ものごとをスタートするベストタイミングとは?時間的ランドマークやナインエンダーを味方に!

せっかくやる気を出して、チャレンジしようと思ったことも、いざ始めてみるとなかなか続かないという悩みをお持ちではないですか?実は物事を継続するためには、タイミングが肝となるのです。新しく何かを始めたい人や続けたい人に向けて、タイミングを味方につける方法についてご紹介します。

ヨガのレッスンをスタートするにもベストなタイミングがあった?

 たっぷり時間が取れる長期休暇や季節の変わり目などをきっかけに、ヨガのレッスンに通ってみよう、ティーチャートレーニングにチャレンジしてみようと思っている人はいませんか?

実は、ヨガを始めるにはベストなタイミングがあるのです。
ヨガの技法がわかりやすくまとめられたマニュアル的な経典「ゲーランダー・サンヒター」では下記のような教えが書かれています。

ヴァサンテー ヴァーピ シャラディ ヨーガーランバン サマーチャレーット タダー ヨーゴー バヴェーット シッダハ ヴィナーヤーセーナ カッティヤテー
春と秋が、ヨーガの練習を始めるべき季節であり、その時期に練習を開始することによってヨーガの達成はあると言われている。

ゲーランダー・サンヒター
第5章8節〜15節

引用:やさしく学ぶYOGA哲学 ハタヨーガ 基礎と実践/向井田みお (著)

ヨガが生まれたインドの気候は、夏は蒸し暑く、冬は凍えるほどに寒い場所です。極端な気温の中でのヨガは、疲れやすくなったり怪我をしやすくなったりすることがあります。
気温や環境の変化は思いの外、心身に負担をかけている場合があるので、ヨガの教えでも避けるようにと伝えられているのです。

季節の中でも春と秋は気温も心地よく、変動も少ないのでヨガを始めるにはちょうどよい時期ですよね。
また、気温といった心地よい環境だけでなく、春と秋は期の変わり目でもあります。

学年や部署が変わる、学校や会社が変わる、それに伴って引っ越しなどで住む環境そのものが変わる時期。
心機一転、新たなことを始めるには最適なタイミングといえるでしょう。

もちろん、ヨガだけでなく新たに身に付けたい習慣や学びを始めるにも良い時期です。しかし、そういったタイミングは春と秋だけなのでしょうか?

次の章からは、物事を始めるための最適な時期や継続するための方法について、タイミングや区切りにフォーカスして解説します。

スタートが肝心!物事を始めるベストタイミング

チャレンジしたいことがあるけれど、ぐずぐずしていてタイミングが掴めない、なかなか始められずに結局手をつけられないままにいる、ということはありませんか?
他にも、物事を始めてもいつも三日坊主で継続できないと言う悩みを持っている方もいると思います。

物事を始めるには、最適なタイミングがあります。
前章でご紹介したようなヨガの聖典にも書かれている季節や期の変わり目は、物事をスタートするには絶好のタイミングなのです。

そのタイミングを科学的な視点でまとめているのが、「WHEN 完璧なタイミングを科学する」という本です。 

WHEN 完璧なタイミングを科学する」
ダニエル・ピンク (著), 勝間和代 (翻訳)

この本の内容を参考に、物事を始めるときから中間地点、終わりに至るまでの完璧なタイミングについてご紹介します。

何かを始めたくなる「時間的ランドマーク」

1年の始まりである元旦には、新しい手帳をおろしたり、目標を立てて何かを始めることがあるでしょう。
このようにあらゆるサイクルの中で区切りのいいタイミングを「時間的ランドマーク」と書籍の中で紹介されています。

目的地に向かう時、迷わないように何か目印となるものを定めることがありますよね?
同じように時間軸でも時間的ランドマークを定めることで特定の日にちを目印にし、先に進める役割を果たします。

例えば、わかりやすい「時間的ランドマーク」は以下の通りです。

  • 1年の始まりである「元旦」
  • 毎月1日
  • 毎週の週明け(月曜日)
  • 祝日の次の日
  • 新学期の始まり
  • 誕生日の直後
  • 記念日の直後
  • 新月・満月

例えば、アシュタンガヨガでは新月と満月のムーンデーと呼ばれる日は練習を休むという風習があります。その風習には諸説ありますが、月の満ち欠けは身体にも少なからず影響を与えるため、新月と満月の日は安静にすることにしています。
毎朝欠かさずに行なう練習でも1か月に2回しっかり体を休めることで怪我なく何年も続けることができるといわれています。

このように、時間的ランドマークを活用することで一旦リセットし、新たにスタートを切ることでスムーズに物事を進めることができるのです。

見切り発車でつまずかない!スタート前に心がけること

物事をスタートするにあたり、先の失敗や計画について考え過ぎて、なかなかスタートできない人と、何も考えずにとりあえず見切り発車で始めてしまう人の2種類のタイプが考えられます。

どちらのタイプも良し悪しがありますが、スタートできずにもたつくよりも、とにかく見切り発車で始めるほうが物事は前に進みやすいです。
しかし、目的やゴールもないままに前に進むだけでは、地図もなしに車を運転しているのと同じ。ただガソリンだけが減る一方です。

そのような、最悪のスタートを回避するためには下記のような「事前の検討」を行なうことが必要です。

スタートを切るための「事前の検討」とは?

1. 考えられる失敗を想定する
<例>
フルマラソンを完走できない。 

2. 見込まれる問題をいくつか予測する
<例>
・走る習慣をつけるために、毎日1kmは走るようにする
・練習をサボらないように、雨の日は家で筋トレをする
・練習が飽きないように走行記録をSNSにアップする

このように、「事前の検討」をざっくりとでも想定しておくだけでも、スタートを切ってから問題に直面しても立ち止まらずに解決することができます。

中間地点をうまくやり過ごして、達成を目指そう!

「時間的ランドマーク」をうまく活用して、よいスタートを切ることができたとしても、物事が続かないという悩みがあります。
特に、途中でやめてしまいがちなタイミングとして挙げられるのが中間地点です。

始めたばかりの時は、やる気もたっぷりあるし、慣れないことをやるのに精一杯です。しかし、だんだんと時が経つにつれて、慣れてきて、飽きてしまいます。
このタイミングは、スランプになりやすく、場合によってはこのまま止めてしまうこともあります。

では、この中間地点をどのように活用すれば、スランプを乗り越えてリタイアせずに継続することができるのでしょうか。

ハーフタイムが刺激になる理由

バスケットボールやバレーボール、サッカーなどのスポーツの試合では、前半と後半の間に休憩が入りますが、調査によると、このような試合において前半に負けているチームは、後半戦になると得点を多く入れる傾向があるそうです。

つまり、前半負けていても逆転するチャンスを持っているということです。このような傾向は、スポーツにおいてはよく見かけます。

例えば、マラソンで先頭を走っている人よりも。その後ろについている人のほうがラストスパートをかけやすいことがあります。
追いかけられるより、追いかけるほうが走るスピードをコントロールしたり、冷静に戦略を立てたりすることができるのです。

このように、一見不利に見える状態でも実は有利なことがあります。
ハーフタイムで注目すべき点は、中間地点を意識することで、例えその時点で負けていてもあきらめるのではなく、頭を切り替えることが大事なのです。

中間目標を意識して中だるみを防ぐ

物事を進めていると、やり方にも慣れてきて効率的に進められるようになりますが、その分飽きるようになり、中だるみすることがあります。

ちょっとだけならと本来やるべきことをやらなかったり、サボってしまったりすることもあるでしょう。
その結果、目標を達成できなかったり、勝負に負けてしまうということになりかねません。

ここで注意すべきは中間地点での中だるみを防ぐことです。
先述したように、中間地点は捉え方次第では一発逆転を狙えるチャンスでもあります。

スポーツの試合のように、達成したい目標の期日を前半と後半に分けてスケジュールを立てることで、中間地点ができます。
全体の目標から前半やり遂げたい内容を洗い出し、中間目標を立てます。

この中間目標が達成できれば、あとはその調子を保ちながら最後まで進めばいいだけですし、もし達成できなくても後半で盛り返せばよいのです。

最初から大きな目標に向かうよりも、間で小さな目標を立てて少しずつ達成していくことのほうが中だるみせずに前に進むことができます。

終わりを味方につけてものごとを達成させよう!

これまで、始まりと中間のタイミングについてお伝えしてきましたが、終わりに関してもタイミングのコツがあります。

「終わりよければ全てよし」という言葉は、誰でも一度は耳にしたことがあるフレーズではないでしょうか。
または「引き際が肝心」というフレーズも、終わるタイミングにフォーカスした言葉です。

目標を悔いなく達成するために、終わりのタイミングをどのように活かせばよいのでしょうか。

年齢の区切りで奮起する「ナインエンダー」とは?

フルマラソンにチャレンジし、完走する年齢について調査したデータがあります。そのデータによると、各年代において、29歳、39歳、49歳、59歳の人がフルマラソンを完走するという結果が出ています。
つまり、新たな年代を迎える前の最後の年齢になると、人は奮起するのです。

年代の最後の年齢を迎えた人たちを「ナインエンダー」と呼びます。
先ほどのデータによると、ナインエンダーの中でも29歳の人たちはフルマラソンに初参加する人数が他よりも多くなっています。

それぞれの年代の最後の年を迎えるとき、例えば29歳ならば20代でやり残したことはないかと考えるでしょう。そして、今まで手をこまねいていた物事をチャレンジします。

なかなかチャレンジできなかったことも、年齢を意識することで達成するための力がみなぎるのです。
この力を利用して物事に取り組み、目標を達成できれば気持ちよく新しい年代を迎えることができるでしょう。

嫌なことは早く終わらせてハッピーエンドを迎えよう

「終わりよければ全て良し」というフレーズは、一見収まりのいい言葉に聞こえますが、終わりに近づくまでに紆余曲折あり、間違いや失敗でつらく苦しい道のりを乗り越えた末の結果を表します。

人は心理的に嫌なことはさっさと終わらせて楽になりたいという気持ちを持っています。
例えば、悪い知らせと良い知らせを同時に聞かせられる場合、先にどちらの知らせを聞きたいと思いますか?
この場合、先に悪い知らせを聞いたほうが先に良い知らせを聞くよりも心理的負担が少ないのです。

つまり、最後に嫌なことを残すよりも、先に済ませてしまってハッピーエンドを迎えたほうが気持ちよく物事を終えることができます。そして、次のステップに進む弾みもつきます。

時間の区切りが功を制す!タイミングを味方につけよう!

目標を達成しようとするときにやる気のある始まりは意識しますが、中間地点や終わりについて意識することはないでしょう。
そうすると、中だるみや諦めにつながって物事を継続できない、断念してしまうといった結果につながります。

今回紹介したように、時間の区切りを意識するだけでも気持ちを切り替えることができます。
これから何かを始めたいという人こそ、タイミングを味方につけてなりたい自分を目指してくださいね。

フリープランナー兼エディター。
2020年3月にインド政府公認校認定ヨガ指導者養成講座ヨガ哲学コース修了。ヨガ哲学に魅せられて、日々カルマヨガに専念しています。
「ヨーガ・スートラ」や「バガヴァッド・ギーター」を参考に、哲学や瞑想の視点から毎日の生活が楽しくなるヒントを伝えていきます。
マイブームはスパイスカレー作りとジャパ瞑想。
note: https://note.com/hurrytomo
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