もくじ
幸福度の高いオーストラリア。その理由とは?
毎年国連が発表する「幸福度ランキング」で、オーストラリアは156カ国中11位と、上位にランクインしています(2019年版)。一方で、日本は前年度の54位から下がり、58位でした。
この幸福度ランキングにはしっかりとした判断基準があり、一人当たりGDP、社会的支援、健康寿命、人生の選択の自由度、社会的寛容さ、社会の腐敗度、および腐敗の認識の6つの項目で判断されています。
日本が足を引っ張っている項目は「人生の選択の自由度」で64位、「社会的寛容さ」では92位です。比べて、オーストラリアは全体のバランスが良く、特に「社会的寛容さ」「人生選択の自由度」が日本よりも高くなっています。この2つの項目を、もう少し掘り下げてみていきましょう。
1. 他者を尊重する多民族国家のオーストラリア
「社会的寛容さ」が高いオーストラリア。オーストラリアは、世界中からさまざまな人種が集まる多民族国家です。そんな背景からか、オーストラリアでは異なる文化を持つ者を尊重し、平等に扱う姿勢が強く見られます。たとえば、海外からオーストラリアにやってきた学生への語学・学校生活のサポート制度がしっかりしており、それぞれの条件にあわせた支援が与えられます。個人の属性によって機会を妨げられることなく、全員に同等の学びと機会を与えようと、サポートが施されているわけです。
このことは、「性格や考え方、文化が異なる人でも、全ての人の発言を重要な話題・問題であると考える」という風土にも繋がっていると考えます。授業や会議等でも、私情を挟まずに相手の発言を聞く姿勢があることで、全ての人が恐れずに、気楽に意見を主張することができ、実質的に目的を達成させることができるのです。
覚えておきたいワード「ポジティブ・アクション」
ポジティブ・アクションとは、社会的・構造的な差別により不利な状況に置かれている人に対し、実質的な機会の均等を与えることを目的とした対策を意味します。
https://interactioninstitute.org/
画像左の「EQUALITY」は形式的平等。右の「EQUITY」は実質的平等。この2種類は区別して考えられます。
オーストラリアは右の「EQUITY」の考え方を採用しています。与えるものを平等にするのではなく、さまざまな身長の人に対して同等の機会を提供するために、それぞれにあった数の踏み台を与える環境が整っているのです。
この考え方に沿った支援が与えられるオーストラリアは、広い範囲の人に過ごしやすい環境を提供していると言えます。
2. 人の数だけさまざまな人生選択があることを教えてくれる
幸福度ランキングの評価基準の1項目ある「人生選択の自由度」が高いオーストラリア。子育てなどにおいても、親が子どもを従わせる姿よりも、子どもの自発的な意思を大切にする親の姿を頻繁にみました。子どもの個性を尊重する姿勢や、子どもを信頼し彼らが希望することに耳を傾けることで、子どもの自立性が高まるのと同時に、物事に対する責任感も育ちます。
さらに、オーストラリアには、自分の人生に1番最適な生き方をする人が多いように感じられます。オーストラリアで生活するなかで印象的だった光景が、子持ちの女性・男性がジョギング用のベビーカーを押しながらジョギングをしていた姿です。自分の生活スタイルにベストな時間の使い方をする姿が素敵だと思いました。この例のように、自分の環境を理解したうえで、何が1番最適なのかを判断しながら、自分の人生をコントロールしているという感覚を持つことで、心にも体にもヘルシーな生活を送ることができるのです。
3. 多くの機関でメンタルヘルスを重視する姿が見られる!
オーストラリアでは、学校やコミュニティなどで、メンタルヘルスに関する調査を実施し、心の健康に関する教育を積極的に行っています。メンタルヘルスを重視する社会的環境がある場合、相談窓口を訪れることにも抵抗感を抱かずにすみ、精神状態の悪化を未然に防ぐことができます。
私たちは、社会的・文化的背景によってメンタルヘルスを軽視してしまっている?
社会的・文化的背景によって「メンタルヘルスのサポートを受けるのは、深刻な状態にある人だ」と考えてしまう傾向にある場所があります。また、「心身への健康のために行う小さな取り組みが、メンタルヘルスを良好にするとは思わない」と軽視してしまう意見も多いです。しかし、ストレス社会と呼ばれる現代に暮らす私たちは、メンタルヘルスと真剣に向き合っていく必要があります。日本の例でいうと、5人に1人が、人生で何らかの精神疾患にかかり、およそ15人に1人がうつ病を経験するという研究結果がでています。
あなたの身の回りの環境を見渡して、自分や周囲の人たちがストレスに対してどういった考え方や反応をしているかに注目してみましょう。もしも、あなたのストレスへの考え方が自分の意思によるものではなく、何かによってコントロールされていると感じる場合は、それらの考えを断ち切って、ストレス軽減に向けた対策を素直に取るようにしましょう。
大学では、メンタルヘルスを重視したワークショップが開かれる!
授業がますます難しくなり、課題も増え、睡眠時間を惜しんで勉強をする生活を繰り返す学生が、メンタルヘルスの低下を経験することはよくあります。食欲が安定せず、急に食べてしまったり、食欲を感じなくなる人も多いです。特にオーストラリアには、毎年たくさんの留学生が海外からやってきて、異国の地で勉学に励んでいます。彼らが、新しい国に住むことのプレッシャーやカルチャーショックに苦しむのはよくあることです。
そんな学生たちに対し、学校側が企業を雇い、フリーマッサージの提供やヨガの体験プログラムなど、学生のメンタルヘルスを重視したワークショップを開くことも少なくありません。さらに、大学のホームページ等でも、大学周辺で散歩できる場所を紹介していたり、メンタルヘルスに関する記事を公開しているジャーナルに、大学ホームページから簡単にアクセスできるようになっていたりと、常に大学側が学生のメンタルヘルスを気遣っている姿が見られました。
学校側は、息抜きやメンタルヘルスの改善が、勉学のパフォーマンスを高めることを理解しており、さまざまなメンタルヘルス向上に向けたプログラムを提供しているのです。
MindMattersというプログラムの普及
アメリカの調査によると、精神疾患の半分は、14歳までに発症することが報告されています。これを受け、オーストラリアでは、「MindMatters」と呼ばれるプログラムを、中学と高校で実施することで、若者の精神疾患に関する知識の向上を目指しています。ストレスへの対処法、自殺の予防、精神疾患の知識、いじめなどのテーマについて、教材を使用しながら学んでいくスタイル。
オーストラリアは、人生早期におけるメンタルヘルス活動の実践が、国民の精神的健康を維持するとして重要性を認識し、このような若者対象のプログラムを実践しています。
4. あなたも今日から実践できるストレスフリーなライフスタイル
コーヒー(カフェ)文化
オーストラリアは世界有数のコーヒーの消費量を誇る国であるのをご存知でしょうか。1日を通して、コーヒーを楽しむ人たちの姿を見ることができます。たとえば、休憩時間を利用して、1杯のコーヒーを仲間と一緒に飲むことで、リフレッシュしている光景がよく見られます。美味しいコーヒーを飲むことでリフレッシュしているとも言えますが、コーヒーを楽しむことによって仲間との距離感を縮めることにも繋がっています。
また、カフェで過ごす時間も、人々にリラックスをもたらしています。オーストラリアのカフェには、若いカップルから家族連れ、おばあちゃん・おじいちゃんなど幅広い世代の客層が見られることが一般的です。カフェで時間を過ごすことにより、温かいコミュニティが形成され、あらゆる世代にとって過ごしやすい環境が、至る所に広がっているのではないでしょうか。
他人からの評価を気にしすぎない
オーストラリアで生活をしていくなかで感じたのは、「人は人、自分は自分」という意識を強く持っている人が多いこと。それはファッションや性格、ライフスタイルにもあらわれています。友人たちやクラスメイトとその日のコーディネートについて話すと、「着心地がいいから着る」「その服を着ていると幸せな気持ちになる」など、他人の目を気にするというよりも、自分の感情を大切にしている理由から、その日の服を選んでいる人が多かったです。
また、自分を隠して誰にでも好かれようとするよりも、自分の意見を持つことの方に優先順位を感じている人が多いのも特徴です。環境のおかげなのか、オーストラリアで生活をするうちに、ありのままの自分を出して、それでも好きでいてくれる人と関わろうと思うことができるようになりました。
人間は誰しも、他人からの評価を少なからず気にして生きています。しかしそれが加速してしまうと、自分を思うように表現できずストレスが溜まってしまいます。他人からの評価を気にしない生活を心がけ得るだけで、心のもやもやがスーッと消える感覚を覚えます。他人の評価が気になりすぎて、生活に支障をきたしていると思う方は「人は人、自分は自分」という考えを持って、生活をしてみましょう。
【まとめ】オーストラリアの幸福度が高い理由
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それぞれの国ならではの良い面がある!
どんなことにも2面性があるように、それぞれの国には独自の文化と考え方があり、素晴らしい点と欠点があります。国の優れていると思う点などは自分の価値観によっても大きく変わってくるため、一概に「この国は優れている」と言うことはできません。今回は、国連が発表した幸福度ランキングを元にして、オーストラリアの幸福度の鍵を探ってみました。彼らの生活が、自分にポジティブな影響を与えるだろうと考えた方は、ぜひお手本にしてみてくださいね!