もくじ
なぜ人は便秘になるのか?
まず最初に便秘の発症する原因を解説しましょう。
自律神経の乱れが、腸を収縮させるから
自律神経のバランスとは交感神経と副交感神経の働きの均衡がとれている状態をいいます。
これが継続的なストレスや過度なストレス、あるいは生活習慣の乱れによって自律神経のバランスが崩れ、特に交感神経が優位になると、副交感神経の働きが鈍ります。
腸の働きは副交感神経がコントロールしていますから、それによって腸は収縮し、消化活動は停滞し、その結果便秘になってしまうのです。
消化活動の停滞とは、すなわち腸が消化のために小さくうねるよに動く蠕動(ぜんどう)運動が弱くなるということです。それは、便のスムーズな移動を衰えさせ、結果便が腸内に残って便秘になるのです。
たとえば、仕事での緊張する商談や、試験などの前になると便意を感じない、あるいは便秘になるのはそのためです。
蠕動運動の衰えは腸管癒着症の原因にも
この蠕動運動の衰えは、腸が癒着する病気、すなわち「腸管癒着症」を引き起こす原因にもなります。
腸管癒着症とは腸が内臓の内壁に癒着し、それによってより一層動かなくなる病気です。
これは吐き気や嘔吐、あるいは強い腹痛を起こします。そしてその癒着がひどくなると、癒着部分に炎症が起こり、悪寒や発熱が発症し、からだがガタガタと震えるようになります。その時に癒着部分を触ると硬さを感じます。
さらに悪化すると腸閉塞に発展し、強烈な痛みを伴います。そうなると手術をして詰まった便を取り除き、同時に癒着部分をはがすしか方法がなくなります。
便秘に効果のある「腸ヨガ」とは?
このように便秘は軽く見ていると非常に怖いものなのです。そこで便秘を改善させるために「腸ヨガ」を実践しましょう。
腸ヨガのやり方
腸ヨガは、お腹の周りを刺激するポーズを取ります。それによって腸に穏やかな刺激が加わって蠕動運動を促すと同時に、ヨガによってバランスの整った自律神経が腸の動きを正常にしてくれます。
行うのは朝と夜の1日2回で、それぞれ2ポーズです。2ポーズ実践しても5分もかかりませんから、非常に簡単です。
逆にお腹が緩くなっている場合にも蠕動運動を正常化させるので、効果があります。
また腸ヨガの効果をアップさせるためには
- コップ1杯の水を飲んでから行う
- 食後は避けて空腹時に行う
ことをおすすめします。
夜の腸ヨガの効果と方法
ではまず夜の腸ヨガの方法をご紹介しましょう。
夜の腸ヨガの目的は、日中の興奮が残っていて、交感神経優位になっている状態を、副交感神経優位な状態にし、腸の動きを活性化させることです。加えて、内臓の中でずれてしまっている腸の位置を正常に戻すことです。
猫のポーズ
猫のポーズはお腹から頭に向けて腸が上に上がってくるような感覚を意識して行いましょう。日中に立った姿勢が多い人の場合は特に腸の位置が下がっていますので効果があります。
- 両腕と両膝を肩幅程度に開いて床に四つん這いになり、目線を下に向けます
- 息を吐きながら、天井へ背中を突き出すつもりで背中を丸めます
- そのままお腹をへこませて、頭を両腕の間に沈めます
- その姿勢で静止し、深く呼吸を5回行います
- 次に息を吸いながら、背中を反らせて顔を天井へ向けて胸を張ります
- その姿勢でまた静止し、5回呼吸します
- これを5回繰り返します
バッタのジャンプのポーズ
2つ目のはバッタのジャンプのポーズです。お腹を重心をかけて腸を圧迫してましょう。そのあと緩めることでリラックスをもたらし、自律神経のバランスが整います。
- 床にうつ伏せになり、つま先の親指を合わせます
- お尻のとがった骨(仙骨)の後ろで両手を組みます
- 大きく息を吸って胸を上げ、両足を床から離します
- 静止し3回深呼吸します
- これを5回繰り返します
朝の腸ヨガの効果と方法
続いて朝の腸ヨガのポーズです。この目的は睡眠中に静まった交感神経を少しだけ優位にして、腸に刺激を与え排便を促すことです。
マーメイドのポーズ
1つ目がマーメイドのポーズです。お尻周りの筋肉を緊張させて骨盤底筋群を刺激し、直腸にある便を押し出しましょう。身体に力を入れること自体、まだ寝ている身体を目覚めさせ、交感神経優位にすることに有効です。
- 床に横向きに寝て、下側の腕を伸ばしてその上に頭を乗せます
- ウエスト、お尻、内太もも筋肉をぎゅっと緊張させながら上側の足を上げていきます
- 脇腹に効いていると感じる高さまで足を上げ、脚を上げたら、静止して5回深呼吸します。
- ゆっくり戻り、反対側でも同様に行います
ヨットのポーズ
2つ目がヨットのポーズです。腰をひねることで腸が刺激され、蠕動運動が活発になります。特に腰骨のあたりをしっかりひねることで、便の詰まりやすいポイントが動き出し、排便が促されます。
- 床の上に足を伸ばして座り、左膝を立てます
- 身体をひねって右ひじを左膝にひっかけます
- この体勢で5回深呼吸します
- ゆっくり戻り、反対側も同様に行います
子犬の伸びのポーズ
尾骨を天井に突き上げるようにして背骨や肩を伸ばしていきます。肩甲骨まわりを柔軟にし肩こり改善にも効果があります。腰痛をお持ちの方は無理をしないようにしましょう。床に四つん這いになって、両ひじを床について伸ばします。両手を少しずつ前に伸ばし、顎を床につけます。
ほかにも便秘を解消させるヨガのポーズがあります
詳しくは
インストラクターが解説!便秘解消!お腹すっきりヨガのポーズ5選
をご覧ください。
あの東尾理子さんも「腸ヨガ」で便秘が改善
プロゴルファーで3児のお母さんでもある東尾理子さんは、高校生のときから25年間、便が硬くて出ないという便秘に悩まされていました。
野菜スープ、運動、酵素、プルーンなど、便秘によいとされるものは片っ端から試しましたが便秘は解消されなかったそうです。
現在の状態は、何ヶ月かに1回だけ、「うさぎの糞のようなコロコロの便」が出るだけでした。
それを見たご主人の石田純一さんは「もっとリラックスしないと出ないよ」と、何気なく言ったとのことですが、それがまたプレッシャーになっていたそうです。
その理子さんの腸をCTで検査したところ、腸の中全体に便がこびりついていました。また自律神経を計測すると異常に交感神経優位な状態になっていました。この理由にはご主人からの言葉のストレスも大きかったようです。
そこで早速2週間の腸ヨガにチャレンジをしたところ、2日目の朝ヨガを終えた段階で、15分後にはもう便意があり、6分後にお通じがきました。その後も2週間腸ヨガを続けている間、ずっと毎朝お通じありの状態になりました。
そして2週間後にまたCTスキャンした結果、こびりついていた便が「モコモコ」した状態になっていたのです。それは便に水分が含まれ、腸内での滞在時間が正常になった証しでした。
腸の蠕動運動が活発になり便がスムーズに移動しているようになったわけです。
この腸ヨガによって東尾理子さんの25年間苦しめられた便秘が改善したのです。
朝のお通じが楽しみに!簡単腸もみマッサージ
また腸ヨガのほかに、自分の手で腸をマッサージし、便通を促す「腸もみマッサージ」の効果も注目されています。これは腸の癒着を改善させるものなので、別名「腸はがし」とも呼ばれています。
その方法もご紹介しましょう。
お風呂上りの体が温まった状態がベスト
まず腸もみマッサージをするタイミングは、お風呂上りが最適です。お風呂で身体が温められているので、腸の緊張が多少なりともほぐれいるからです。
そしてポイントは、お風呂あがりにコップ1杯の水を一気に飲むことです。水を飲むとその重みで胃が下がり腸を刺激するからです。これによって寝ていた腸が動き出します。
ただし、水を少しずつ飲んでしまうとすべて順調に流れ落ちてしまうので効果はありません。一気に飲んで胃を重くするのが大切です。
腸もみマッサージのやり方
では腸もみマッサージのやり方をご紹介しましょう。
大腸もみマッサージ
最初は大腸をもむマッサージです。これは便通を促進するのに効果的です。
- 指先を重ねて両手を揃えます
- おへそよりも3cmくらい右側に手を置き、軽く押さえつけます
- その位置から右肋骨の下を通り、左肋骨の下あたりまで、指で押さえつけるようにしてゆっくりもんでいきます
- 左肋骨の下から、へその3cm左側までをもみます
この大腸もみをしていると、痛みを感じる部分や硬くなっている部分を発見することがあります。そこは便が詰まっている部分ですから、念入りにもみほぐしましょう。
ただし、強く力を入れ過ぎると逆に腸にダメージを与えてしまいますので、あくまでも「マッサージ」だということを意識して行いましょう。
小腸もみマッサージ
次に小腸をもみましょう。小腸もみマッサージは身体の内側をほぐし、腸の消化活動を活性化させます。それによって、便が柔らかくなり便通も改善します。
- 両手をの指先を重ねて、おへその少し上くらいに置きます
- 軽く力を入れながら、時計回りにもんでいきます
- 10周続けます
消化によって食べ物が流れていく向きが時計回りの方向です。ですから必ず時計回りに小腸をもんで、腸の中の便の動きを助けてあげましょう。
まとめ
いかがですか。
朝に朝の腸ヨガ、お風呂上りに腸もみマッサージ、そして寝る前に夜の腸ヨガをすれば、長年苦しめられた便秘もきっと解消するに違いありません。ぜひ実践してみましょう。
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