もくじ
臨床心理士
資格
臨床心理士、公認心理師、マインドフルネススペシャリスト
大人になっても友情はずっと続くのか?
社会人として、忙しい日々を送る中で私たちが直面する課題の1つが友人関係。
特に女性同士の友人関係は、共感を求め合いやすいことが特徴です。それは子どもも大人も、根本の部分は変わりありません。
しかし、社会人になるまでであれば、学校や習い事など同じ環境で頻繁に会い、過ごしてきた仲間がいますよね。自分から積極的に動かなくてもグループになって活動する機会や、仲を深める時間もあり、共通の話題も多いでしょう。クラス替え等で関わる子たちが変わることはあるかもしれませんが、友人を作りやすい環境が与えられています。
でも社会に出ると、ライフイベントや価値観の変化の影響で疎遠になることがあります。
これは特別おかしいことではなく、ごく普通なこと。特に女性の場合は、結婚や出産する人もいれば、独身の人もいて、正社員の人もいれば非正規雇用の人もいる…今まで仲良かったはずの友人が全く違う世界の人になることもあるからです。
ケンカ別れでない限りは、疎遠とは互いにステージや環境が変わったから当然のことと捉えるだけでも、少し気が楽になる人もいるかもしれません。
女性同士の友人関係は変化しやすい
■学生時代の友人と疎遠になるとき
みなさんは小・中・高の友人とのつながりはありますか?
当時仲良かった全員と今でも変わらず連絡を取り、頻繁に会っている人はもしかしたら少ないかもしれません。
それは、学校という環境が大きく影響していると言えるでしょう。学校に通っていた頃は、同じクラスや部活など、過ごす環境が近いため、多少性格が違っていても共通の話題がありますよね。
一方、大人になると職場環境や、住居、恋人の有無や結婚、妊娠・出産など、これまでは共通だった話題も一気になくなっていきます。こうしたライフスタイルの変化は、決して相手を嫌いになったわけではないけど友人と疎遠になるきっかけとなるのです。
この疎遠は、共通の話題が減った気まずさや会う時間の難しさ、相手への嫉妬や遠慮などが入り混じることで起こりやすいですが、実は新しい出会いや挑戦のためにはいいことでもあると捉えられています。疎遠になって悲しいけれど、「連絡するのも…」と思う人は、思い切って新しい友人関係を作っていく機会と考えてみるのもおすすめですよ。
■長く続く場合もある
女性同士の友人関係は、変化しない場合もあります。
特に親友と呼べる存在や、大学生・社会人になってから仲良くなった相手は、互いの価値観や状況を尊重し合えている可能性も高まるでしょう。成人していなくても高校卒業以降の友人は、これまでの友人とは違うと感じている人も多いかもしれません。
同じ学生でも高校と、大学(専門学校)の違いは「選択できる環境」や「自由」です。
高校にも職業学科はありますが、令和5年の文部科学省調査結果によれば、普通科に通う学生の方が多いことがわかっています。多くの子どもたちは大学や専門学校進学ではじめて「自分で何を学びたいか選択」し、進学後も「自分でどんな科目を学びたいか選択」する機会を得るのです。
自分で選択した先で出会った人たちは、今まで以上に同じ目標や目的を持ち、興味関心も近いと感じられるでしょう。女性の友人関係は、男性以上に「深く親密で共感し合える」関係を求めやすいです。これは長続きする相手と、そうではない相手ができやすいことも意味すると考えられます。
また、女性は周りにどう思われるかを気にすることもあれば、察してほしいと感じ、人をうらやましがりやすいといわれています。全員がそうではありませんが、お互いを尊重でき、自分にとって居心地のいい人と長く友情を続ける選択は女性ならではなのかもしれません。
参考
落合良行・佐藤有耕.青年期における友達とのつきあい方の発達的変化.教育心理学研究.1996,44,55-65
水島広子.女子の友人関係.サンクチュアリ出版.2014
■大人になったら友達はできない?
大人になっても友人はできます。しかし、学生時代と比較して能動的・自発的になる必要があり、難関に感じる人も多いようです。
カウンセリングにいらっしゃる方のなかにも、友人関係に悩む女性が多くいらっしゃいます。その悩みを持つ女性の多くが「自分から声をかけることが怖い」「ご飯に誘って断られたらどうしよう」「過去にうまくいかなかった」という思いや経験を抱えています。
しかし、大人になっても友人をつくること自体は可能です。無理につろうとするのではなく、次に紹介する考え方を取り入れてみると今よりも難関には感じないかもしれません。
友達づくりは大人になったらこう考えよう
大人になってからの友人づくりと、長続きのために抑えているといいポイントを紹介します。
距離感を保つ
これから友人をつくる場合も、今仲のいい人と関係を長続きさせるためにも「距離感」は欠かせないポイントです。
特に成人女性の場合は、「私の話を聞いてくれる」「否定せず共感してくれる」という特徴に当てはまる人を友人として求めやすいです。これは理解してくれる人や共感してくれる人を求めている意味でもありますが、”否定しない”が重要かもしれません。
昔からの付き合いで本音を言いあえる相手は別として、そうではない人に「それはおかしいよ」「ちょっと違うと思う」と言われたらどう感じますか?もしくは、何でも干渉してくる人だったらどう思うでしょう。
大人の友人関係は、ほどよい距離感が長続きのコツですよ。
相手や自分の年齢を気にしない
学生までと異なり、職場や習い事、子どもの幼稚園・学校、SNSなどで出会う人たちは同い年とは限りません。
年齢は関係ないと考えることで、今よりもきっと「気の合う人」を見つけやすくなるでしょう。大人になれば、価値観や共通の話題がある人が同い年や年齢の近い人とは限らないので、年齢を意識しすぎない方がつくりやすいかもしれません。
ただし、距離感や最低限の礼節をわきまえることだけは忘れないでくださいね。
自分の時間も大事にする
友人との時間以外に、自分の時間を確保するようにしましょう。
ご結婚されている方であれば、家族との時間・友人との時間・自分だけの時間を作ると心の余裕が生まれます。これは相手のライフイベントの変化や言動などに必要以上に反応しないためでもあるのです。
忙しい毎日を過ごしていると、身体も心も疲れてしまい、いつもなら受け止められることも受け止めきれなくなることがありますよね。いうつもりがなかったことを、勢いで言ってしまうこともあるでしょう。もし、自分は1人の時間は必要ないという人も、セルフケアの観点から1人の時間を作ってみることをおすすめします。
自分は平気でも、相手はどうかはわからないですし、相手と心の距離ができて会えなくなる可能性も0ではありません。友人関係を続けたいなら「自分の時間」を作り「相手の時間」を気遣う気持ちも忘れないようにしてくださいね。
相手の価値観も尊重する
共通の話題や趣味があっても、価値観が同じとは限らないですよね。
これから仲良くなりたい人とも、すでに仲いい人に対しても、相手を尊重する気持ちを忘れないようにしましょう。
自分がこう思っているから「きっと相手もそうだろう」というのは、無意識の思い込みです。たとえ、故意でなくても相手に直接言っていなくても、感じとる人はいますし距離を置かれるリスクもあります。良かれと思っての遠慮ではなく、目の前の相手と相手の持つ価値観を大事に思ってあげてくださいね。
【おまけ】これから友達を作りたい大人女性の皆さまへ
大人になってから友人を作りたいなら、自分の心を少しでも開いた状態で関わってみましょう。
オープンマインドという言葉もあるように、そういった心がけや考え方を持つだけでも周りが感じるオーラは変わります。「友達なんてできるのか」「この人はわかってくれないかも」と想像しすぎてしまうとクローズマインドとなり、周りからすれば「話しかけない方がいい人」になってしまいます。
もし友人を作りたいなら、笑顔を心がけ挨拶からはじめてみてくださいね。
一方で、「1人でいること=孤独で悪いこと」ではありません。学生の頃は1人でいると目立ってしまうこともあったかもしれませんが、大人の世界は違います。焦ってとにかく友人を作ろうと必死になるよりも、自分のペースでいる方が大人の友人関係における【距離感を保つ】もできやすいでしょう。
今回の記事を参考に、習い事をはじめたり、職場の人と仕事外で関わる機会を作ったり、ママ友や主婦友を作ったりなどして、自分にあう環境と友人を見つけてみてくださいね。