もくじ
★アシュタンガヨガとは
アシュタンガとはサンスクリット語で八本の手足(八支則)という意味です。まず、ヨガのクラス(レッスン)についてご案内しましょう。主な構成はスーリヤ・マスカーラ(太陽礼拝)A・B→スタンディング→シッティング→フィニッシングの展開であり、アーサナ(ポーズ)と呼吸が連動し流れるようにクラスは進行します。又クラスは二つのタイプがあり、一つは決められたシークエンスを各自のペースで進め指導者は個人的フォローを行うマイソール(マイソールとは本場インド地区からネーミング)クラスと指導者誘導によるレッド(リッドとはリードした)クラスがあります。いずれにしろダイナミックでエネルギッシュな構成であり一般的にはヨガ中級者以上で、ある程度の運動量に対応出来る方が対象と見られています。
★アシュタンガヨガのメリット
心身を鍛えるヨガとしてアシュタンガは最適です。運動量も多い為体力強化が期待出来それと同時に体幹も鍛えられ、バランス感覚も身に付きます。若干ハードですが、終わったあとは何とも言えない爽快感が得られる事でしょう。日常生活においては集中力向上と様々な場面で自信に繋がる事と思われます。更に女性には嬉しいダイエット効果も期待出来ます。美しいボディーとしっかりとした気持ちを手に入れ、充実ある日々に繋がる事でしょう。
運動量 ★★★★★
難易度 ★★★★★
スピリチュアル度 ★★★
リラックス度 ★
初心者方でもアクティブに身体を動かしたい方は好まれる可能性があります。
★こんな人に向いている
高運動量である為、しっかり身体を動かすことに気持ち良さを感じられる方は楽しめるヨガです。アクティブ系を好まれ、更にヨガを向上しだい方には適切です。
いずれにしろ、私はヨガを楽しむものとみています。苦しい・きついだけでは長続きが厳しい為、ヨガクラスで何か楽しいと感じる事を是非見つけて戴ければと考えます。
★アシュタンガヨガの目的
アシュタンガはストイックな部分を持ちながらも内面にアプローチする要素、自身の本質を知りながらあるべき姿に向かい、自身とそのとりまく環境に調和するといった進み方についても私たちに伝えてくれています。時は今から2500年ほど前インドの文法学者パタンジャリー師がヨガスートラ:八支則まとめ、誰もが調和する生き方・8ステップを体系化されています。その内容については人として基本的な事でもありますが、現代を生きる私たちにとって、改めて考え意識する事とも思われます。よってアシュタンガクラスを実践される事に拘らずご自身に問いかけを戴き、今この時を大切にして戴く事を私は願っています。以下に八支則をご案内します。
★八支則について
① |
ヤマ(禁戒) |
●アヒムサ(非暴力) ●サティア(誠実・正直) ●アステーヤ(不盗) ●ブラフマチャリア(貞操) ●アパリグラハ |
② |
ニヤマ(勧戒) |
●シャウチャ(清潔) ●サントーシャ(知足) ●タパス(鍛錬) ●スワディヤーヤ ●イシュワラプラニダーナ |
③ |
ア ーサナ |
意識を体の内側に向け、瞑想への準備を整える。 |
④ |
プラナヤーマ |
呼吸と体・心を繋げ意識を向けていく。 意識的な呼吸を行い自身に活力を与える。 |
⑤ |
プラテヤハーマ |
外からの情報を五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)から意識を振り廻される事なく安定した精神状態を保つ。 |
⑥ |
ラーダナ |
完全な自身の意識の安定、一点に留め動かさない。 |
⑦ |
ディヤーナ |
何かに集中することもなく、深い静かな精神でいられる状態。 |
⑧ |
サマディ |
深い瞑想との融合。心穏やかで至福の状態 |
★アシュタンガヨガの歴史
2500年前インドの文法学者パタンジャリー師がヨガスートラの聖典をまとめた頃は坐法と瞑想といった静的なものでしたが、1948年にシュリ・K・パタビジョイス師によってアシュタンガヨガが創設されました。又その基盤を作ったのが「アシュタンガの父」と呼ばれたティルマラ・クリシュナマチャリヤ師と言われています。尚、アシュタンガヨガは現在のパワーヨガの前進です。
シュリ・K・パタビジョイス師とアシュタンガの経歴 | |
1927年 | シュリ・K・パタビジョイスの師であるクリシュナマチャリア師からヨガ練習法を学ぶ |
1948年 | アシュタンガヨガ・リサーチ・インスティテューションをインド・マイソール地方に設立 |
1960年半ば |
インドマイソールにてベルギー人にアシュタンガヨガを指導。その後徐々にヨーロッパでのアシュタンガヨガが広まる |
1970年半ば |
アメリカに渡り、サンディエゴ郊外で自身のアシュタンガヨガの普及に努めた。 |
1990年半ば |
アメリカのヨガブームからマドンナやスティングなどのセレブがアシュタンガヨガ愛好が伝えられ、一気にアメリカ全土にアシュタンガヨガが広まる。 |
2000年前後 |
日本でも徐々にヨガ・ブームが始まり、アシュタンガヨガは首都圏で人気を博し、徐々に日本全国に広まる |
現在は、シュリ・K・パタビジョイス師(1915~2009年)の孫シャラート師が後を継ぎ、アシュタンガヨガ・リサーチ・インスティテューションのディレクターとしてインド・マイソール地方でアシュタンガヨガを伝えられています。
★呼吸について
ウジャーイ・プラーナーヤーマ(勝利の呼吸:束縛から解放を得られる呼吸法)で行っていきます。
効果
精神を安定化させ身体を暖める、肺と横隔膜の強化、リラックス効果
方法
- 口を軽く開けハァーと吸う・吐くで喉の奥が振動している事を感じる
- 口を閉じ同様の状態へ
- 口を閉じ鼻から吸うが喉の奥まで入れる(喉の奥から吸うイメージ)
- 呼吸を意識的にゆっくり少しづつスムーズに行います。
★目線
アサナごとに決められています。サンスクリット語のアーサナネームングに活用されているものもあります。
目線の場所 | サンスクリット語での呼び方 | ポーズ例 |
上方、天空 | ウールドヴァ | ウールドヴァハスターサナ ウールドヴァムカシュヴァナーサナ ウールドヴァダニュラーサナ |
第三の目 | アジュラナチャクラ | |
眉間 | ブルーマディヤイ | |
鼻先 | ナサライ | |
側面(右遠く) | パールシュヴァ | ウッティタ パールシュヴァッコナーサナ |
側面(左遠く) | パールシュヴァ | ウッティタ パールシュヴァッコナーサナ |
ヘソ | ナビ・チャクラ | |
手 | ハスタグライ | |
親指 | アングシュタマディヤイ | |
つま先 | パダヨラグライ |
★ポーズ
アーサナの順序(シークエンス)が決まっており、ヨガ流派の中では多数の種類のアーサナを行います。以下ポーズの流れを見る限り、入り易く効率的な構成になっている事が確認出来ます。後半はかなりチャレンジングなアーサナが入っていますが、出来ないからといってクラスに参加出来ない事はありません。ヨガクラスは周囲の人と比較し判断する場ではなくご自身と向合う場です。厳しいポーズがあっても周囲を気にする事なく、その時を有意義に過ごす事を意識して下さい。
①スタンディングポーズ(立位)
パダングシュターサナ(足親指をつかむ前屈ポーズ)
↓
パダハスターサナ(手の上に足を乗せる前屈ポーズ)
↓
ウッティタ・トリコナーサナA・B(三角のポーズ)
↓
ウッティタ・パールシュヴァコーナーサナA・B(体側を伸ばすポーズ)
↓
プラサリータ・パドッタナーサナA・B・C・D(開脚前屈ポーズ)
↓
パールシュヴォッターナーサナ(両体側を伸ばす前屈ポーズ)
↓
ウッティタハスタ・パタングシュターサナ(1本足ポーズ・T字バランス)
↓
アルダ・バッダパドモッターナーサナ(半蓮華座に立って前屈するポーズ)
↓
ウトッカターサナ(椅子のポーズ)
↓
ヴィラバドラーサナA・B(戦士のポーズ)
②シッティングポーズ(坐位)
ダンダーサナ(杖のポーズ)
↓
パッシモッタナーサナ(背中を伸ばす前屈ポーズ)
↓
プールヴォッタナーサナ(上向きの板のポーズ)
↓
アルダ・パッダパドマパッチモッタナーサナ(半蓮華の坐位で行う前屈ポーズ)
↓
ティリヤン・ムカ・エカパーダパッチモッタナーサナ(膝関節を折り曲げて行う前屈のポーズ)
↓
ジャヌシルシャーサナ(頭を膝につけるポーズ)
↓
マチーチアーサナ(賢者のポーズ)
↓
ナヴァーサナ(船のポーズ)
③フィニシングポーズ
サーランバ・サルヴァンガーサナ(肩立ちのポーズ・ショルダースタンド)
↓
ハラーサナ(鋤のポーズ)
↓
カルナビーダーサナ(耳に膝をつけるポーズ)
↓
ウールドヴァ・パドマーサナ(上を向く蓮華座のポーズ)
↓
ピンダーサナ(胎児のポーズ)
↓
マツヤーサナ(魚のポーズ)
↓
ウッタナ・パーダーサナ(脚を伸ばすポーズ)
↓
シルシャーサナ(頭立ちのポーズ・ヘッドスタンド)
↓
バッタ・パドマーサナ (締め付けた蓮華座のポーズ)
↓
ヨガ・ムドラ (封印のポーズ)
↓
パドマアーサナ (蓮華座のポーズ)
↓
ウップルティヒ (パドマのバランスポーズ)
★チャンティング
レッスンの始めと最後に、師への感謝と練習の無事、実りを祈り、サンスクリット語でマントラを唱えます。
始まりのマントラ
本当の自身を目覚める喜びを与え、輪廻転生の迷いから解放していただける師への感謝と、 多くの知性を持ち様々な事を携えたパタンジャリ師へ深く尊敬の念を捧げるといった内容です。
終わりのマントラ
この世の全て人々が法と正義をもち世を治め、今後ずっと人類の繁栄を守り続け、そして世の全ての人に幸と栄えが永遠にある事を願うといった内容です。
★最後に
以上ご紹介させて戴き、これからヨガを始めたいと思われている方は最初からアシュタンガは?と感じる方もいると思います。どのヨガを選択された場合でも八支則から意識を戴き、経験を重ねた上で一度はクラスチャレンジを考えて戴ければと思います。ヨガを通じ日常が少しでも良い方向に向かえる事を願っています。