もくじ
地方都市でのヨガスタジオ運営における楽しさと大変さ
第一回では、首都圏のヨガスタジオについて書いてきました。今回は、都内と地方都市のヨガスタジオ経営に違いがあるのか別府にてエアリアルヨガスタジオ「AERIAL YOGA Lapity」を運営されているRUMI先生にお話を聞いてみました。
エアリアルヨガについては、ご存知の方も多いと思いますが念のためおさらいしておきますね。エアリアルヨガは、ハンモックのように吊るされた布の中で行うヨガです。私などはなぜか形状は違えど、見るとモンゴルのパオが思い浮かんでしまうのですが、スタジオの雰囲気を見ていても吊るされた布を見ているだけで癒されるとてもほのぼのとした印象を受けます。
エアリアルヨガは、ニューヨークOMヨガスタジオで長年ヨガ講師を勤め、ダンサーとしても活躍されていたミシェル・ドーティナックがエアリアルダンスに出会ったことがきっかけと言われています。このミシェルのアイデアが発展して今ではハンモックヨガ、空中ヨガ、アンチグラビティヨガなど数多くの名前が付けられ世界中に広まっています。一口にエアリアルヨガと言っても関節に負担をかけないようにヨガのポーズを深めるものからアクロバテックなポーズをとるものまでいろいろなスタイルがありますので、ご自身にあうエアリアルヨガを探してみるのも楽しみの一つかもしれません。
スタジオを運営するとは思いもよらなかった。流れと直感を大切に
「AERIAL YOGA Lapity」のRUMI先生は東京から別府に移住したのを機にご自身のスタジオを作られたそうですが、もともとはダンスをずっとされておりヨガスタジオを運営しよう、とは考えてはいなかったそう。しかし、ダンスで関節を痛めていたRUMIさんにとって、エアリアルヨガが体の歪みを緩和してくれたり、関節に負荷をかけずにできること、など全てがあっていて別府に移住する前に体験したエアリアルヨガがとても気持ちよく感じたこと、また大分市にはエアリアルヨガは2件しかなかったことなどさまざまなことが重なり、スタジオを運営するに至ったのだそう。
たしかに、なにか変化があるとき、まるで自分の意志だけではないくらいの大きな流れを感じることってありますよね。それもとても「ヨーガ的な流れ」のように思えます。また、「ヨガの気持ち良さを味わってほしい」と純粋な思いと、エアリアルヨガは布を使うことで少し見た目も非日常な感じも味わえますので、「いつもとは異なる特別な空間になれば」と言う思いもあったそうです。実は、「AERIAL YOGA Lapity」は温泉もついているのでレッスン後入ることも可能だそう。温泉があるなんて何て贅沢なんだー!と思いますが、これも別府ならではの特典付きという感じもして、わたしがもし近くに住んでいたらきっと足繁く通ってしまいそうです。
スタジオにかかる家賃が安いのもスタジオ運営に踏み切れた理由の一つ
また、別府では思いのほかスタジオにかかる家賃が安かったのもスタジオ運営の決め手になったとか。たしかに、ここは都内とは大きく異なる点かもしれません。準備金などの初期費用というのはどうしても高いハードルになりますので、家賃が低ければ踏み出すきっかけにはなり得ます。地域によっては、都内と同じくらいの家賃の場合もあるかもしれませんが、家賃が低い場合は、スタジオを作るハードルは下がるので始めやすいかもしれません。
自分の魂を喜ばせることをしながらスタジオを運営しよう
また、スタジオを運営する上での良いところはやはり、自分でスケジュールを決めることができる「自由さ」だとRUMI先生は言います。たくさんお客さんに来てほしいとレッスンスケジュールを多く設定していた時期もありましたが、会社に勤めているわけではないのだから、時に休みを取り自分の時間も大切に、自分の魂を喜ばせることをしながらスタジオを運営しようと今では思うようになり、実践するようになったとのこと。
そして、一年半スタジオを運営してみて感じたことは、「場所を介して人との出会いが生まれる素晴らしさ」に気がついたのだそう。「気持ちよかった。ここはパワースポットですね。」と生徒さんが言ってくださるのも嬉しいことなんだそう。大分などのローカルエリアの場合は、コミュニティが近いぶんたまたま来た生徒さん同士が同じマンションであることが発覚したりとなにかとつながりが濃くなりやすく、友達が友達を紹介してくれたり、人が人を呼んでくれることもあるのだとか。まさにこれはヨガを通して繰り広げられる「友達の輪」。なんだかとても嬉しいじゃありませんか。
お客さんが来ないかも…悩む前に「行動力」で勝つ!
とはいえ、スタジオを開けたとしても、「絶対に生徒さんが来る」という保証はないので、人が来ない時間があるかも、というのは覚悟しなくてはなりません。(ここは都内でも変わらないかもしれませんが)。ただ、悩んでいてもお客さんは来ません。そもそも暗い気持ちで運営しているスタジオにお客さんは寄り付きませんよね。
しかし、生徒さんからのアイデアでエアリアルヨガで布にすっぽり包まれたままのヨガニードラを行うクラスを作るなどユニークなクラスを行ったり、別府の美味しい南インドカレーのお店 「TANE」さんや「青い鳥」さんでのカレーやお弁当を作っていただくなど、さまざまなイベントやコラボレーションを企画し実行しています。悩む前に、動いてみる、の精神ですよね。
そうすることで最近来てくれていなかった生徒さんがまた遊びにきてくれたり、毎回来てくれている方にとっては普段とは違うイベントを楽しんでくれていますし、地域の活性化や交流にもつながります。
いずれにしてもヨガスタジオを運営するということは、1フリーインストラクターとは異なり、他の先生の指導内容やスタジオの設備管理など含め全ての経営責任が自分にあるため、全体を把握・管理できる広い視点が必要になります。
スタジオを運営しつつ、RUMIさんのようにインストラクターとして指導される方がほとんどだと思います。自分のレッスンの準備をしつつスタジオ経営にも気を配るのはやはり、神経を使う部分もあるそうですが、時には「別府でこんなヨガがあると思わなかった!」と来られた方に言ってもらえる喜びもあり続いていると RUMI先生はおっしゃっていました。
筆者が感じた地方と都内のヨガスタジオの違い
わたしは地方都市出身(仙台)なので、自分の体験でしかありませんが、「土地の雰囲気」というのがヨガスタジオには反映されやすく地方都市にはその土地のムードが色濃く感じられるという特徴もあります。例えば、海辺の近くだったらのんびりしたムードだったり、山の近くだと自然が感じられてより癒されたり、山や海などの自然が近いとちょっとしたワークショップも開催しやすく生徒さんも気軽に参加できるというメリットもあります。都会だとヨガリトリートとしてわざわざ行うことも、地方都市だともうすこし気軽になるので生徒さんもきやすいというメリットはあるかもしれません。
とはいえ、地方都市でも都内のヨガスタジオでも「行動力やタフさ」「臨機応変に対応する力」というのも運営をする条件の一つだと思います。これはヨガスタジオを運営している人ではない普通のお店をされている方が言っていたのですが、「好きなこととはいえ始めたからといってずっと続けなければならないというわけではないし、無理に続けようと思っていないんです」という言葉が妙に心に残っています。逆説的なようですが、人は誰でも変化していくものなので、ヨガスタジオを自ら運営してみてわかることというのはたくさんありそうですし、もしヨガスタジオを作ってみたいなと感じる人がいたら、まずは口に出してみるところから始めてみてはいかがでしょうか?今住んでいるところ以外で、ひょんな物件とであるかもしれませんし、そういった流れを楽しむのもよいかもしれません。
まとめ
場所が変わっても、ヨガスタジオ運営についての基本的なところは変わらない。しかし、家賃が安い、人とのつながりが濃くなる、自然の恵みがみじかにある(別府のAERIAL YOGA Lapityには温泉もある!)というところが大きな違いなようにも感じました。タフな行動力や精神力が求められるのは変わりがないけれど、スピードの面では少しゆったりのんびりとしたゆとりがあるようにも感じられました。今都内に住んでいてヨガスタジオ運営に興味があるという人は、地方都市を視野に入れてもスタジオの候補地が広がるかもしれません。旅などで、日常とは別の土地に出かけた時にヨガスタジオに入ってみると雰囲気の違いがわかるかもしれません。
今回お話を聞いたヨガスタジオ「AERIAL YOGA Lapity」
大分・別府のRUMI先生ありがとうございました!
AERIAL YOGA Lapityは、少人数制で時々屋外でのビーチヨガなどのイベントもしている人気のヨガスタジオです。非日常を感じに、是非遊びに行ってみてください。