もくじ
日本でよく食べられている豆というとまず大豆が思い浮かびます。納豆やしょうゆ、味噌など日本の食卓に欠かせないものですね。
あんこになる小豆や大納言、煮豆の黒豆(黒大豆)や、落花生などもよく食べられています。
しかしスーパーに行くと、売られている豆の種類はそれほど多くなく、大豆はともかくとして他の豆は使い方のバリエーションが何となく決まったものが多いのではないでしょうか。
海外のスーパーやビオショップなどでは乾燥豆が種類豊富に売られ、さまざまな豆が定番の日常食としてバラエティ豊かに食べられています。
今回は私達日本人にも食べやすいレンズ豆・ひよこ豆・白インゲン豆の栄養や期待できる効果、下処理の方法、それぞれの豆を使ったおすすめ料理のレシピをご紹介します。
栄養たっぷりで食べやすいひよこ豆・レンズ豆・白インゲン豆
豆は栄養があるから食べなさい!と子供の頃いわれた人は少なくないのではないでしょうか。
甘い煮豆のなかでも黒豆はいいけど茶色の大きいの(金時豆)は苦手…など、同じ豆といってもちょっとずつ味が異なり、個々の好みの差が出やすいものかもしれません。
近年では、そのまま料理に使える手軽なミックスビーンズや缶詰のものが以前より浸透し、日常的に煮込みやサラダなどに利用する人もいるでしょう。
しかしひと昔前は豆といえば大豆は納豆か煮豆が主で、黒豆・小豆・金時豆などの乾燥豆はだいたい甘く調理されるという印象のものでした。
手亡(白インゲン豆の仲間)は白あんのもとで、赤えんどう豆はみつ豆に入っています。
しかし、さまざまな乾燥豆は甘くするだけでなくサラダやマリネ、スープ、煮込みなど幅広く楽しめ、オイルやスパイスなどとの相性もぴったり。
特にひよこ豆・レンズ豆・白インゲン豆は味のクセも強くなく、どのような調理をしても食べやすくおいしいので、家にあるとレシピの幅が広がります。
次の項から、それぞれの豆の栄養や期待できる効果を解説します。
ひよこ豆
乾燥のひよこ豆はゴツゴツした直径1cm弱程度の大きさの豆で、ひよこのくちばしのような突起がありますが、そこからこの名称がついたのではないようです。
英語表記はChick(ひよこ)pea(豆)、日本ではひよこ豆の他ガルバンゾーという名前でも定着しつつあります。
中東・アフリカ・インド・ヨーロッパなど広く食べられており、日常のメイン食材のひとつとなるほどよく使う人が少なくありません。
スパイスやオイルとよく合い、煮込みやカレー料理のメイン食材としてもよく使われます。
乾燥豆から調理する方ができあがりがおいしいのですが、時間がかかるので水煮缶を利用すると日常的に使いやすいですね。
ひよこ豆の栄養と期待できる効果
ひよこ豆は高タンパク低脂肪で栄養価の高い食材です。
- タンパク質
- 炭水化物
- ビタミン B・E
- 鉄分
- イソフラボン
- ミネラル
- 食物繊維
などが含まれています。
ビタミンEは大豆より多く、カロリーは大豆より低く、タンパク質は肉類に匹敵するほど。
しかし糖質は大豆より多いためダイエットしている人は食べ過ぎには注意です。
期待できる健康・美容効果
大豆に期待できる健康・美容効果には以下のようなことがあります。
- 腸内環境を整える
- むくみ・冷え性の改善
- 代謝アップ
- 髪・肌・粘膜を健康に保つ
- アンチエイジング効果
- シミやシワの予防
- 骨粗しょう症や動脈硬化の予防
女性ホルモンのエストロゲンと似た働きをするイソフラボンは骨粗しょう症や肌の衰えの予防、イライラ軽減が期待できるといわれます。
ビタミンEは強い抗酸化作用を持ち、老化を防ぎシミ・シワの予防や血管を広げて動脈硬化を予防する効果が期待できます。
食物繊維も豊富で腸内環境を整える効果が期待できます。
参考:https://magokoro-care-shoku.com/column/chickpeas-rich-in-nutrients/
レンズ豆
レンズ豆は乾燥豆の中では珍しく、下茹でのいらない手軽な豆です。
オレンジ・緑・茶色があり、皮が取ってあるのがオレンジで皮付きのままなのが茶色・緑ですが、オレンジと茶色が主流です。
皮付きのものは煮崩れしにくいのでサッと茹でて使うものから煮込みまでさまざまな料理に使えます。
レンズ豆は5mm程度の小さな薄い豆ですが栄養はとても豊富。
レンズ豆の栄養と期待できる効果
レンズ豆には以下の栄養が含まれます。
- 炭水化物
- タンパク質
- 食物繊維
- 鉄分
- カリウム
- 葉酸
- マグネシウム
- カルシウム
- ビタミンB7
- ポリフェノール
タンパク質・鉄分・葉酸がとても豊富。また、乳製品以外でカルシウムを補いたい人にとてもおすすめです。
ひよこ豆同様、レンズ豆はカロリーが大豆より低いですが、糖質は大豆より多く含まれます。
期待できる健康・美容効果
レンズ豆に期待できる効果には以下のようなことがあります。
- 腸内環境を整える・便秘の改善
- むくみ予防
- 肌を綺麗に維持する
- イライラを抑える
- 骨粗しょう症やがんの予防
良質なタンパク質や食物繊維、カルシウムなど身体をつくる基本の栄養は毎日しっかりとりたいものです。
食物繊維が豊富なため、便秘の改善や予防、腸内環境を整える効果が期待できます。
ビタミンB7はイライラを抑える効果・鉄分は肌を綺麗に維持する効果が期待できるといわれているため、女性は積極的にとりたいですね。
白インゲン豆
白インゲン豆は中南米やメキシコが原産の豆で、品種も大きさもさまざま。
そのうちの手亡(てぼう)という豆は、白あんの原材料として使われています。
日本では白インゲン豆そのものとしてよりも、白あんを食べる機会の方が多いかもしれません。
白インゲン豆もクセが少なく、スープや煮込み、マリネなど何でも食べやすいのであると便利です。
白インゲン豆の栄養と期待できる効果
白インゲン豆には以下のような栄養が含まれます。
- タンパク質
- 炭水化物
- カリウム
- カルシウム
- リン
- マグネシウム
- 亜鉛
- 食物繊維
- ファセオラミン
- ビタミンB群
- 葉酸
ひよこ豆・レンズ豆同様に高タンパク低脂質で、食物繊維は大豆の2倍と豊富です。
また、脂質や糖質の吸収を阻害することからダイエットにも効果が期待できるといわれています。
期待できる健康・美容効果
- ダイエット効果
- 疲労回復
- 骨粗しょう症・生活習慣病の予防
- 便利の改善・腸内環境を整える
- 炭水化物の吸収を阻害
- 疲労回復
ファセオラミンという白インゲン豆に含まれる成分が脂肪・糖質吸収を阻害するといわれ、ダイエット効果に期待できると近年いわれるようになりました。
糖尿病・肥満の予防として研究され、サプリの原料にもなっています。
しかし、加熱が充分でないと中毒を起こすことがあります。
実際、テレビで下処理なしに白インゲン豆を煎る放送があった際、それを試した視聴者が中毒になりました。
他の豆同様、きちんと水に漬け、柔らかくなるまでしっかり煮れば大丈夫です。
参考:https://search.yahoo.co.jp/amp/s/mitarashi.net/4068.html%3Famp%3D1%26usqp%3Dmq331AQIKAGwASCAAgM%253D
ひよこ豆と白インゲン豆の下処理
画像:https://recipe.organic-press.com/recipe_96/
レンズ豆は下処理(下茹で)がいりませんが、ひよこ豆と白インゲン豆は必要です。
ひよこ豆の下処理
- ザルに乾燥のひよこ豆を入れ、ざっと水洗いをして余計な汚れをとる
- 鍋にひよこ豆とたっぷりの水(最低豆の5倍量以上)を入れ、一晩ほど(8時間程度)置いて戻す
- ぷっくりと豆が膨れて大きくなっていたら、漬けた水ごと強火にかける
- アクがたくさん出るのでこまめに取りつつ、沸騰したら弱火にして柔らかくなるまで茹でる(30~40分目安)
- 好みの柔らかさになったらザルにあげる。ゆで汁はスープの出汁として使えるので、とっておくといい
乾燥の状態と戻した状態では、大きさも異なり、重さも2倍以上になります。
しかし冷凍もできるので、戻しすぎたと思っても大丈夫です。
白インゲン豆の下処理
- 乾燥白インゲン豆をザルに入れ、ざっと水洗いして汚れをとる
- 鍋に白インゲン豆とたっぷりの水(3~5倍以上)を入れ、一晩(8時間程度)置いて戻す
- ザルで水をきり、鍋に白インゲン豆を入れてたっぷりの水を加え、強火にかける
- 沸騰する頃にはアクがたくさん出ているため、一度ザルにあげて湯を捨てる
- 再び鍋に白インゲン豆と水を入れ、強火にかける。沸騰したら弱火。この間もアクが出るので、こまめに取る
- 弱火でコトコト煮て、40分ほどで一粒食べてみて、硬さをみる
- 好みの硬さになったら火を切り、そのまま冷ます
同じ乾燥豆でも、ひよこ豆と白インゲン豆だとちょっと工程が違います。
白インゲン豆も茹でこぼしが絶対必要ということではないのですが、皮部分にえぐみがある場合があるので、2度茹でるといいでしょう。
こちらもゆで汁はスープ出汁として使えます。
たくさん茹でて冷凍もできますし、冷凍する際に豆とゆで汁を一緒に冷凍しておいてもいいです。
ひよこ豆のレシピ
ひよこ豆を使ったおすすめのレシピを2つご紹介します。
フムス
フムスというのはひよこ豆のペーストで、中東やトルコでよく食べられている料理ですが、とてもおいしいです。
フムスのショップだと、トッピングが選べたりするのですが、生野菜でサラダ風・揚げナスやゆで玉子・鶏レバーと玉ねぎのスパイス炒めなどさまざまあり、楽しめるので好みのものをトッピングしてみて下さい。
バゲットやピタパンに挟むのも楽しいです。
用意するもの
- ひよこ豆(水煮缶か下処理したもの)
- 水煮缶の汁かゆで汁
- ニンニクすりおろし
- 練りゴマ(白)
- 塩
- レモン汁
- オリーブオイル
- クミン・コリアンダー(パウダー)
作り方
- (元気がある人は)ひよこ豆の皮をとる
- フードプロセッサーやミキサーなどにひよこ豆・練りゴマ・ゆで汁・オリーブオイル・レモン汁・ニンニクを入れてペースト状にする
- スパイス・塩を味を見ながらたす
滑らかにするためにゆで汁(少量)・オリーブオイルを使い、味付けで練りゴマとスパイス・塩・レモン汁を使うと覚えておいてください。
そうすれば、それぞれの分量はあまり気にせず、少しずつ分量を増やして好みの味に調節できます。
レンズ豆のレシピ
プティサレとレンズ豆の煮込み
画像:https://oceans-nadia.com/user/10022/article/3041?page=2
プティサレとは塩漬けの豚バラや肩肉ブロックのことです。
塩漬け豚は冷蔵庫で1~3日寝かして作るのですが、1日だけでも充分おいしいです。
下処理にそれなりに時間がかかりますが(塩漬けの分)、あとはとても簡単なのでおすすめ。
用意するもの
塩漬け豚
- 豚バラ/肩ブロック …500g
- 塩漬け用の塩 …肉の重量の1.4%
- ニンニクスライス …1~2片
- ローリエ …3枚ほど
調理
- ニンニクみじん切り …1片
- ローリエ …1枚
- バター …40g
- セロリ(茎) …1本
- にんじん …1本
- 玉ねぎ …1個
- レンズ豆 …200~250g
- ローズマリー …1枝
- 塩 …適量
作り方
- 豚ブロックの脂身に切り込みを入れ、重量の1.4%の塩をぬり、ちぎったローリエとスライスのニンニクを両面に貼り付ける
- ラップで巻いて1~3日寝かせる
- 玉ねぎ・にんじん・セロリをみじん切りにする
- 鍋にバター、みじん切りニンニクを入れて火にかけ、玉ねぎを炒める→セロリ・にんじんを炒める
- 火がある程度通ったら火を止め、乾燥のままのレンズ豆をざっと入れ、その上にニンニクとローリエを剥がした豚ブロックを脂面を上に置き、肉の上面がちょっと出るくらいの水をいれる
- ローリエとローズマリーを入れ中火にかけ、沸騰したら蓋をして弱火で1時間~1時間半ほど煮込む
- 水が少なくなっていたら適宜足し、肉もレンズ豆もホロホロになっていたら味見して、塩が足りなければ足す
- 火を止めて20分ほど置いて馴染ませて完成
工程が多くて面倒にみえますが、そうでもありません。
塩漬けの時間も煮込む時間も基本的に放っておけ、調味料は基本塩だけなのに、本当においしくなるのでとてもおすすめです。
白インゲン豆のレシピ
白インゲン豆のマリネ
白インゲン豆と赤玉ねぎのちょっとした刺激、ツナの塩気と旨みがバランス良く、前菜としてちょうどいいメニューです。
フレッシュ感たっぷりで、白インゲン豆・トマト・赤玉ねぎの食感がそれぞれ異なり楽しいです。
玉ねぎは普通のでももちろんいいですが、色合いがおしゃれなのであれば赤玉ねぎを使ってください。
ケイパーやオリーブはなくてもおいしいですが、あるとより味が引き立ちます。ハーブも同様です。
用意するもの
- 茹でた白インゲン豆
- 赤玉ねぎ
- ツナ
- トマト
- オリーブオイル
- レモン汁
- ケイパーやオリーブ(あれば)
- バジルやイタリアンパセリ(あれば)
- 塩 胡椒
作り方
- 赤玉ねぎはみじん切りに、トマトは角切りにする
- オリーブも適当な大きさに切る
- ボウルに茹でた白インゲン豆、赤玉ねぎ、トマト、オリーブ、ケイパーを入れ、オリーブオイルを回しかける(多め)
- 味をみてレモン汁少々と塩コショウを加える
- そのまま20~30分冷蔵庫でなじませて完成
白インゲン豆を茹でてさえおけば、とても簡単で早くできあがります。
そのままでももちろん、トーストしたバゲットに盛り付けてもおいしいです。
おいしく食べて栄養補給しよう
豆の食べ方は世界各地さまざまなものがあります。
乾燥豆を戻す手間や下茹でが面倒に感じるかもしれませんが、ほぼ放っておくだけなのでそれほど大変なことではありません。
オリーブオイルとレモン汁、スパイス、塩コショウで和えておけばおいしく食べられるのも魅力です。
ぜひ試してみてください。