ネイルを通して世界中の社会問題に目を向けよう!ネイルから変えていける私たちの社会とは

私たちの社会のトレンドはネイルにも影響を与えています。環境・社会問題を意識した消費行動をとるミレニアルやZ世代の影響もあり、これらの問題に関連するトレンドネイルが今話題となっています。ネイルのトレンドをみていくことで、今世界では何が起きているのかを把握していきましょう。

ネイルから見る世界の動き

服に流行があるようにネイルにもトレンドがあります。ネイルは、思い立ったらすぐ違ったデザインに塗り替えやすいため、毎回のトレンドを追いやすいとも言われています。

現在のファッショントレンドというと、世界をいい方向へ変えていこうとするサスティナブル(持続可能)なファッションや社会問題をテーマにしたファッションに注目が集まっています。

服のトレンドと同様に、ネイルのトレンドにも環境や社会問題を意識したものがあります。

つめにも環境にも優しいネイル

最近、耳にすることの多いエシカルファッションという言葉。エシカルファッションとは、環境問題や社会問題などを考慮したファッションを意味します。フェアトレードでの現地生産や、オーガニックコットンを用いた服などはエシカルファッションの代表格です。

エシカルとは「倫理上」や「道徳上」という意味の言葉で、エシカル・ファッションとは、環境問題や労働問題、社会問題などに配慮して、素材の調達や製造、販売をしているファッションのことをいいます。

出典:ecoist

環境と社会問題に配慮するエシカルファッションへの関心が高まっていますが、エシカルを意識したネイルにも注目が集まっています。

エシカルネイルとは、天然由来成分・植物由来成分を配合したマニキュアを使ったネイルを指します。環境と社会問題への配慮だけでなく、つめの健康と美しさをキープするのにも最適なのです。

エシカルなマニキュア商品

OROSA(オロサ)

https://orosabeauty.com/

エシカルなマニキュアの代表として、2019年8月に発売されたネイルブランド「OROSA(オロサ)」を紹介。OROSAのマニキュアは、環境保護に加えて、安全な成分で私たちを保護してくれます。必須アイテムともいえるマニキュアを塗りながらも、つめの健康を保つことができるのは嬉しいですね。

OROSAは14の有害な成分を使用していないマニキュアです。

  1. ホルムアルデヒド
  2. フタル酸ジブチル(DBP)
  3. ホルムアルデヒド樹脂
  4. トルエン
  5. 樟脳(しょうのう)
  6. リン酸トリフェニル
  7. エチルトシルアミド
  8. キシレン
  9. メキノール/ハイドロキノン
  10. メチルイソチアゾリノン
  11. パーム油
  12. パラベン
  13. 動物由来成分
  14. グルテン

上記の無使用成分リストのうちの1つホルムアルデヒドは、粘膜を刺激する化学物質で、ホルムアルデヒドが発散されている場所に入ると目や気道に刺激を感じます。濃度が高いと、呼吸困難になることも。

また、パーム油ですが、パーム油生産は深刻な環境問題と社会問題を抱えています。パーム油供給料の高い国であるインドネシアとマレーシアでは、急速に森林伐採が進んでいます。森林伐採が進むと、大気に二酸化炭素が増えることや生態系が破壊されるなどの問題がさらに深刻化します。

パーム油生産者は児童労働の問題も抱えています。企業に雇われて働く大人たちはいますが、収穫量が目標に達さないとなると、子どもも一緒になって働かせるケースもあります。こうなると、子どもたちは学校に通えなくなってしまいます。

OROSAのような、環境や社会にとって害のない製品をすすんで購入することで、貢献できることは沢山あるのです。

【私たちにできること】

  • エシカルネイルを取り扱っているサロンを利用する
  • 有害な成分が入っていないマニキュアをつかう

OROSA(オロサ)

2020年のトレンド!ミニマリストネイル

ミニマリストネイルの基本的な要素とは?

必要最小限のものでシンプルな暮らしをするミニマリストが増える中で、 ミニマリストネイルが注目を集めています。Minimalist Nail(ミニマリストネイル)とは、短いつめにシンプルなデザインのネイルスタイルのこと。どんな服にも合わせやすいのが特徴で、シンプルなデザインがクールな印象を放つと話題になっているのです。

この最新のネイルデザインは、難易度の高いネイルスキルを必要としないために、自宅で簡単にトレンドのネイルデザインを施すことができます。ネイリストなしで、自分たちでネイルができるようになると、ある社会問題を解決する1歩にもつながります。

格安ネイルサロンの正体

格安ネイルサロンでは、安価な賃金と過酷な労働条件で働かせられるという問題が深刻化しています。

「調査が必要なネイルサロン」にリスト入りしているネイルサロンのなかには、スタッフとの言語的コミュニケーションが取れないことや、若い男女がネイルに関する知識もないまま実践から学んでいる様子がうかがえられるとのこと(The Guardianより。異国から、先進国と呼ばれる国に人身売買され、労働環境が悪い格安ネイルサロンのような場所で働かせられるのだとか。現代の奴隷制度ともいえます。

この労働者搾取を止めるには、正しいものを正しい値段で売るということのほかにも、私たちの消費行動を見直すことが大切です。サービスの安さにひかれて、労働者の過酷な労働環境にまで考えがおよばないということを止めなくてはなりません。

ミニマリストネイルは、自分で簡単にトレンドのネイルをすることができるため、多くの人がスタイリッシュなデザインを求めて格安のネイルサロンにお金を落とすということを防ぐ1つの方法でもあるのです。

ミニマリストネイルのアイデア

ミニマリストネイルのアイデアが欲しい方におすすめするインスタグラムアカウントが、Betina Goldsteinのインスタグラム。

多くのミニマリストネイルのデザインが、アカウント内で投稿されているので必見です。

Polished Man(ポリッシュド・マン)指1本のマニキュアが伝えるメッセージ

Polished Man(ポリッシュド・マン)とは

2016年10月に始まったPolished Man(ポリッシュド・マン)のムーブメント。世界中の男性が1本の指のつめにマニキュアを塗ることで、子どもに対する身体的および性的暴力防止を目指す活動です。

なぜ男性のみがこのムーブメントの中心となっているの?と思った方もいると思います。男性にフォーカスをしている点は、子どもに対する性的暴行の90%が男性によっておこなわれているという統計があるためです。男性がこの活動を通じて身体的・性的暴力をなくそうと活動する姿を見せることで、問題への意識を高めることや、行動を変えていこうとする活動なのです。もちろん、女性やその他の人も参加することができます。

この運動はオーストラリアを拠点とする非営利団体YGAPによっておこなわれており、ポリッシュド・マンプラットフォームで資金を集めてきました。これまでに61,000人以上の人々が、513,000ドル以上の寄付を生み出してきました。寄付金は、子どもたちのトラウマ回復とトラウマ防止のためのプログラム費用になっています。

ポリッシュド・マン公式サイト

ポリッシュド・マンに参加する有名人

この活動が広がった背景には、有名人による働きもあります。ハッシュタグ#PolishedMan #nailittoENDitとともに、片指のつめ一本にマニキュアを塗った写真を投稿する有名人には、多くの「いいね」が。

Zac Efron(ザック・エフロン)

Chris Hemsworth(クリス・ヘムズワース)

有名人の取り組みもあってか、ポリッシュド・マン運動に関連する写真を世界中の人々がSNS上で投稿しはじめ、注目をあつめました。

5人に1人の子どもが、18歳まえに身体的または性的暴力を経験していることを受け、有名人も含め多くの人々がこの活動に参加をしました。

偏見に立ち向かうジェンダーレス・ネイル

https://www.clm-agency.com/manicure/jenny-longworth/

ジェンダーレスファッションというのが注目を集めています。ジェンダーレスファッションが少しずつ関心を集めはじめたのは2010年ごろ。メンズとレディースの枠にこだわらず、自分に似合う服や好きな服を着るという考えが広まりました。

「女の子だから」「男の子だから」という理由で、やりたかったことができなかったり、やりたくないこともやらされたりする経験を持つ人は多いなかで、ジェンダーレス・ネイルはこのイデオロギーを超えて、性別に関係なく全ての人がネイルを楽しむことをあたりまえに変えました。

ハリー・スタイルズは、「自分の気に入ったファッションであればメンズ用でもレディース用でも気にせずに着る」と述べているだけにネイル歴も長く、ジェンダーへの偏見払拭をリードしています。

こうした隠れているジェンダーのイデオロギーを、今回のネイルのように私たちの身の回りから変えていけるような運動が増えるといいですね。

WWFのネイルアートを通じた自然保護

これまでの、WWFジャパン主催の自然・野生動物の保護活動の1つに、ネイルアートを使用した活動「Donail(ドネイルキャンペーン)」というのがあります。

このキャンペーンの効果は、ネイルアートを通じて野生動物の危機に目を向けるよう促すことや、野生生物が直面している危機を身近にかんじてもらうことが期待できます。そのほかにも、ネイルを通じてWWFのメッセージを呼びかけ、寄付を働きかけることができます。

絶滅の危機が高い20種類の動物は「レッドリスト」に登録されていることから、このキャンペーンのデザインとして、薬指の赤をシンボルとしています。薬指以外のつめには、それぞれの動物のネイルアートが塗られています。

ネイルサロンもこのキャンペーンに参加しており、サロンでDonail(ドネイル)のデザインを施してもらうことができます。もっと手軽に参加できるようにと、環境に優しい日本製ラバー素材のシールも提供されています。

 https://www.wwf.or.jp/

残念ながら、この活動は2016年6月をもって終了しましたが、自然・動物保護に関心のある方は、ご自身でも活動に関連するデザインを塗ってみてはいかがでしょうか。日常でも、これらの問題を意識する回数が増えるかもしれません。

ドネイルキャンペーンの詳細

Black Lives Matter運動

アメリカを中心に世界へと広まった運動Black Lives Matter(BLM)。この運動は、黒人に対する暴力と人種差別のある社会構造に対して訴える人権運動です。

5月25日、アメリカのミネソタ州ミネアポリスで、アフリカ系アメリカ人の男性ジョージ・フロイドさんが、白人警官に約8分間もの間ひざで首を押さえつけられて死亡しました。この事件を受けて、全米のみならず世界で人種差別に抵抗するBlack Lives Matter運動のデモが広がっています。

https://blacklivesmatter.com/

差別されてきた歴史と社会構造

白人至上主義は少なくとも1960年代まで、アメリカの政治に影響していきました。白人以外のオーストラリアへの移住を制限する白豪主義は1973年代まで実施され、オーストラリアの先住民は1960年代以前、政治的権力を与えられることもなく、人種差別と白色人種への優越性は当然のように存在していました。

以降、人種差別は認められないという法的拘束力のある条約もとられましたが、現在も日本を含む全土で、白人を美化したイメージが存在しています。その一方で黒人に対しては、怖い、劣っている、貧しい、犯罪率が高い、野蛮といったイメージがつきまとっています。

全米各地では、新型コロナウイルスによる黒人の死亡率は平均よりも高いことが確認されているほか、アフリカ系アメリカ人の住民が多い地区では検査率が低い場合があることも明らかになっています。

また、新型コロナウイルスをうけて、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)が国民全員のマスク着用を奨励していても、アフリカ系アメリカ人がマスクをすると、不当に逮捕されたり犯罪者扱いされるのではないかという不安を強く持つそうです。

マスクを使用しないのとコロナウイルスによる黒人の死亡率に関連性があるのかは具体的にはわかっていませんが、差別によりマスクをつけることに対して抵抗感を抱かせてしまうようなことはなくすべきです。

黒人への不当な暴力に訴えるネイル

この社会意識の高いネイルアートは単なるトレンドではなく、世界が今必要としている重要なメッセージを広めるムーブメントの一部です。

このネイルを通じて、自分の知識を超えて他者がBlack Lives Matter運動について理解するのを促し、自分だけではなく周りの人が人種差別問題について知識をつける可能性が広がります。1人でも多くの人が人種差別問題を意識し、正しい知識を持つことで、人種差別をなくすことにつながるのではないでしょうか。

ネイルを通じて社会問題を身近に感じる

世界で起きている環境・社会問題について考えるときは、私たちの身近なものから連想させて考えることで、イメージしやすくなります。難しいと思っていた問題に対しても、身近なことから考えることでイメージがわいてきて、何か自分にできることはないかと考えて行動を起こす可能性も高まります。

自分が興味を持っている社会問題に取り組んでいる企業やプロジェクトが存在しないとしても、私たちの身のまわりにあるものから変化を起こすことはできます。

今回紹介したネイルも、身近なことから社会をよい方向に変えていこうとする例のうちのひとつです。自宅でも簡単にできるネイルを通して、ムーブメントを起こすことや問題を意識しはじめることもできるのです。ネイルを使って社会問題に取り組むことは、アートで社会問題を間接的に訴える芸術家のようでもありますね!

Z世代、ハワイアンダンス、ヨガ、国際コミュニケーション学部専攻(卒)元オーストラリア留学生。「誰もが生きやすい世界」をコンセプトに世界各地のカルチャー、社会問題×ライフスタイル、メンタルヘルス×ヨガなどを中心にお届けします!
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