もくじ
年齢を重ねて成長していく過程で、そして大人と呼ばれる年齢になってからも人生には色々なことがあり、私達はさまざまな経験をします。
物事に対する価値観は個々それぞれで大きく異なるため、大人になればなるほど自分と他の人との物事の見方の違いが気になったり、他人と比べて苦しんだりするものです。
経験から何かを学び、次のステップへと向かうことができればいいですが、極端な考え方だったり、自分自身に対して間違った評価をするのが癖づいていると、思い悩むループにハマりやすいことも。
モヤモヤしている時間がもったいないと理解していても、先に進めないことがあります。
しかし少しでも有益な方向へ向かうための考え方や気づきがあれば、ただモヤモヤしているよりは気持ち的にも希望としても楽になれるかもしれません。
今回は自分の人生をより快適に送るために、気づきを得るヒントや苦しくない選択をする考え方について提案します。
生きづらさを感じている人
うつ病やパニック障害などさまざまなメンタルの疾患では、なるべく早くに適切な治療を始めることがとても大切だといわれます。
特定の状況に対しての恐怖症であれば、その状況を避けたりカウンセリングを受けて適切な対処を始めることも有益でしょう。
疾患であれば専門機関での治療が重要ですが、疾患ではなく日常生活も普通に送れているのに、何となく生きづらさやすっきりしない感覚があるという人は実は多いのではないかと思われます。
隣の芝は青く見えるとはよくあることで、何か理由があってネガティブな感じ方をし、それが一過性のものであればいいですが、思考のパターンと思い込みで慢性化すると、毎度ネガティブな気持ちを感じて疲れますし、物事や人に対して閉鎖的になりやすくなります。
自己肯定感の低さ
能力・学歴・恋愛や結婚・仕事や収入など、個々でそれぞれできごとや成功/失敗の経験が異なり、これはまわりから見る外側の印象と内側の心の内が随分落差があることは珍しいことではありません。
外から見て何不自由なく幸せに見えていても、本人の心の焦点は全然違うポイントにあって憂鬱な気分に苛まれていることもあれば、まったく逆のケースもあります。
成人を迎えるまでの多くの時間は基本的に学校で集団生活を余儀なくされ、得意/苦手なこと、要領の良いタイプ、物事に対して時間がかかるタイプなど個々の差が出ます。
色々なことで傷ついたりして自己評価が低くなることもあれば、傷をバネにすることもあり、また特に敏感に感じないできた人もいるでしょう。
自己肯定感が高ければ生きやすいというのは定説のようにいわれ、どうすれば自己肯定感が高まるのか…と悩む人も少なくありません。
この自己肯定感は明確な形がありませんが、一般的な価値観とはまるで違うのが不思議なところです。
外から見てとても優秀な人が「自分は本当にダメだ」と思っていたり、「自分の人生には良いことなんて今後も絶対起きない」など、パターンはさまざまですが根拠がないことを強い気持ちで信じているのです。
見当違いな評価・思考のパターンを自分自身で生みだし、その思考に苦しむという現象は謎ですが、そのトリックというか「自分はこの強い思い込みを持っているんだ」と気づいてシフトできると、自分自身に対しての評価や憂鬱な気持ちへの付き合い方がずいぶん変化します。
他人軸ではなく自分軸で考える
たとえば、「自分はこれほどダメな人間だ」という思い込みがあったとして、ではなぜそう思うのか、というふうに掘り下げていった場合、それが他人から見て本当にダメで仕方ないというケースは稀なのではないでしょうか。
悔しさや怒り、また逆に喜びなどは極めて本能的に感じるものです。
- 人はこんなに恵まれているのにどうして私はそうじゃないんだろう
- なんで私はこんな考え方しかできないんだろう
- 私なんて誰からも愛されるわけない
などネガティブにもさまざまな思いがありますが、特に他者との比較や一般的な価値観と自分の人生にズレがあることなど認識すると、心が弱っている時は特に負のループにハマりやすいですね。
では自分は何をしたくて、何をしたくないのか
思考パターンに振り回されている間は、何かを(特に自分自身)責める方向へと向かいがちで、建設的なアイディアや未来への希望が生まれるようなことがありません。
何が好きで何をしてると楽しく、何が嫌いで何と関わりたくないのか、快適な自分自身としての感覚が見失われがちです。
快適な感覚ではない時はだいたい自分自身から離れ、他者の価値観や一般論を自分として知らず知らずに受け入れています。
一般的にはこうだから、とか普通は~などの考え方をして知らず知らずに自分自身を追い詰めていることに気づくことはとても有意義なことです。
もちろん、一般的な常識を無視して自分に都合よく考えるということではありません。
しかし必要以上に我慢をしたり、我慢をすることが当たり前と思っていたり、本当はする必要がなく自分もやりたくないと思っているのにやっていたり…などということは、人生から手放したいことではないですか?
会いたくない人に会う、行きたくない誘いにのる、などは神経が摩耗します。
仕事で立場上…などは別のストレス解消の対処が必要ですが、個人的なプライベートの繋がりであれば、自分軸でやりたくないと感じたものは手放しましょう。
内観の大切さ
具体的な問題がある時に考えたり、何とかしようと対策することは必要なことですが、理由も特にないのに気分が良くなかったりネガティブな思考に苛まれている時は、まず自分が思考に苛まれていることに気づくのが大切です。
目を閉じて深呼吸をして、自分は今どんな気分なのか、ということに集中してみましょう。
頭で「これがこうだからこうなってて〇〇なんだ」などと考えたり決めつけるのではなく、自分自身の感覚を意識するのです。
一方的な自分のおしゃべりではなく、対話を意識してください。
心がどういう状態なのかに気づくと張り詰めた気持ちや萎縮してぎゅっとなった気持ちが少しずつ穏やかになることが認識できるでしょう。
ひとつずつ嫌な気分が解放されると、 心にスペースが生まれ、建設的なアイディアが生まれたり、楽観的になれます。
その自己評価はどこから生まれたのか
自分を気分や心の状態を気にかけ、気づくという行動を続けていると、自分がネガティブループに陥るパターンにも気づきやすくなります。
嫌な気分が毎度同じようなパターンで現れるのであれば、それには、その感情を生み出すベースの考えがあります。
たとえば、過去にこういうことがあったから今も自分はこうだしこれからもそうだろう、などということです。
しかし、それはそれまで同様、そのことを思った今現在もそう決めたことから、今現在も嫌な気分が生まれたということで、今後ずっとそうであると決める必要もなければ、誰かにいわれていることでもないのです。
自分のパターンに気づいたら、ベースとなる考え方がいつ何をきっかけに生まれたのか考えてみましょう。
深呼吸に意識を向けて瞑想をしてみるのもいいですし、楽な体勢で心の状態に注意を向けながらぼーっとしているのもいいでしょう。
何か思い出したり、記憶を辿るうちに感情が湧くかもしれません。
その時の自分の感情や本当はどうするのが、どうなるのが良かったのか、そのできごとについて清算されていなかった自分の気持ちをしっかり感じ、ひとつずつ解放しましょう。
それが子供時代や思春期など、ずいぶん前の過去の価値観の考え方で、今はもう少し違った考え方ができるというものも多いのではないでしょうか。
パターンに気づき、それがもういらない考え方であるなら、手放して自分にとって気分の良い新しい価値観を受け入れましょう。
不幸せな考え方に依存しやすい
しかしそうはいっても、過去のトラウマからネガティブな感情に苛まれて苦しい期間が長ければ長いほど、心の状態に気づき良い方向に向かうと考えただけで腹がたって「許せない」という気持ちが湧くことがあります。
心の状態を習慣的に気にかけていると、驚くほどしつこいネガティブな感情や気分があり、一体いつまで…とうんざりすることも多々あります。
何をしようとも気分が良くなく、あーしつこいと思っても、どうにもならない時もありますね。
そんな時はそれはそれで受け入れてゆっくりしていましょう。
ものすごく緩やかかもしれませんが、時間がかかっても心の状態を気にかけ、感情を解放するなど取り組んでいれば徐々に変化していきます。
変化するのが怖い
頭では進むべき方向が分かっていても、心は「今の状態でいればこれ以上悪くならない」「このくらいでいい」などと特に変わらないことを選ぶということもあります。
それが心から望むことであればそれでいいですが、そうでない場合が少なくありません。
怒りや苛立ち・恐怖などの感情で良い方向へ進むことに対して抵抗するのです。
しかしそれも心の作用。変化することは怖くないということが分かるまでは抵抗があるでしょうが、心のレベルで大丈夫と認識されれば、それもなくなるでしょう。
いい気分でいること
現実的な理由で気分が良くなかったり、問題に対処しなくてはならない時は、それが解決されれば心の重荷はなくなります。
しかし、過去に傷ついた経験から生まれた感情や、さまざまな清算されていない感情が溜まっている場合、一筋縄ではいきません。
もう何年も前に傷ついたことでも、どうしても立ち上がれないことはありますし、どうしてそんなことが自分に起きたんだろう…という気持ちから抜け出すのは簡単なことではありません。
心に溜まったオリのようなものは、蓄積されてさまざまなネガティブさと結びつき、負のストーリーを未来へと繋げてしまいます。
ですから、自分の心の状態に気づいて、嫌な感情を解放してあげる必要があるのです。
そのキーとなるのはいつも、「今いい気分でいる」のか、気分が悪いのかに気づくことです。
生まれた時から周りにいる人が生涯を終えるまでずっと一緒という人はいません。
いつかのタイミングで新しい出会いがあり、別れもあって環境や生活は多かれ少なかれ変化するものです。
自我が出ることでさまざまな感情が生まれ、嬉しいことも最悪なこともあり、自分を取り巻く環境や人が変わっても清算されなかった気持ちは普段意識していなくても残っていたりします。
自分を傷つけた人間を許せばいい、ということではありません。
いつまでも執着して、そのできごとは済んでいてもう会わない人なのに、ということで自分を追い詰める必要はありません。
具体的に自分自身の心と直接的に関われるのは自分だということを認識し、心を癒し続けていくこと、新しい価値観で幸せになってもいいと自分に対して許すことを日々意識していくことは未来を良い方向に変化させる一歩です。
気づきを得たら古い価値観を手放そう
心の状態に取り組んでいると、自分はこうやって感じてたんだなということがよく理解できるようになります。
古い価値観で幸せな気持ちではない時期がどれほど長く、無駄にしたなと思っても、そこから先も幸せになってはいけないという決まりはどこにもありません。
今いい気分なのかを意識し、気分が良くなければ感情がどうなのか内観し、少しずつ癒していきましょう。