気持ちになったりするのです。
より豊かな生活を営むためにも、今回ご紹介した頼むコツを実践してみてくださいね!