もくじ
炭水化物とは何か?身体のどこに作用する?
まず炭水化物は何か、ということについて概要を解説します。
炭水化物の役割は?
炭水化物の役割は、身体の中でエネルギー源となって、臓器を働かせ、筋肉を動かし、脳を活性化させることです。
また炭水化物は身体の中では主にブドウ糖として血液中に存在しています。健康診断でよく出てくる血糖値という数字は、この血液中のブドウ糖の濃度のことです。
したがって炭水化物を含む食べ物を摂ると血糖値が上がります。血糖値が高くなると、それを下げるためにインスリンという物質が分泌され、逆に空腹になって血糖値が低下すると、今度は血糖値を上げるためにグルカゴンなどのホルモンが分泌されます。
このようにして血糖値は常にの80~140mg/dlという一定の濃度を保つように身体の仕組みができているのです。
しかし、この血糖値を下げるインスリンの分泌量が少なかったり、インスリンの不備でうまく作用しなかったりすると、血糖値を下げられなくなる病気、すなわち糖尿病を発病します。
炭水化物の種類は何がある?それぞれの違いは?
炭水化物は大きくいって2つに種類がわかれます。
そのうちの1つは糖質です。糖質とは、ショ糖などの糖分やでんぷんなどの総称です。上で書いた身体の活動エネルギーになるのは、実は炭水化物のうちでもこの糖質なのです。だいたい糖質1gを摂取すると、身体の中で約4kcalのエネルギーを生み出します。
もう1つが食物繊維です。食物繊維はカロリーを生み出さないか、生み出してもとても低いカロリーです。その代りに、腸内環境を良くしたり、便をしっかり出すための働きをします。
ですから炭水化物と一言で言っても、その種類によって働きは全く異なるのです。
炭水化物と糖質は別物!?
ダイエッターの間で評判なのは、炭水化物カットダイエットと、糖質カットダイエットですが、上で書いたように、糖質は炭水化物に含まれます。
そしてカロリーがあるのは、炭水化物のうちの食物繊維ではなく糖質ですから、実は炭水化物カットダイエットも糖質カットダイエットも中身は同じダイエット方法なのです。
むしろ炭水化物カットだからと言って食物繊維をカットしてしまうと便秘になり、ダイエットに対して逆効果になります。
糖質とは
では糖質についてもう少し詳しく解説しましょう。
糖質とは何か?
糖質というと「糖」なので、砂糖などの「甘いもの」を連想しますが、実は砂糖だけではなく、お米、いも類などに含まれるでんぷんも糖質です。
さらに糖質の内訳は、
- ブドウ糖や果物に含まれる果糖などの「単糖類」
- 砂糖などの「二糖類」
- オリゴ糖などの「少糖類」
- でんぷん、糖アルコールなどの「多糖類」
に分かれます。
糖質の働きとは
糖質の1番の働きは、食べ物に甘味を与えることです。しかし実は甘味だけではなく、糖質は食べ物の「うまみ」も与えています。うまみ成分の全てが糖質というわけではありませんが、しかし何かを食べて「おいしい」と思う時、それは多くの場合糖質のなせることなのです。
糖質の2つ目の働きは先ほど書いたように、身体のエネルギー源になることです。糖質は胃腸で消化、吸収されると、血液に乗って身体の隅々まで供給され、1gあたり4kcalのエネルギーを生み出して細胞を働かせ、人間の生命活動を支えます。
食物繊維とは
この糖質に対してもう1つの炭水化物である食物繊維は、全く異なった性質と働きを持っています。
食物繊維の定義には複数説ある
実は食物繊維とは何かと言う定義は、研究者によっても医師によっても一致した見解はありません。
しかしそれらの見解を非常に大くくりにまとめて、食物繊維を定義する場合、食物繊維とは「植物由来であれ、動物由来であれ、人間の消化酵素で消化されない、食物中の難消化性成分」だといってよいでしょう。
食物繊維には2種類ある
この食物繊維もさらに2つに分類できます。
不溶性食物繊維
1つは「不溶性食物繊維」です。これは熟した野菜などに含まれて、穴が無数に開いていたり、あるいは糸状になっていたりするものです。
この不溶性食物繊維の働きは
- 胃や腸で水分に溶けず、返って水分を吸収して膨張し、腸を刺激して蠕動運動を促進し、快便をもたらすこと
- 大腸内で発酵してビフィズス菌などを増殖させて腸内環境が改善し、整腸効果をもたらすこと
- 食べる時によく噛むことを促し、それによって過食を防ぐこと
です。
不溶性食物繊維は、穀類、野菜、豆類、キノコ類、果実、海藻、などに多く含まれます。
水溶性食物繊維
もう1つが「水溶性食物繊維」です。水溶性食物繊維は水に溶ける性質を持っています。
この水溶性食物繊維の働きは
- 粘度が高く胃腸内を低速度で移動するため、空腹を感じさせにくくし、糖質の吸収を抑えて、食後の急激な血糖値上昇を防ぐこと
- 胆汁酸やコレステロールを自分に吸い付け、自分と一緒に体外に排出させること
- 大腸内で発酵してビフィズス菌などを増殖させて腸内環境が改善し、整腸効果をもたらすこと
です。
水溶性食物繊維は、昆布、わかめ、こんにゃく、果物、いも類、麦類、などに多く含まれます。
炭水化物=太るのでNGってこと?
なぜ炭水化物を摂ると太るの?
そもそもなぜ炭水化物カットダイエットというものが存在しているかというと、炭水化物を摂ると太るからですが、それには以下のような身体の仕組みがあります。
上でも書いたように、炭水化物のうちの糖質の血液内の濃度、すなわち血糖値が上がると、インスリンが分泌されてその血糖値を下げようとします。
しかしその血糖値の上がり方が急激な場合、インスリンは自分で糖質のすべてを処分しきれないので、処分しきれない過剰な糖質を脂肪に変えて体内に蓄積してしまいます。この脂肪の蓄積が肥満をもたらすのです。
これが、炭水化物=太る、ということの仕組みです。
ダイエットに良い炭水化物ってある?
この仕組みを前提にすると、実は炭水化物の中でも、ダイエットに良いものが2つあります。
1つは同じ炭水化物でありながら、糖質よりも食物繊維を多く含有している食品です。食物繊維は上で書いたように、便秘を改善し、腸内環境をよくするので、返ってダイエットに良い効果をもたらすのです。
もう1つは「低GI値」の炭水化物です。GI値とは「グリセミック指数」のことで、身体の中に摂取された炭水化物がどれだけ速く糖質に変化するかということの数値です。したがって、低GI値の炭水化物とは、血糖値を急激に上昇させない炭水化物のことです。
先ほど書いたように、炭水化物が太る原因は、炭水化物が血糖値を急激に上げる場合に限ります。ですからゆっくりしか血糖値を上げない、低GI値の炭水化物であれば、肥満をもたらさず、逆にダイエットに効果的なのです。
食物繊維が多い「低GI値」のものを
ダイエットに良い炭水化物とは、以上の2つの条件を満たしているものです。したがって、ダイエット中でも、食物繊維が多く、かつ低GIの食品であれば、食べても大丈夫ですし、むしろ摂取することが積極的に推奨されるのです。
たとえばこの条件に合致するのは玄米です。白米は高GI値なのでダイエットの大敵ですが、精白していない玄米の段階であれば、食物繊維も多く、GI値も低いのでダイエットにおすすめなのです。ですから、毎日食べるご飯を白米ではなく玄米にするだけで、一定のダイエット効果が得られます。
低GI値で選ぶ、摂取すべき炭水化物メインの食品ランキング
その低GI値を示す炭水化物の食品をランキングで挙げると以下のようになります。カッコ内はその食品のGI値です。
- 春雨(30)
- 全粒粉ライ麦パン(41)
- そば(46)
- 全粒粉パン(52)
- 全粒粉パスタ(58)
避けたほうが良い、高GI値の炭水化物メインの食品ランキング
逆に食べるの避けた方がよい、食べたら太る、高GI値を示す炭水化物メインの食品は以下のランキングです。
- 食パン(91)
- じゃがいも(90)
- 白米(84)
- にんじん(80)
- かぼちゃ(65)
まとめ
いかがですか。
炭水化物について詳しい知識がインプットできたでしょうか。また炭水化物=太る、という考え方が一概には正しくないということもお分かりいただけたと思います。
ダイエットをしたいけれど、炭水化物が大好きということで、その実行に躊躇している人は、以上のことを参考に、「太らない炭水化物」を食べて、しっかりダイエットを実行しましょう。
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