医学界や世界的に有名な大企業も注目していると言われる、マインドフルネス。心を穏やかにし、ストレスが原因で引き起こされる体の不調まで改善することがある思考のコントロール法です。その驚くべき効果や、詳しい方法などを見ていきましょう。
もくじ
マインドフルネスで動じない心を育む
マインドフルネスとは、今現在の自分の体や心の状態を認識することです。余計なことを考えずに今このときに集中している心の状態や、そういう心理状態を目指すためのプロセスをマインドフルネスと呼びます。現代社会では日々考えるべきことが多く、過去への後悔や将来への不安を抱えている人も多いでしょう。否定的な思考を続けていると、自然とストレスが蓄積されます。心をマインドフルネスにすることで、今この瞬間における自分の状態のみに意識を向けていく。そうすることで、評価や不安とは切り離した世界で物ごとを観察し、とらわれていたり否定的だったりする感情を飛び越えたところに気持ちを持って行くのです。深刻化したストレスが、命を脅かすほどの病気を引き起こすこともあると言われている現代。医療の世界でも、ストレスを軽減する有効手段としてマインドフルネスの研究が進められています。海外では、社員教育にマインドフルネスを組み込んでいる企業もあるようです。
脳の疲労も取れる!?マインドフルネスの効果
マインドフルネスは、免疫力アップや睡眠の質を改善する効果も期待できると言われています。なぜなら、マインドフルネスは心をストレスから解放してくれるからです。人はストレスを感じるとコルチゾールという物質を発生させ、脳の一部を萎縮させることがあります。すると、記憶力が低下し仕事の効率もダウン。コルチゾールは他にも、免疫力の低下や血糖値の上昇、うつ病や不妊といった健康被害をもたらす可能性もあります。マインドフルネスで後悔・不安・ストレスなどの感情から解放されることに成功すれば、コルチゾールの過剰な分泌が抑制され脳の疲労が消えていくのです。また、マインドフルネスは前頭葉皮質の働きを活性化することもあると言われています。その結果、免疫力や睡眠の質の向上へとつながっていくでしょう。
マインドフルネスは瞑想のひとつ
マインドフルネスでは、背筋を伸ばして座り目を閉じて呼吸を感じます。この姿から、瞑想と同一のものであると感じる人もいるようです。両者の違いを考えるために、まずはマインドフルネスのやり方を詳しく見ていきましょう。
- 背筋を伸ばして座り、目を閉じます。正座でもイスに座っても構いません
- 呼吸を感じます。このとき呼吸を意識的にするのではなく、体がしたいように息を吸ったり吐いたりすることが大切です
- お腹や胸が膨らんだりへこんだりする感覚に意識を向けます。慣れるまでは、「ふくらみ・ふくらみ、へこみ・へこみ」と動きに合わせて心の中で唱えるといいでしょう
- もし「これをやらなくちゃ」などと雑念がわいてきた場合は、「雑念・雑念」と心で唱えながら呼吸に意識を戻します
- 何かしらの感情がわいてきた場合は、その内容に応じて「怒り・怒り、悲しみ・悲しみ」と心でつぶやき、「また呼吸への意識に戻ります」と唱えてから再び呼吸に意識を向けましょう
- 吸った息が体中をめぐっていくイメージを持てるようになってきたら、自分の周囲へも意識を向けます
- 部屋の広さや気温、聞こえてくる音に注意を向けながら、今の状態を見守ります
このマインドフルネスのやり方を見て、瞑想との違いを発見できた方は少ないのではないでしょうか。なぜなら、実は両者には明確な差があまりないからです。瞑想の中にマインドフルネスが含まれているとイメージしてみてください。瞑想は心をコントロールする訓練そのもののことで、広い範囲をさします。その中にあるマインドフルネスは「今この瞬間」に集中するものであり、瞑想のひとつなのです。
マインドフルネスと禅の違いは「目的」
さて、勘のいい方はお気づきかもしれませんが、マインドフルネスのやり方は坐禅とかなり似ています。マインドフルネスをきっかけに、禅に興味を持つ人もいるそうです。では、マインドフルネスと禅はどこが違うのでしょうか。両者は、瞑想するという行為自体は一緒。ただ、目的がまったく違うのです。マインドフルネスは不安を解消したり体を健康にしたりといった効果が注目されており、その効果を目的として実践されます。禅での瞑想は、効果を目的にはしません。瞑想すること自体を目的とし、利益は求めないのです。禅では不安が解消されたとしても、瞑想をしていたらたまたまそうなっただけと考えます。不安を解消するために瞑想するのではなく、瞑想するために瞑想するのです。このように、目的が大きく異なります。
マインドフルネスとヨガ組み合わせてみよう
マインドフルネスは、瞑想と呼吸を意識することがセットになっています。これは、ヨガにも言えることです。マインドフルネスの瞑想で今を見つめて心を幸福にすることは、ヨガのひとつの過程でもあります。マインドフルネスとヨガを組み合わせることで、より高い効果を発揮できるかもしれません。ヨガのポーズを取りながら、マインドフルネスの方法で呼吸に意識を向けます。自然な呼吸に気づき、次第に伸びている筋肉など体の状態に気がつくでしょう。すると、ヨガのポーズを正しいものへと導きやすくなります。逆もまたしかりで、ヨガを行いながらであればマインドフルネスも実践しやすくなるようです。
初心者向け!マインドフルネス習得方法
初心者がマインドフルネスをより早く習得するには、次のような方法もおすすめです。
○イベントやワークショップ(教室・講座)で学ぶ
マインドフルネスは世界中で注目されていることもあり、日本全国各地で関連イベントや教室が開かれています。独学で習得する自信がなければ、これらに参加してみるのもいいですね。マインドフルネスのイベントに参加して「雑念がたくさん浮かんできたけれど、自分が陥りがちな思考のクセが分かった」という方もいます。
○本・CD・DVDで学ぶ
マインドフルネスのいいところは、ヨガと同じく自宅でも取り組めることです。関連著書やDVDなども多数あります。スピリチュアルのような雰囲気を感じるもの、脳科学の観点から書かれたもの、有名企業のマインドフルネスを用いた研修にフォーカスしたものなど、同じテーマでも切り口はさまざま。好みに合わせて、興味をそそるものを選びましょう。
マインドフルネスを生活に取り入れて、心身を整えよう
ストレスを感じている人が多いからこそ、ぜひたくさんの方に実践していただきたいマインドフルネスについてご紹介しました。慣れてくると、浮かんできた雑念もポジティブに見守ることができるようになるそうです。マインドフルネスを取り入れて、心身ともに健康な日々を送りましょう。
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