もくじ
ヨガはなぜメンタルに効果があるのか
ではなぜヨガはメンタルに良い影響を与えるのでしょうか。
呼吸法による自律神経安定効果がある
ヨガでは、ポーズだけでなく、呼吸法も重視しています。それは本来は瞑想効果をもたらすためのメソッドなのですが、同時にゆったりとした深い呼吸は副交感神経を優位にさせ、心身ともにリラックスさせてくれる効果もあります。
ヨガは「幸福物質」の分泌を促す
人間が幸福感を抱いている時には、脳では「アナンダマイド」という物質が分泌されています。アナンダマイドは「幸福物質」とも呼ばれ、原料はアラキドン酸という必須脂肪酸で、牛肉や豚肉の脂肪の中にも含まれているものです。
実はヨガを行うとこのアナンダマイドの分泌が促進されることが分かっています。したがって、ヨガを実践することで、心身ともにリラックスすることをさらに通り越して、幸せな気分でいっぱいにさえなるのです。
ヨガによる瞑想はストレスホルモンを減らす
人間がストレスを感じると、「コルチゾール」と言うストレスホルモンが分泌され緊張状態に身体を対応させようとします。その結果精神は緊張し、さらに不安な気持ちまでもたらします。
ヨガの中の重要なメソッドである瞑想をすると、このコルチゾールの分泌が減少することが明らかになっています。したがって、瞑想を行うことでリラックスし、緊張から解消され、安らかな気分になるのです。
ヨガとメンタルは関係が深さを証明する4つの実験
このようなことはヨガを実践している人にとっては実感として明らかなことですが、科学的な実験でも証明されています。その実験を4つご紹介します。
ヨガがうつの症状を改善させた実験①
オーストラリア版「ウィメンズヘルス」によれば、週2回のヨガがうつの症状を大きく緩和することが2017年の米国心理学会コンベンションで発表されました。
それによれば、25~45歳の52名の女性を、週2回×8週間のビクラムヨガを行うグループと、何もしないグループに分けたところ、ヨガを行ったグループのうつ症状が大幅に改善されていたことがわかったとのことです。
引用元:ウィメンズヘルス
ヨガがうつの症状を改善させた実験②
ハーバード大学とコロンビア大学の共同実験によれば、ヨガを継続的に行っている、うつ病と診断されている30人に、姿勢の細部や正確性、呼吸のコントロールを重視するアイアンガーヨガを、週に3回行うグループと2回行うグループに分けて12週間実施しました。
その結果は、両グループともうつ病は改善しましたが、週3回実施グループの方がよりうつ病スコアの改善度が高いというデータが得られました。
引用元:マイナビニュース
ヨガでストレスが緩和させた実験①
ハーバード大学医学大学院のジョン・デニンジャー医師を中心とする研究チームが、慢性的なストレスを受けている210人の被験者をA「ヨガのポーズや瞑想を含むクンダリニーヨガを行うグループ」、B「瞑想のみ行うグループ」、C「ストレスの対処法の説明を録音で聞くグループ」に分け、6か月間継続させました。
その結果、Aグループが最もストレス遺伝子が減少し、次いでBグループ、そしてCグループはほとんど変化がなかったというデータを得ました。
引用元:株式会社サンカラ
ヨガがストレスを緩和させた実験②
オハイオ州立大学教授の研究によれば、ヨガを実践したことのない乳がん克服後の患者200名を、A「ヨガを実践しないグループ」、B「週に2回、90分間のヨガレッスンを12週間受け、さらにDVDで自宅でも実践するグループ」に分け、3ヶ月後の経過を観察しました。
その結果、Bグループの方が有意に、乳がんの炎症マーカーが低下していることが判明しました。乳がん治療は患者に大きなストレスや疲労、睡眠障害をもたらすことで返って炎症マーカーを悪化させることが分かっています。
しかしこのデータからヨガを行うことで、炎症マーカーが下がっているということは、ストレス値も下がっていると推測されました。
引用元:株式会社サンカラ
このように特にアメリカ中心に、ヨガのメンタルヘルスに対する効果は、非常に注目され多くの研究機関で実験が行われ、またその効果が証明されているのです。
ヨガでメンタルを安定させる2つの呼吸法と3つのポーズ
では具体的にメンタルを安定させてくれるヨガの呼吸法とポーズをご紹介します。
・吐く息を長くする呼吸法
効果とポイント
1つは「吐く息を長くする呼吸法」で、これはヨガの基本です。イメージとしては吸う息と吐く息の割合を1:2にする感じです。
これをすることで神経系がリラックスし、不眠、睡眠障害、不安の軽減が期待できます。
方法
- ゆっくり心の中で「1」と数えながら鼻から息を吸います
- 次に、口からその倍の長さになるイメージで「2」と言いながら、息を吐きます。
- 最初はできなくても、徐々に1:2の割合になるようにしていきましょう
- その1:2になったら、10回繰り返します
・片鼻の呼吸法
効果とポイント
「片鼻の呼吸法」はヨガでも「ナディショーダナ」と言われる呼吸法のメソッドとして成立しています。ナディとはプラーナという生命エネルギーの通る管のことで、ショーダナとはその浄化の意味です。
これを行うことで、通常よりも多くの酸素が吸入できるため、気分が爽やかになり、精神がリラックスし、自律神経のバランスが整います。
方法
- 右の親指を立て、残りの指を自然に曲げて、親指で右鼻を閉じます
- 8つ数えながら左鼻から息を吐きます
- 4つ数えながら左鼻で息を吸います
- 鼻を閉じ息を止め、16数えます
- 薬指で左鼻を押さえ、右鼻でも同じことをします
- これを8回繰り返します
・キャットアンドカウのポーズ
効果とポイント
キャットアンドカウのポーズは、体幹を鍛え首から背中全体のストレッチをしてくれます。その結果、閉じていた胸郭が開き、呼吸がスムーズになることで、リラクス効果が上がります。
方法
- 四つん這いになります
- 膝は腰の真下に置き、両手は両肩の真下に置きます
- 息を吐きながらお腹をへこせ、背中を思い切り
- 首を曲げて頭をお腹の方に近づけます
- その姿勢で静止します
- 次に首を持ち上げ頭を上げます
- 息を吸いながら背骨を反らせ行きます
- 静止して深呼吸します
・魚のポーズ
効果とポイント
魚のポーズは胸骨を持ち上げ、恥骨から喉までの背骨を収縮させます。首、肩周辺から背中全体の筋肉を使うポーズです。
ですから骨格のゆがみが矯正され、胸郭、肩甲骨が開いていき、大きく呼吸ができるようになり、リラックス効果が高まります。
方法
- 仰向けに寝ます
- お尻の下に両手を置き、手のひらを床につけます
- 腕を身体の下にしまいこみます
- 両ひじ床を押し、胸を開きます
- 頭、ひじ、かかとで身体を支え、背骨を反らします
- 静止して深呼吸します
・下向きの顔の犬のポーズ
効果とポイント
肩甲骨周辺の筋肉から背骨をまっすぐに伸ばして骨格矯正すると同時に、太ももの筋肉を鍛え、アキレス腱を伸ばすポーズです。
疲労した時などに行うと、横隔膜が引き上げられるので、脈拍が整い、気分がすっきりします。
方法
- 四つん這いになります
- 両手と両足を肩幅くらいに開きます
- 身体を持ち上げ、つま先立ちになります
- おしりをできる限り高く上げます
- 背中はまっすぐに伸ばします
- かかとを床につけます
- 静止して深呼吸します
ヨガだけに頼らず、医療機関にも相談しよう
ストレスが続く程度であればここでご紹介したヨガの方法で対処することは十分可能です。ぜひ実践してみましょう。
しかし、ヨガを実践しても、憂うつ感が取れない、いくら寝ても疲れが抜けない、夜中に何度も目が覚める、などの症状が出てきた場合は、ヨガだけで改善するレベルではありません。
自分でヨガを通じて治していくことも大切ですが、そうなった場合は心療内科なのどの医療機関にも相談しましょう。
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