ヨガインストラクターは狭き門?リアルな現実と、転職できる条件や方法とは?

ヨガの魅力を感じたり、レッスンをしてくれたインストラクターに憧れて、自分もヨガインストラクターになりたいと思う人もいますよね。しかし、いったいどのようにしたらヨガインストラクターに就職したり、転職できるのでしょうか?それはかなり狭き門なのでしょうか?分からないことだらけでしょう。 そこでここではヨガインストラクターに転職できる条件と方法、そして給料などについても赤裸々にご紹介します。

ヨガインストラクターへの転職は狭き門?

まず、そもそもヨガインストラクターに転職するのは、大変なことなのでしょうか?

ヨガ人口自体は増えている

日本のヨガ人口は、「月に1回以上ヨガスクールに通っている人」が約590万人と言われています。これを年1回以上のヨガをしている人にまで広げると、約770万人です。

引用元:セブン&アイ出版「日本のヨガマーケット調査」

さらに今後2~3年以内にヨガをしてみたいとう潜在顧客は約880万人で、合計すると日本の潜在的なヨガマーケットは約1600万人だと推測されています。

マーケット規模に換算すると約2600億円と、一大市場です。

さらにヨガの人気は年々増す一方ですので、このヨガ人口とマーケット規模はこれからも当分は増えていくでしょう。そういう意味では、ヨガに関わる仕事先も増えていくということが予想されます。

ヨガスタジオとヨガインストラクターの需要と供給の関係は?

では実際のヨガスタジオでのヨガインストラクターの需要と供給の関係はというと、正確なデータはありませんが、「全国のヨガ&ピラティスの教室・スタジオ検索サイト「ヨガルーム(YOGA ROOM)」で掲載しているスタジオ数は6,900カ所以上あります。

規模は1人で運営しているところから、何十人もインストラクターを抱えているところまで様々ですから、仮に平均3人のインストラクターがいたとして、約2万人分のヨガインストラクターの働き口があると推定されます。

これに対して、ヨガインストラクターの養成講座は、正確なデータが全くありませんが、Googleで「ヨガインストラクター 養成講座」と検索すると、35万件以上がヒットします。

内容はヨガインストラクターの入門者養成から、上級者へのステップアップの講座まであるでしょうから、前者だけで言えば少なく見積もって1000講座はあると見て良いでしょう。

1講座から5人の修了者が出るとして、年間1講座20人、それが1000講座ですから、年に2万人のヨガインストラクター「予備軍」が生まれているわけです。

2万人の働き口に対して、年やはり2万人づつヨガインストラクターを目指す人が生まれているわけですから、完全に供給過剰です。

つまり、ヨガ人口は増えているけれども、やはりヨガインストラクターになる道は狭き門だということが、ここから推測されます。

ヨガインストラクターになるには?

ではこの狭き門を通過してヨガインストラクターになるにはどうしたらよいのでしょうか。

ヨガインストラクターとしての働き先は?

まずヨガインストラクターとしてどういうところに働き先があるかを考えてみましょう。それはざっと見て以下の施設が想定されます。

ヨガスクール、スタジオ、教室

1つはやはり「ヨガスクール」「ヨガスタジオ」などの固定的に運営されているヨガ教室です。

この場合は担当するレッスン数にもよりますが、専属講師になるか、あるいは週に数本のレッスンを担当する時間講師になるか、という働き方になります。

スポーツジムやフィットネスクラブ

2つめは、近年増えて来ているのがヨガをプログラムの1つとして取り入れているスポーツジムなどです。この場合も、専属になるか、時間で担当することになるかの2通りの働き方です。

地域のカルチャースクールなど

またさらに健康ブームに乗って、ヨガの人気は上がっていますから、固定的なカルチャーセンターでのレッスンや、各地の公民館や体育館などの公共施設でのヨガレッスンも増えて来ています。

この場合、ヨガインストラクターは基本的にフリーランスで、いろいろな場所でのレッスンを掛け持ちすることになります。

おおよそヨガインストラクターの働き先は以上の3種類でしょう。

ヨガインストラクターに必要な知識とスキルは?

では、ヨガインストラクターになるためには何が必要なのでしょうか。養成講座を修了しただけで、なれたり、様々な施設で採用されたりするものでしょうか。

ヨガインストラクターに必要な知識

まず必要な知識は、当たり前ですが、ヨガの呼吸法、ポーズなどの実践方法とそれらの意味を知っている、ということは基本になります。

しかしそれだけでは圧倒的に足りません。

ヨガは心身を鍛え、健康にしていくものですから、本当にその効果を生徒に実感してもらうには、解剖学や生理学のような医療的な知識から、あるいは「心とは何か」「幸せとは何か」といった哲学的なことまでの幅広い知識が必要です。

ヨガインストラクターに必要なスキル

その基本中の基本を具体的に言うと以下のようになります。

  • ヨガ実習前のウォーミングアップ方法
  • 多様なヨガポーズの正確な知識と実践力
  • 生徒を正しいポーズに導くための説明スキルや、ポーズをとるための補助の方法
  • いくつかあるヨガの呼吸法への正しい知識と実践方法
  • インストラクターとしてのコミュニケーション能力

また、仮に自分で最初からヨガスタジオを開いて経営していこうと思えば、ここに経営者としての知識や能力も必要になります。

国家資格がないので、メジャー資格をとる

ではそのようなスキルを持っているということを、ヨガの生徒やヨガをしたい人にアピールするにはどのような資格を持っていることが必要なのでしょうか。

何がヨガのメジャー資格?

現在のところ柔道整復師のような、ヨガインストラクターの国家資格はありません。逆に言えば、何の資格を持っていなくてもヨガを教えることはできます。

しかしそれでは実際のところ、インストラクターとしての「権威」もなく、また必須の知識を本当に学べているのかどうかが、生徒にとっても、あるいは採用する側にとっても分かりません。

ですから自分のヨガスキルを証明するためには、やはり何らかのヨガに関するメジャーな資格を持っていることが必要です。

日本でそのメジャーな資格に最も該当しているものは、「全米ヨガアライアンス」の認定資格でしょう。全米ヨガアライアンスとは、1980年代にアメリカで設立された世界最大規模のヨガ協会です。

この協会が設定している内容の養成スクールで200時間のトレーニングを受講すると「全米ヨガアライアンス認定資格(RYT200)」が取得できます。

おそらく、ヨガインストラクターになるためにはこれが最低限持っているべき資格だと言ってよいでしょう。

しかし上でも書いたように、ヨガインストラクターは需要に対して供給の方が圧倒的に多いので、RYT200では足りず、300時間受講のRYT300や、500時間受講のRYT500まで取得する人が増えて来ています。

養成スクール選びのポイントは?

それらの資格を取得するには、基本は全米ヨガアライアンスが認定した国内の養成スクールを受講することが最も適切です。

もちろん、そのような半公式のスクールではなく、自分が魅力を感じた1人の先生に個人的に師事して、そのスタイルを学んでいく方法もなくはありません。

後者の場合は、選ぶ基準は自分がその人の何に魅力を感じるかなので千差万別です。

前者の場合でも、同じ認定スクールといっても基本的内容は同じなだけで、それに付随した内容はスクールそれぞれ、ということが多いです。

ですから、現実には実際にレッスンを受けてみないと、そのスクールが自分に合っているのか、自分がやりたい内容なのか、修了後に働き口がありそうな内容なのか、という点はわかりません。

従ってスクールを選ぶ前には、できるだけいろいろな体験レッスンを受講してその上で決めていくのがベストの方法でしょう。

かかる費用と期間は?

気になるのはその資格を取得するまでにかかる費用と時間ですが、RYT200の取得には、講座の受講時間として最低合計200時間必要です。

1日に受けられる時間数はいろいろ違いますが、平均して4時間受けられるとして、約3ヶ月は必要でしょう。

また費用も養成スクールによって異なりますが、40万~60万円というのが一般的です。これが1人の先生に師事することになると、時間も費用も本当にピンキリになります。

ほかにもヨガインストラクターの資格などについて情報を知りたい人は、以下も参照してみてください。

ヨガの資格ってどうやって取るの?
ヨガインストラクターの資格の種類・費用や取得する方法を解説

資格を取ったら、まずは実績を積む

そのようなプロセスを踏んで、とりあえずヨガインストラクターの基本資格を取得できたら、今度はできるだけ多くの実績を積みましょう。

あらゆるルートでインストラクターの籍を探そう

まず転職先ですが、ヨガインストラクターには看護師や介護士などのように専門の転職サイトも転職斡旋会社もありません。ですから自分で、転職先を探し、自分でアプローチするしかないのです。

具体的には、

  • ヨガインストラクターの求人は転職サイトにも出ていることがありますから、できるだけ多くの転職サイトチェックする
  • 自分の受けた養成スクールの講師に紹介を頼む
  • ネットでヨガスタジオをピックアップして片っ端からアプローチする
  • 養成スクールで知り合った人に相談する
  • 自分が生徒として通っていたスタジオやスポーツジムに問い合わせる

などは最低でもする必要があるでしょう。

専業になるのは大変。兼業から狙おう

また最初からフルタイムでのヨガインストラクターの働き先があればよいですが、多くの場合何の実績もない人を1日8時間雇うようなところはほぼありません。

従って、実績を積むまでは1日に数時間、あるいは週に数日のパートタイムのヨガインストラクターの仕事を、ほかの生活していくための収入を稼ぐための仕事と兼業する必要があるでしょう。

実際に現在でもヨガインストラクターのうち、約2~3割はそのような兼業です。

ただ兼業といっても、ヨガインストラクター以外の時間をどこかの会社で働く、というよりも、ヨガインストラクターの仕事とリンクするものを選ぶ場合がほとんどです。

たとえばセラピストなどの心身の健康に携わる仕事や、ダンサーなどの身体を使う仕事です。ですから兼業をする場合でも、そのようなものを探しましょう。

給料の相場は?

そのようにして見つけたヨガインストラクターの仕事で、いったいどれくらいお給料がもらえるのでしょうか。

まずフルタイムの正社員として採用された場合、平均年収は350万円前後といわれています。

これに対していわゆる1レッスンを請け負う業務委託やフリーランスの場合は、1レッスン2,000円~4,000円が相場です。だいたい1レッスン90分から2時間でしょうから、時給にして1,000円~2,500円といったところです。

ただプライベートなグループに講師として呼ばれた場合は1レッスン1万円ということもありますし、参加した生徒の数によって歩合制で給料が支払われるケースもあります。

経験を積んだら転職しながらステップアップ

いずれにしても最初は兼業からインストラクターとしての実践と実績を積んで、良い働き先があれば積極的に転職していき、その都度給料をアップさせていく、という方法をとるのが1番でしょう。

特に何かしら特色や魅力を持ったヨガインストラクターは生徒からも人気が出ますから、それは自分の付加価値となって、給料に跳ね返りますし、スクール側もまたそのような人材を求めています。

あるいはマタニティヨガやパワーヨガ、ホットヨガなど得意な種類があれば転職には有利になるでしょう。生徒の心をつかんで離さない、分かりやすさやコミュニケーションスキルがあれば、さらに重宝されます。

そのように経験や実績を積んで信頼を高め、自分のファン的な生徒を増やせば、独立して自分のスタジオを経営するという道も見えてきます。

なれたらなれたで大変なのがヨガインストラクター!

ただ、ヨガインストラクターはなれたらそれがゴールではありません。むしろスタートと考えたほうがよいでしょう。つまりヨガインストラクターになった後でも絶え間ない努力が必要なのです。

健康面の維持

まず1つは自分自身が常に元気で明るく、はつらつとしていることが必要です。誰も不機嫌で、不健康なヨガインストラクターに習いたいとは思いませんよね。

とは言え人間ですから、たまには調子の悪い時も、憂うつな時も、疲れている時もあるでしょう。女性は特に生理前や生理中など心身ともに辛い期間が一定のスパンで訪れます。

しかし生徒の前に出たら、そんなことをおくびにも出さず、普段通りのレッスンを行う必要があります。

身体の酷使で体調を崩す人も

ヨガインストラクターは身体を使う仕事ですから、ヨガを教えるうちに身体を酷使し、腰や膝などを痛める人も実際には多いようです。

特にホットヨガはレッスンを受けるほうも体力を使いますが、そのクラスをいくつも持つインストラクターの体力消耗は激しいです。

あるいは、人前で見本を見せたり、元気に話したりする緊張や負荷から、肩こりや胃痛、頭痛などに悩まされる人もいます。

他のインストラクターとの比較はまぬがれない?

自分でレッスンを受け持つようになると、自分の評価はそのレッスンにどれだけ生徒が集まるか、ということによって明確にわかってしまいますし、それが収入に直結します。

これに対して、生徒からすれば、できるだけよい先生の下でヨガを学びたいのは当然ですから、何人もいるヨガインストラクターを比較検討して、自分の受けるレッスンを選んでいきます。

生徒同士でもそのような情報交換は頻繁に行われています。

つまり、ヨガインストラクターは常に他のインストラクターとトータルの意味でのヨガを教えるスキルを比較されているのです。

常にスキルアップの努力が必要

そのような、ある意味での競争に勝ち残っていくには、常にヨガインストラクターとして、上級のスキルや知識を身につけていくことが必要です。

そのためには様々なワークショップや上級者向けのヨガスクールに通うのが近道ですが、受講には相応の費用もかかります。

ヨガインストラクターの収入だけでは生活して行けない時期に、そのような出費がかさむと、生活的にも苦しくなるかもしれません。

しかし、自分の練習や勉強などのインプット無くして、生徒さんはついてこないと考えます。

見栄えや容姿が良い方が有利?

ヨガインストラクターの中には、アスリートやダンサー、モデルからの転身組や兼業として活動している人も多くいます。

近年、「ヨガ=美容とスタイル維持に良い運動」というイメージが一般的に多くあり、ヨガを教えるインストラクターも、容貌もスタイルも良い人が、人気になる傾向が少なからずあります。(もちろん実力無しにして人気になることは無いです)

そういう風潮に対して、自分の容姿や体型の維持をしながら、質の高いレッスンを維持していくのは、大変なことです。

やりがいがある仕事であり、内容も奥深いですが、ヨガインストラクターを目指すのであれば、リアルの現実からも目をそらすわけにはいきませんよね。

まとめ

ヨガインストラクターの現実の姿をかなり赤裸々に立ち入ってご紹介しました。ここで解説したように、ヨガインストラクターにはなるのも大変ですし、なった後もそれで生活してくのはなかなか大変な仕事です。

しかし、いったんファン的な生徒がついてしまえば、どのスクールに転職してもその人たちは固定客としてついてきてくれますし、自分で独立した時にも貴重なお客さんになります。

逆に言えば、人気さえ出れば、かなり収入的にもやりがい的にも見返りの多い仕事でもあるのです。

ですから、しっかりとさまざまなスキルを基礎からしっかり勉強すること、そして常に自己研鑽と自己の健康維持に気を使うことをしていけば、指名で生徒のとれる人気インストラクターになれる可能性も十分にあるのです。

ぜひそのようなインストラクターになれるように頑張りましょう。

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編集部の体験取材記事は以下から

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旅、蕎麦と酒(全ジャンル)、落語、そして猫をこよなく愛する大阪在住ライターです。
最近は肩こりがさらにひどくなり、デスクでPCに向かいながら上半身ヨガで何とかしのいでいる日々。
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