#STAY HOMEの心身への影響
外出の自粛要請により、平日・休日を問わず、自宅で過ごす時間が長くなったという方は多いと思います。
『一番くつろげる空間は自宅』という方でも、そのような生活が2週間、3週間…と続くと心身に苦痛や違和感が生じてきますよね。
普段、職場へ通勤されている方であれば、テレワークで歩くことがなくなり、極端な運動不足で身体がガチガチになったり、仕事が非効率になって時間がかかりイライラしたりすることもあるでしょう。また主婦の方なら、家族のための食事準備や後片付けなど、家事の大幅増で肉体疲労やストレスを感じることもあると思います。
そのような心身の不快感がたまった結果、『疲労感はあるけど夜寝られない』『朝もなかなか起きられない』『やる気がでない』といった不調を生じ、生活リズムを乱してしまいがちです。
お家にいるのに『余裕』がない
ずっとお家にいて周囲の環境に変化がなかったり、仕事でも家事でも『エンドレス状態』になってしまったりすると、オンとオフの切り替えができず気が滅入ってしまいますね。
気分転換・運動不足解消に散歩やジョギングなどの運動ができればよいですが、時間確保が難しかったり、ストレスが強すぎて動けない場合もあります。
そんな時の対処法として『”寝たまま”ヨガ』がおすすめです。
寝たままヨガの効果とメリット
1.疲労回復効果
寝たままヨガは、通常のヨガに比べてずっと簡単で楽であるものの、全身の固まった筋肉をほぐすとともに、ゆるみがちな筋肉を引き締めるので、血行が促され、老廃物の排出もスムーズになります。その結果、疲れがとれやすくなります。
2.肩こりや腰痛のケアになる
ヨガのポーズや動きには『姿勢の偏り・くせ』を整える効果があります。寝たままヨガにもその効果は健在。気付かないうちに生じている姿勢のアンバランスを整え、正しい姿勢の保持に必要な筋力を養うことにより、姿勢のくせが原因で生じている肩こりや腰痛の悪化を抑える効果が期待できます。なお、上記1.に記載した『血行促進』も、肩こり腰痛ケアの要素の1つです。
3.ストレス解消 ⇒ 免疫力アップ
通常のヨガも同様ですが、深い呼吸に意識を向けながらポーズを練習するのがヨガの最大の特徴です。意識的な呼吸の連続は、自律神経のバランスを整え、幸せホルモン(セロトニン)の分泌も促すと言われています。また、寝たままヨガはやさしいポーズがほとんどでストレッチの要素が強いため、どなたでも『気持ちいい~』とポーズの感覚に集中しやすく、考え事(雑念)を減らし、脳の休息を促す効果も期待できます。さらに、自律神経が正常に機能している身体は、免疫力もしっかり発揮できるので、健康維持にも役立ちます。
4.安眠効果
これまでにお伝えした諸効果に加え、寝たままヨガの筋肉の緊張・弛緩の繰り返しが良い意味で肉体に疲労感を与えるので、それが睡眠を促してくれます。安眠効果を狙いたいときは、寝る前にお布団の上で軽く行うのがおすすめです。
5.気楽にできる!
今回ご紹介する寝たままヨガポーズは、どれも『仰向け(あおむけ)』の状態でできるものばかりです。通常のヨガは、膝をついたりバランスをとったりするため、クッション目的やすべり止めの目的でヨガマットが必要ですが、今回は必須ではありません。基本的に、横になるスペースがあればすぐに始められます!お家ヨガなので、服装も気にすることなく自由ですね♪
寝たままヨガ、いつやるのがおすすめ?
『寝たまま』とはいっても、これはあくまで姿勢の話なので、基本的にいつでも取り組んでOKです。朝の起き抜けにやれば、頭も身体も目覚めるので、眠気が取り除かれてスッキリとした朝を過ごせます。寝る前にお布団の上で行えば、すんなり眠りにつきやすくなるでしょう。ほかにも、運動不足を感じた時、長時間座り姿勢が続いてだるさを覚えた時などに積極的に行ってください!
仰向けで!寝たまま簡単ヨガポーズ9選
では、始めましょう!
ヨガポーズを練習するときは、頑張りすぎないここちよい深さで鼻呼吸しましょう。便宜上、ヨガマット上でのポーズ写真を載せていますが、床の上でも、お昼寝布団の上でも、平らであればどこで行っても大丈夫です!
どれか一つを行っていただいてもOKですが、1から順に繋げて全ポーズを行うとより効果的です。
また、お手元に枕・クッション・畳んだ毛布のどれか一つをご用意ください。
1.仰向けの山のポーズ・・・全身のバランスを整える
最初にまっすぐの姿勢になり、それまでの自分の姿勢との違い(筋肉の使い方の違いなど)を観察しましょう。
やり方
- 仰向けで横になり、左右の内くるぶし同士、膝の内側同士をくっつけます。
- 腰とカーブと床の間に『手の平一枚分』程度のスペースを作ります。
- 首~肩をリラックスし、肩先を床に休ませます。手の平を天井に向けるとやりやすいでしょう。
- 天井をまっすぐ見て(アゴは出しすぎず引きすぎず)、後頭部のふくらみの部分を床に優しく押し付けます(猫背やスマホ首を軽減させる目的があります)。数呼吸ポーズを味わいましょう♪
その後で、足幅を少し広げ、足首を回すのもおすすめです。
2.仰向けの半月(または三日月)のポーズ・・・体側を刺激
日頃あまり気に留めることのない身体の側面。しかしながら、体幹を支える重要な筋肉が存在する場所です。片側に曲げることで、体側の一方を強く収縮すると同時に反対側を気持ちよくストレッチ。筋肉の緊張・コリに関わる経絡(けいらく・気が流れる道)が流れる部分でもあります。
やり方
- 伸ばしたい体側がわの手首をもう一方の手でつかみます。
- 1の手で、つかんだ手首をひっぱり、上半身の体側の一方を伸ばします。つづいて、両足も上半身と同じ側へ移動させて全身をバナナのような形に。両足をしっかり揃えましょう。
- 吐く息ごとに縮んだ体側をもっと縮めるイメージで、反対の体側の伸びを深めていきます。
- 伸びている体側は床から浮きやすいので、床に根付かせながら、数呼吸ポーズを味わいましょう。
- 吸う息でまっすぐの体勢に戻り、反対側へも同様に側屈します。
3.仰向けの親指をつかむポーズ・・・コア・股関節・脚を刺激
本来は身体の軸をしっかり保って行う力強いポーズですが、まずは運動不足で固まりやすい『股関節』を大きく動かすことを優先して、気軽に取り組みましょう。余裕がある時は、コアを働かせて軸を作ったり、脚部も注意深く意識したりしましょう。
やり方
- 片膝を両腕で胸へ強く引き寄せます。腰が丸まると股関節に効かないので、腰のカーブを保ちましょう。ここで数呼吸キープ。
- ももの裏で両手の指を組み、無理のない範囲で膝を伸ばしましょう。両腕は脇を締めながら太ももを引き寄せ続け、足裏は天井を押し上げるイメージです。膝とつま先をお顔の方へまっすぐ向けます。太ももの表は力強く、逆に裏は気持ちよく伸びるのを感じながら数呼吸キープ。 余裕のある方は、つま先を掴んでみましょう。
- 骨盤が不安定にならないよう片手で腰骨を軽く押さえ、天井に伸ばしている脚を外側に倒していきます。肘は床に置き、脚を支えます。股関節を外側に回す意識を持ちましょう。優先すべきは股関節と太ももの内側のストレッチなので、膝は伸ばさないで曲げていても構いません。数呼吸キープ。 余裕のある方は、ここでもつま先を掴んでみましょう。柔軟性と体幹力を養います。
- 開いた脚を吸いながら中央に戻し、吐きながら腰ごと反対側に倒して身体を深くねじります。『ウエストより上』と『ウエストより下』が逆方向にねじれていることを意識し、お腹まわりの筋肉を刺激するともに、内臓も刺激して機能を高めます。吐く息を意識しながら数呼吸キープ。
- 吸いながらねじりをほどき、一連の動きを反対側の脚でも行いましょう。
4.股関節の針の糸通しのポーズ・・・股関節・お尻・背中・腹部を刺激
別名"Figure 4"とも呼ばれます。その名の通り、両脚で数字の『4』を形作ります。長時間座っていると硬くなりやすいお尻まわりがほぐれるとともに、ご紹介する動きを取り入れることで、身体の広範囲が刺激されます。
やり方
- 一方の脚は膝を立て、反対の脚は股関節から外に開いて、外くるぶしを立てた膝の上にのせます。膝の上のくるぶし(足首)は、かかとを直角にして力を入れ続けます。
- 両脚を少し持ち上げて、立てた脚のもも裏で両手の指を組みます。腰が丸まらない範囲で立てた脚を胸の方向へ引き寄せ、数呼吸キープ。お尻まわりが伸びていきます。
- お腹の力で上体を軽く起こし、両手をすねの上で組みなおします。首を長く保ち、おへそを見ながら背中はリラックスして丸めます。
- ここで深い呼吸を意識。吐くたびに、手を添えた『すね』を前方へ蹴り出し、ゆっくりとお腹を引き締めましょう。その動きで背中はますます丸くなり、肩甲骨まわりが強くストレッチされます。数呼吸キープ。
- ゆっくり上体を床に休ませたら、反対の脚も同様に行いましょう。
5.仰向けの鷲(ワシ)のポーズ・・・肩・背中・コア・脚を刺激
肩こり解消ポーズとして有名です。腕・脚を強くからめることで、ポーズ解消後に一気に血が巡り、血行を促進します。腕と脚を分けて行ってもOKです。
やり方
- 太ももを床と垂直に起こして両脚を組みます。すねは床と平行。左右のお尻で均等に床を押しましょう。
- 腕を天井に向かって力強く伸ばします。両腕は平行にしても、両手を合わせてもOKです。肩甲骨が左右に広がり、肩先が床から離れます。
- ここで組んだ脚を確認。上にある脚(写真では右脚)と同じ側の腕が下になるように腕を組みます。首を長く保ち、腰のカーブをつぶさないように気をつけましょう。肘(ひじ)を天井方向に押し出し続けて数呼吸キープ。
- 吸う息とともにポーズをほどき、逆の組み方でも同様に行いましょう。
6.仰向けの半分の英雄座・・・前ももをストレッチ
股関節の前面(そけい部)や太ももの前面は、日常生活ではなかなか伸ばせない部分ですが、大きいリンパ節や太い血管が存在し、下半身の健康のためにケアすべき箇所です。座る時間が長いほど、縮んだ状態のまま固まってしまいやすい場所なので、むくみケア・冷え対策のためにも頻繁にストレッチしてあげましょう。
やり方
- 身体を少し横に向け、片脚の膝をたたみ、かかとをお尻に近づけます。上体を床に戻せる方は戻し、それが辛い場合はひじを立てて上体を少し起こしましょう(枕やクッションを上半身の下に入れてもOK)。
- 膝が開かないように気をつけ、曲げた脚の側のそけい部を少し押し出す感覚(腰を守り、ポーズの効果を得るために重要!)で数呼吸ポーズをキープ。腕は体側でも頭上でも好きな場所に置きましょう。
- お尻を浮かせて膝を伸ばしてポーズをほどきます。反対側の脚も同様に行いましょう。
7.魚のポーズ・・・胸を広げ呼吸を深める
PC、スマートフォン、家事・・・どれも顔と腕を前に出す動きを伴うので、胸の筋肉が収縮しがち。ここでは枕やクッション(畳んだ毛布でもOK)を使ってゆるーく身体を反らし、胸を開いて姿勢の偏りを解消します。肺が前方に広がりやすくなるので、胸式呼吸で活力も生まれやすいポーズです。
やり方
- 枕を背中の下に入れます。
- 肩先を床に下ろし、手の平は天井方向。アゴは出しすぎず引きすぎず、後頭部で床を優しく押しましょう。鎖骨や胸の皮膚が伸び縮みするのを感じながら数呼吸ポーズをキープ。肩から首にかけて違和感を感じたら、頭の下にも枕を入れましょう。
8.橋のポーズ・・・全身の背面を刺激し、股関節を開く
今回のシークエンスの中で、一番難しいポーズです。お疲れの時はスキップしてもOK。『運動不足だけど気軽にボディメイクしたい!』という方はぜひ行ってください。前の2ポーズの要素を合わせ、かつ強化したポーズなので、胸とそけい部を同時に開きますが、床との接地面積が狭い分、ポーズを保つのに筋力が必要となります。
やり方
- 両かかとをお尻にできるだけ近づけ、つま先をまっすぐ前に向けます。
- アゴは出しすぎず引きすぎず、顔を真上に向け続けます。腕は体側に置き手の平で床を捉えましょう。
- 吸いながら、腕と足で床を押して腰を持ち上げます。両手でお尻を支えましょう(指先はかかと方向)。肘と膝が開かないように気をつけ、そけい部のストレッチを意識。余裕があれば胸の中心を引き上げるようにして数呼吸ポーズをキープ。
- 吐きながらゆっくりと腰を下ろしてから、両ひざを左右にゆっくり倒す動きを何度か繰り返して腰をゆるめましょう。
9.時間があったら・・・屍のポーズで心身を回復
以上で8ポーズからなるシークエンスをご紹介しましたが、もし時間が許すようであれば、屍のポーズ(シャバーサナ)も行いましょう。仰向けのまま全身脱力。頭の中はポーズの余韻に浸るようなふわっとした感覚を味わいましょう。
最後に
全て仰向けから始まる“寝たまま”ヨガシークエンス、いかがでしたか。
気分がモヤモヤする時、だるく感じる時も、仰向けスタートなら気張らず試せると思います。
カラダが整えば、気持ちも上向きに⤴。お家にいても、身体を意識的に無理なく動かして、筋肉を柔らかく保ってあげましょう。
また、最近はオンラインのコンテンツも充実しています。動画配信を見ながら体を動かしたり、さらにはヨガやフィットネスのオンラインクラスに参加するのもオススメです。
オンラインクラスはヨガのインストラクターや他の生徒さんとのコミュニケーションの機会になり、心身ともに良い刺激を得られること、間違いありません!