ヨガには様々な種類があり、アーサナ(ポーズ)時に行う呼吸や瞑想の際に行う呼吸など様々な呼吸法があります。
しかしほとんどのヨガにおいて行われる呼吸法は「腹式呼吸」。それはなぜなのでしょうか。
また、腹式呼吸が主に行われるヨガの種類の中でも、アシュタンガヨガや腸ヨガでは胸式呼吸の1種である「ウジャイ呼吸」というものが採用されます。
腹式呼吸と胸式呼吸のそれぞれの効果や様々なヨガの呼吸法、胸式呼吸を行うアシュタンガヨガがどんなものなのかを解説していきます。
もくじ
ヨガの呼吸法にはどんなものがある?
ヨガでは呼吸法がとても大事。アーサナ・瞑想とともにヨガを支える三本柱の1つです。アーサナの最中も呼吸を止めることなく行うことで柔軟性が高まり、精神のリラックスも深まります。
ヨガの呼吸法の中で代表的なもの6つをご紹介します。腹式呼吸と胸式呼吸については後ほど詳しく解説します。
- 腹式呼吸:ヨガの呼吸法で最もメジャーなもの。
- 胸式呼吸:お腹ではなく胸のあたりを膨らませる呼吸法。
- ウジャイ呼吸:胸式呼吸の一種。勝利の呼吸と呼ばれるパワフルな呼吸法。吐く時に喉部分に圧をかけ細くし、手を温める時に息をはーっと出す要領で行う。
- 片鼻呼吸:アーサナの時は使用せず、ヨガの座法をとって行う呼吸法。指で左鼻を押さえ、右鼻で息を吸って吐き、次に右鼻を押さえ左鼻で吸って吐くというのを繰り返す。右鼻で吸う際に身体を温め、左鼻で吸う際に体温を下げ、バランスを整える。
- カパラバティ呼吸法:鼻から短いスパンで「フッフッフッフッ」と吐く呼吸法。腹筋を収縮させて吐くことで横隔膜や肺・腹筋がリズミカルに動き、血行が良くなる。
- シータリー呼吸:口から吸って鼻から吐く呼吸法。吸う時に舌を丸めて出しストローのようにする。冷たい空気を取り入れ、温かい空気を吐くことで体温を下げる効果がある。
この中で腹式呼吸・胸式呼吸・ウジャイ呼吸はアーサナとともに行われ、片鼻呼吸・カパラバティ呼吸・シータリー呼吸は単独で行われます。
ヨガは基本的に腹式呼吸。そのやり方と効果とは?
では腹式呼吸について解説します。腹式呼吸は鼻から息を吸いながらお腹へ空気を送りこみ、鼻から息を吐きながらお腹の空気を出して凹ませる呼吸法です。
腹式呼吸は副交感神経を活発にするため、心身にリラックスをもたらします。新鮮な酸素を体全体に取り込み血流を良くする効果も。血流が良くなることで冷えからくる慢性的な症状が緩和されます。
自律神経のバランスが整えられるため、ストレス性の症状(便秘や内臓機能の低下・体温調節・発汗など)を正常にするといわれます。
また横隔膜の上下運動により腹圧が鍛えられて便通が良くなったり、お腹部分が刺激されリンパの流れを促したりと様々な良い効果が促されます。
睡眠中は自動的に腹式呼吸になっています。深い呼吸というのはダイレクトに体内へとアプローチできる唯一の方法。正しいやり方をマスターし、積極的に行いましょう。
正しくマスターするために、まずは寝転んでお腹に手を当て、お腹の膨らみと凹みを意識すると感覚が掴めるでしょう。ゆっくりした一定リズムで行います。
ヨガの胸式呼吸。そのやり方はどんなもの?
ではヨガの胸式呼吸とはどんなものでしょう。胸式呼吸はお腹ではなく、少し上の胸部分を広げ、空気を取り込みます。
やり方は顎を引き、背筋を伸ばして鼻から息を吸い、お腹は膨らませず胸の部分に空気を取り込むようにし、口から吐きます。吐く時は吸う時より時間をかけて行います。
胸式呼吸を行うことで得られる効果としては、交感神経が活性化され、心身を活動的にするというものがあります。
また、肋骨回りの筋肉(腹横筋)が刺激され、インナーマッスルが鍛えられたり、脊柱や骨盤が正しい位置に戻り、正常な機能を取り戻すともいわれます。
また、腹式呼吸・胸式呼吸ともにいわれることですが基礎代謝が高まり、痩せやすい身体を造ることができます。
胸式呼吸を取り入れる「アシュタンガヨガ」とはどんなもの?
ヨガの種類の1つに「アシュタンガヨガ」というものがあります。このアシュタンガヨガでは胸式呼吸の1つ・ウジャイ呼吸を行います。
アシュタンガヨガの「アシュタンガ」とはヨガの八支則のこと。ヨガの8つの段階を意味しますが、これらの段階・決まりをもとに、パタビジョイス師によって構築されました。
通常のヨガより運動量が多く、静止ポーズがなく最初から最後まで中断することなく決められたアーサナをウジャイ呼吸と連動させ、流れるように行うという特徴があります。難易度・運動量ともに高いため、ヨガ中級者以降の人におすすめのヨガです。
アーサナごとに視線を固定すること(ドリシュティ)・体内エネルギーを外に逃がさない筋肉の締め付け(バンダ)に意識を集中し、体内で熱エネルギーを上げ、心身を浄化するという特徴や目的を持ちます。また、早朝に行われる自主練もアシュタンガヨガの特徴とされます。
そしてもう1つの大きな特徴がウジャイ呼吸を行うこと。運動量の多いアシュタンガヨガを行う時に、交感神経を活性化するウジャイ呼吸は効果的といえるでしょう。鼻から吸って喉部分に圧をかけ、ふーっと息を鳴らしながら吐きます。
中断されることのないアシュタンガヨガのアーサナですが、ウジャイ呼吸を止めることなく行うことで血行が良くなり、集中力も高まります。
「アシュタンガヨガとは?」
効果・ポーズの流れ・呼吸について解説
ヨガの種類に沿った呼吸法をマスターし、効果を引き出そう!
それぞれのヨガで適切な呼吸を正しく行うことで、心身への効果が得られます。静止ポーズの多い通常には腹式呼吸が向き、動き続けるアシュタンガヨガには胸式呼吸が向いています。
呼吸というのは常に行っているものですが、やはり質の良い呼吸・質の良くない呼吸というものがあります。
腹式呼吸にせよ胸式呼吸にせよ、深い呼吸を心がけることで体内の機能を整え、健康を維持する効果があります。そしてダイレクトに体内へとアプローチできるのは呼吸をおいて他ありません。
ヨガで様々な効果が謳われるのは、アーサナや瞑想はもちろんそれぞれに良い効果がありますが、やはりこの深い呼吸と連動して行われるということが重要となります。
深い呼吸を行ってデメリットを生み出すということはありません。自分の行っているヨガに応じた呼吸法を正しくマスターし、ぜひヨガのアーサナ時以外にも取り入れてみましょう。心身のバランスがより整えられるでしょう。
・ヨガの呼吸法(プラーナヤマ)をマスターしてヨガの効果を高めよう