もくじ
漢方とは
漢方の始まりは中国で長く行われている「中医学」です。5世紀ごろには日本にも伝わり、日本の風土や日本人の体質などに合わせて独自に発展して今に至っていると言われています。「漢方」という名前の由来は、漢の時代に伝わった東洋医学というところから来ているそうです。
お悩み別:体を温める漢方
ここではお悩み別に、体を温める漢方を見ていきましょう。一件、体の冷えとは関係ないように見えるお悩みもありますが、体の一部の不調が全体の循環を滞らせ、体を冷やす原因になります。「冷え」の原因が何かを突き止めて、自分に最適な漢方を使用するようにしましょう。
胃もたれの悩み
胃の悩みの代表例として挙げられる「胃もたれ」。消化が遅いために食べ物や飲み物が胃の中に長くとどまることで起こる不快感のことです。胃もたれの原因となるのは食べ過ぎや飲み過ぎのほか、心因的なストレスも関わると言われています。漢方医学の視点では、胃もたれは「気」が不足している状態。または「津液(水)」のバランスが悪いことで胃もたれを生じるとも考えられます。
そこで、胃の血行をよくし、胃を温めることで緊張を解き溜まった水分を排出するのが効果的です。具体的な漢方薬をご紹介すると、胃に溜まった水を出す際に用いられる漢方が「六君子湯(りっくんしとう)」です。また血行をよくして消化をよくするのには「四君子湯(しくんしとう)」、胃酸を調整するためには「安中散(あんちゅうさん)」が処方される場合があります。漢方を作る生薬の中には、胃の悩みを解消してくれる健胃作用のあるものが多いため、飲んでも胃に負担がかかりにくいのです。
腸(便秘や原理)の悩み
便秘や下痢で悩む方は、漢方を使って腸を温めてみましょう。腸が冷えてしまうと免疫力が低下して感染症にかかりやすくなるそうです。お腹が冷えて痛い、膨満感があるという場合、血の巡りをよくしてお腹を温めてくれる、「大建中湯(だいけんちゅうとう)」という漢方がおすすめ。この漢方の中に含まれる生薬「人参(にんじん)」は、胃や腸の消化機能を助けてくれる効果があります。お腹を温めることで体質改善をしましょう。
子宮や月経不順などの悩み
女性にとって、月経不順や月経痛など、子宮の悩みを持つ場合もあるかもしれません。漢方医学の観点では、月経困難や月経不順などの悩みは「血」に異常があるとされています。こうした女性特有の悩みには、「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、「加味逍遥散(かみしょうようさん)」、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」という3種類の漢方が有効と言われます。
この3つに共通して含まれている「芍薬(しゃくやく)」は、血が不足した状態を補ってくれる補血薬の役割があり、併せて痛みを和らげてくれる効果があります。子宮にまつわるお悩みがある女性は、芍薬が含まれている漢方を試してみてもよいかもしれません。また、漢方を取り入れると同時に、血の巡りをよくするためにマッサージをしたりお腹をあたためたりするとよいでしょう。
鼻(鼻炎など)の悩み
鼻炎や副鼻腔炎など、鼻のトラブルに悩む方も多いようです。鼻炎の種類には急性のものと慢性のものがあります。急性鼻炎は風邪や花粉症などでくしゃみ、鼻水、鼻づまりなどが起こる症状のこと。慢性鼻炎は常に鼻水や鼻づまりが続いている状態のことです。どちらも体を温めることで症状が改善する場合があるので、普段の食生活を見直してみましょう。
野菜を食べる場合でも蒸したり茹でたりして食べたり、体を温める作用があると言われているネギやショウガ、イモ類、人参などの香味野菜や根菜類を食べると効果があるようです。風邪による急性鼻炎には、「葛根湯(かっこんとう)」という漢方がおすすめ。ひき始めに服用することで体を温めて発汗作用を促して鼻炎症状を抑えてくれます。
また、慢性的な鼻炎に悩んでいる方は、葛根湯がベースとなって、体を温める上に余分な水分を発散する役割を担って鼻炎を改善する「葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)」がよいでしょう。
下半身の冷えの悩み
体の冷えの中で、主に手足や末端などの下半身が冷えるのは、体にじゅうぶんな熱があっても巡りが悪いことで隅々に熱が行き届いていないからです。冷え症に悩む女性の多くが、こうした下半身の冷えに悩んでいると言われています。
下半身の冷えにおすすめなのが、「補陽薬」といって体を温める役割を持つ漢方。人参や「桂皮(けいひ)」、「附子(ぶし)」などの生薬が含まれている漢方は末端の冷え改善が期待できます。例えば、「八味地黄丸(はちみじおうがん)」、「当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)」などは附子、桂皮を含んでおり、血の巡りをよくして体を温めてくれますよ。
頭痛の悩み
冷えによる頭痛を感じたことはありませんか?頭痛の種類は色々ありますが、体が冷えることで肩より上を部分がズキズキする場合があります。また、冷えによる胃腸の弱さが頭痛に繋がるということもあるようです。
こうした場合はまず、桂皮や人参を含む漢方、「桂枝人参湯(けいしにんじんとう)」で胃腸を温めましょう。そうすれば頭痛の症状も改善されていきます。肩こりを伴う頭痛の場合は、風邪のときに飲む、「葛根湯」も効果が期待できます。
漢方は飲みにくい?飲みやすくする飲み方とは?
粉薬・顆粒の場合
冷えによるさまざまな症状に効果的な漢方ですが、一般的な粉薬よりも粒が大きめだったり、独特な匂いがあったりして飲みにくいと感じる方も多いようです。漢方の飲みにくさを少しでも改善するには、漢方を口に入れてから水を飲むのではなく、先に水を口に含んでから水の上に漢方を落とすようにして、その後もう一度水を飲むようにしましょう。こうすることで飲みにくさを軽減できます。それでもまだ飲みにくいという場合は、市販の服薬ゼリーやオブラードなどを使用するとよいかもしれません。
また、漢方は自分が悩んでいる症状と合っているときには不思議と飲みにくさを感じにくいとも言われています。自分に合う漢方を見つけるには、専門の薬局や漢方外来などに行ってアドバイスをもらうとよいでしょう。
今話題の煎じ薬(漢方煎薬)は飲みやすい続けやすい!
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漢方の入ったティーバッグを、水から煮出して作るお茶のような「煎じ薬」も今話題です。普通のお茶のようにゴクゴク飲めるので、どうしても粉が飲めないという人にはぴったり。「十全大補湯」や「当帰芍薬散」が冷え性の方にはオススメです!
朝飲むコーヒーを漢方入りの煎茶に変えてみてはいかがでしょうか?
どこで買えるの?
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下の動画は藤田薬局さんが、提供している煎じ薬の煎じ方についてです。
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浅草に店舗を構えるKAMPO煎専堂や、全国の加盟店でも買えます。
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まとめ
慢性的な冷えに悩んでいる方は、対策法のひとつとして漢方を取り入れてみてはいかがでしょうか。食生活の改善や、外側から体を温めるほかに、漢方で内側から冷え改善に取り組んでみませんか?
※本記事では特定の漢方薬の効能を解説しておりますが、実際に服用する際は、漢方医や漢方薬局で必ず事前にご相談ください。
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