もくじ
日々の食卓を彩る食器には本当にさまざまなものがあります。こだわりを持ってお気に入りのものを揃えている人もいれば、適当にあるものを使うという人もいるでしょう。
食器にこだわりを持ち、テーブルをアレンジして日々を過ごすことは心のたのしみであり、また美しい所作のひとつであるといえるでしょう。今回は「アンティーク和食器」について・またおすすめの使い方などをご紹介します。
アンティーク和食器とは?
アンティーク和食器とは、江戸の時代の古伊万里や明治・大正・昭和初期辺りまでの古い器・食器のことをいいます。
「骨董品」として骨董屋や骨董市などで売られており、江戸時代の古伊万里のように価値が高く値段も立派なものもあれば、明治以降のもので手頃な値段で楽しめるものもあります。
日本で初めて造られた磁器「伊万里焼」
「伊万里焼」とは日本で初めて造られた磁器で、現在も佐賀県の有田町で造られています。有田町といえば有名な有田焼がありますが、伊万里焼と同じものを指します。有田町で造られた器が伊万里の港から海外へ輸出されたため、海外で「Imari」と呼ばれるようになりました。
その歴史は古く、江戸時代の初期から造られています。特に江戸時代までに造られたものを「初期伊万里・古伊万里」と呼び、現在でもとても価値の高いもの。
やはり美しい青の染付が人気!「初期伊万里・古伊万里」は日本の美
写真右・微塵唐草
特に骨董愛好家・収集家からは染付のみの初期伊万里はとても人気があります。初期伊万里には厚めの素地・白と青の染付のものが多く「淡く枯れた青」・「青のにじみ」がとても美しいのです。手描きで描かれた温かみも魅力。
手描きだけでなく「こんにゃく印判」と呼ばれるものもあり、ひとつずつこんにゃくのような柔らかいもので刷られており、こちらも手描き同様柔らかい温かみが素敵です。
明治に入ってから現在に至るまでの伊万里焼は古伊万里と呼ばず「伊万里」と呼びます。
また、もともと呉須という藍色の染料が生み出す淡い色合いが魅力でしたが、ドイツから安く酸化コバルト(ベルリン藍・通称ベロ藍)が輸入され、青の色が濃くなりました。
初期伊万里・古伊万里は食器として人気なだけでなく、観賞用・美術品としてもとても価値・評価が高く、海外の王侯貴族にも大変愛されています。
古伊万里のさまざまな絵柄
古伊万里にはさまざまな絵柄があります。
・唐草模様
蛸の足のような蛸唐草・細かい模様の微塵唐草・花モチーフの花唐草などは古伊万里でも定番の人気絵柄。特に微塵唐草は価値が高いのです。
・動物
古伊万里にはさまざまな動物が描かれており、縁起物と人気の高いものもたくさん。うさぎや竜・虎・獅子などはよく見られる絵柄です。
・松竹梅
縁起の良い松竹梅もよく古伊万里で描かれる絵柄です。写真は松竹梅のそば猪口。
赤絵や金襴手はアクセントに
青と白だけの染付は骨董愛好家に特に人気ですが、赤を中心に色付けられた「赤絵」と呼ばれるものや、金を彩色した「金襴手(きんらんで)」というものも華やかさが魅力で人気があります。
染付は「日本のわびさび」 を感じさせる素の枯れた魅力がありますが、赤絵や金襴手はゴージャスさを感じます。
この赤絵や金襴手は柿右衛門・九谷焼・古九谷・古伊万里・京焼などで見られます。インパクトのある絵柄やカラーなので、食卓のアクセントとして楽しめます。
大正硝子のほっこりする温かみ
西洋のオールドなガラスには本当に薄いものがあり、その繊細さといったらありません。
大正硝子とは、明治から大正・昭和初期にかけて日本で産まれた硝子製品で、現代のような平坦なものではなく、歪みがありちょっと分厚めなもの。
レトロかわいい乳白色なものや切子などがあり、ガラスなのに何故か温かみを感じられるものが多いのです。
アンティーク和食器を選ぶ時に気をつけたいこと
アンティーク和食器にはさまざまなものがあり、どれも魅力的です。骨董初心者の方では、どれを選べば良いのか分からない・どの商品にどれくらいの値段が妥当なのか分からないという悩みがありますね。
お値打ちのものであれば自分のピンと来たものを選べば良いですが、ちょっと値の張るものの場合は困ってしまいます。
まずは信用できるお店を見つけること。そして、大体の注意点に留意することが大事です。
- 傷がないか
- インターネットなどで大体の相場を確認しておく
- 手描きでも印判でも1つずつの絵柄を確認する
- 手描きとプリントの違いを見る→線の部分に手描きならではの特徴が現れやすい(機械でプレスしたものと手描きでは全然違う)
- 黒点や汚れ・絵の具の飛びが少ないものを選ぶ
食器に興味のない方であると、本物の価値ある骨董品とプレスされた多売の商品の違いがなかなか分かりにくいかもしれません(よく見ている方にはすぐ分かります)。
日々の生活にアンティーク和食器を
ガラスであれ磁器であれ、「本物の骨董製品」は美しいもの。日常生活に取り入れれば「遥か昔から伝わる美しく良きもの」に触れられ、時代背景や磁器の歴史も豊かに感じられます。
生活にも自分自身にも、「美」を取り入れられるのは素晴らしいですね。
たとえばコーヒーを飲む時の器を古伊万里や古九谷のそば猪口や湯呑みにしてみたり、豆皿や小皿にナッツやお茶菓子を入れてみるのはとても簡単な取り入れ方です。
また、大正硝子のランプシェードを灯したり、水さしとしてちょっとお花を生けたりなどもおすすめの使い方です。
もちろんご飯茶碗や汁椀・サイズに合わせたさまざまなアンティーク和食器を食卓に取り入れると、毎食の時間が目にも美味しい時間に変化しますよ!
アンティーク和食器はどこで買える?
京都中京区「大吉」
本物を見極める目を養いたい方や、自分にとって最高のものを手に入れたい方におすすめのお店。
住所 | 京都市中京区寺町通二条下ル妙満寺前町452 |
電話番号 | 075-231-2446 |
定休日 | 月曜日 |
営業時間 | 12:00~17:00 |
東京吉祥寺「Puku Puku」
低価格で購入できる印判のアンティーク和食器やさまざまな品揃えが魅力のPuku Puku。安価にアンティーク和食器を取り入れたい人におすすめです。
好きなものを集めて組み合わせるのも楽しい
アンティーク和食器を手に入れたら、使い方は自分次第です。これを入れたら素敵!というように自分の感性でさまざまなアイディアを楽しむことができます。
価値も値段も高いものはたまのご褒美として観賞用・特別な時に使う・日常的にはこれを使うなど自分の感性であれこれと楽しめることが魅力です。
ひとつの器そのものに美を見出すことは個人の人生に深みをもたらしてくれます。ぜひ美しいアンティーク和食器の魅力を知り、自分なりの美を生活に取り入れてみてください。