もくじ
瞑想にはいくつもの種類がある
瞑想には数多くの種類があります。初めて瞑想を行う人は、呼吸を意識して思考が散漫になったらまた呼吸に意識を戻したり、数を数えたりという方法を試した人が多くいるのではないでしょうか。「サマタ瞑想」と呼ばれるものがそれに当たります。
さまざまな種類のある瞑想のひとつに、「ヴィパッサナー瞑想」といわれるものがあります。「サマタ瞑想」が集中の瞑想と言われ、一点に集中して瞑想を行っていくのに対し「ヴィパッサナー瞑想」は意識の対象を移り変えていくというもの。複数意見はありますが、「ヴィパッサナー瞑想」の方が難しいとも言われます。
今回はヴィパッサナー瞑想がどんなものか・詳しいやり方・日本でヴィパッサナー瞑想が行える場所・体験者の声などをご紹介します。
ヴィパッサナー瞑想とは?
ヴィパッサナー瞑想とはお釈迦様によって多くの人に伝えられた技法で、「物事をありのままに観察する」ことで自分の思い込みや信念などを手放していき、最終的には解脱し、真の幸福を得るというものです。
たとえば何か物事が起きた時に人は悲しい・嬉しい・辛いなどさまざまな感情が生まれたり、その生まれた感情から何か行動を起こしたりしますが、ヴィパッサナー瞑想では「その感情が動いた自分に気づいて観察する」 という方法をとります。
解脱して悟りを得るという体験を持つ人もいますが、どちらかといえばそれを目的としてすごい体験をしようとか、何か特別な宗教であるとかいうのではなく、どのような場合でも感情に振り回されるのではなく感情を見つめる(見つめ続ける)ことで、思考に振り回される自分に気づき、手放していくというもの。
タイの少年たちが洞窟の中で行っていたとされる「ヴィパッサナー瞑想」とは?
身体の感情と心の繋がり
さまざまな瞑想に取り組み、その際自分を内観・観察して思考のおしゃべりをやめ、心身をすっきりさせることはとても大事なことです。
ヴィパッサナー瞑想では、「身体と心が繋がっていることをじかに体感として感じるという不思議な領域を経験していきます。
身体感覚が生まれている場所には何かしらの精神的なしがらみや感情があり、その身体感覚が消えていくのを見つめることで精神的な囚われが手放されるいう不思議な体験をするのですね。
その過程において自分の心に色濃い影を落としたできごとを見つめる必要がありますが、その囚われに気づくことができれば傷ごと手放すこともできます。
ヴィパッサナー瞑想のやり方
それではヴィパッサナー瞑想のやり方を解説します。
- まず楽な姿勢で座り、目を閉じて鼻呼吸をする。鼻の下辺りに意識をあて、呼吸による鼻の穴への風の通りを感じ、観察する。(どちらの鼻の穴から呼吸をしているか・風の通りや温度を感じるかなど)
- 鼻の下の呼吸をしっかりと感じたら次は眉間から鼻の下までの三角形のエリアの感覚を感じ、観察する(鼻先を頂点に)。
- 頭頂部をはじめ、おでこ・まぶたの上・後頭部・耳など頭部から全身のすべての場所に意識をくまなく当てていき、それぞれの場所に何か身体的な感覚(微細な電流のようなビリビリ感や拍動など)を感じるか確認していく(確認できない場合はできるまで意識をそこにおく)。
- 全身の身体的な感覚を感じ続けると、その後さらに感じる身体的な感覚を観察し続ける。
- 瞑想中身体的な感覚を感じると同時にさまざまな出来事が蘇ったりすることがあるが、その意識も観察し続ける。
痛みすらも感覚で捉えるヴィパッサナー瞑想
同じ体勢を崩さずヴィパッサナー瞑想を行っていると、足が疲れて痛くなったり身体を動かしたくなる衝動にかられますが、その場合でも「痛い→動かす」のではなく、痛みを観察していきます。
するとその痛みの感覚が強い電流のようなビリビリ感や熱・拍動であったりと個人個人で感じますが、それを観察し続けます。
身体の感覚を隅々まで感じる
ヴィパッサナー瞑想では鼻の下から始まり眉間・鼻の下までの三角形のエリア→頭頂部から全身のすべての場所(足の指先1本ずつ)までの身体の感覚を感じていきます。
これって感じてるのかな?と疑問な場所もあればじんじんしたりビリビリしたり、熱を感じたり拍動を感じたりする場合もあります。
通常の生活をしている時は何も感覚を感じない場所なのに、ヴィパッサナー瞑想中のみ感覚を感じるポイントもあります。
ヴィパッサナー瞑想センターでの生活とは
ヴィパッサナー瞑想は「心の手術」ともいわれます。前述の通り身体の感覚を隅々まで感じる瞑想なので、時間をかけてしっかりと行いたいもの。
インドをはじめ世界中で行われている瞑想であり、アシュラムや世界中のヴィパッサナー瞑想センターなどで行われており、本格的に行いたい場合には、10日間の日程で合宿という形をとって行われます。
ヴィパッサナー瞑想センターでの1日
- 4:00 起床
- 4:30~6:30 ホール・自室にて瞑想
- 6:30~8:00 朝食・休憩
- 8:00~9:00 ホールでグループ瞑想
- 9:00~11:00 ホール・自室にて瞑想
- 11:00~12:00 昼食
- 12:00~13:00 休憩・指導者への質問
- 13:00~14:30 ホール・自室にて瞑想
- 14:30~15:30 ホールでグループ瞑想
- 15:30~17:00 ホール・自室にて瞑想
- 17:00~18:00 ティータイム
- 18:00~19:00 ホールでグループ瞑想
- 19:00~20:15 講話
- 20:15~21:00 ホール・自室にて瞑想
- 21:00~21:30 ホールで指導者に質問
- 21:30 就寝
引用: https://www.adicca.dhamma.org/ja/code/
1日中瞑想をしているイメージですね。10日間コースでは1日目~4日目まではひたすら呼吸に意識を集中します。
日本でヴィパッサナー瞑想を行える場所は?
日本で10日間のヴィパッサナー瞑想コースを受けられるのは京都の「京都ダンマバーヌ」と千葉の「千葉ダンマーディッチャ」。
いずれも世界中に点在するヴィパッサナー瞑想センターのひとつで、世界中同コースで行われます。
2回目以降の瞑想コースは10日間以上の日程で瞑想することが可能ですが、初めての人は10日間コースの受講となります。
必要な持ち物
- 敷布団のシーツ・掛け布団カバー・枕カバー
- 洋服(洗濯できるため、上下3枚ずつほどの身体のラインが分からず楽なもの。膝が見えるパンツはNG)
- 下着・スリッパ
- 洗面道具/シャンプーやリンス/化粧水
- 女性であれば生理ナプキン
- バスタオル・ハンドタオル
- その他コンタクトなど個人的に必要なもの
費用
ヴィパッサナー瞑想センターの10日間の滞在費用は寄付制となっています。指導者や奉仕者もボランティアで行われています。
ヴィパッサナー瞑想センターで恩恵を受けたならばまた次の人が気持ちよく利用できるように、という意識を持って寄付を行いましょう。
ヴィパッサナー瞑想体験者の声
ヴィパッサナー瞑想を実際行った人の体験の声をご紹介します。
10日間のヴィパッサナー瞑想修行に行ってきた。昔の思い出フラッシュバックしたり、人生初の過呼吸になったり、本気でびっくりするくらいしんどかったけど、お陰で、深い自己理解ができた。いわばセルフカウンセリング。
ゴエンカ氏のヴィパッサナー瞑想、30日間の長期コース終了。とても確かな手応えを感じられた良い修行だった。身体の変化はもちろんのこと、なによりも慈悲の瞑想の威力を体感し、再現できるようになったことは大きく、しばらくは慈悲の瞑想の強化期間にすることにした。
仕事もやめて、お金もなくて、でも心を助けたくて、時間だけはあったので、思いきって興味のあったヴィパッサナー瞑想の合宿に申込んだ。
結果からいうと、非常によかった。
その後の自分の助けになっている。
宗教ではないので誰にでもおすすめ。
これらはヴィパッサナー瞑想を行った方の実際の声です。10日間瞑想し続けるという大変なコースゆえ、心の手術といわれる大きな変化を感じられるのでしょう。
ヴィパッサナー瞑想を行ってみよう
今回はヴィパッサナー瞑想についてご紹介しました。取り組むことが困難なように思えますが、10日間コースでなくても自宅で時間をとって行ってみるとさまざまな気づきが得られるでしょう。
何よりも心と身体が連動していることに気づくことができるのが魅力です。ぜひ1度取り組んで見てください。