もくじ
私たちは無意識のうちにニュースを取得することが習慣化している
東日本大震災から10年が経ち、最近では新型コロナウィルスのパンデミックのような私たちの恐怖を脅かすニュースが大小関係なく流れてきます。それらのニュースは私たちの心を揺さぶり、目が離せない情報として常にチェックしていないといられない状況を生み出します。
自然災害や事故は、どんなに注意を払っていても自分の力ではどうにもできないことです。そして、心痛めるニュースも残念ながら自分の力で変えることはできません。それにも関わらず、日々私たちはニュースを見聞きし、その度に振り回されて気づかないうちにストレスとして心身に影響を及ぼしているのです。
現在、ニュースはテレビやラジオだけでなく、インターネットメディアやSNSを通して情報を入手することができます。毎朝、時計代わりにニュース番組を流している人も多いでしょう。また、通学・通勤時間を利用してネットニュースをチェックし、SNSから日々の情報を入手している人がほとんどです。
それらはほぼ習慣化しているので、無意識のうちにニュースを見聞きしていることになります。
外部の出来事は自分の力で変えられないことを認識しよう
自分自身では意識していなくても、ニュースをきっかけに過去の悲しい出来事を思い出してしまったり、自分ごとのように感じてしまったりすることがあります。ニュースを見聞きしなければ起きなかった感情に対して、振り回されていませんか?
また、一つのニュースに対してより理解しようとして、リンクをクリックしたり、関連ワードを検索したりして本来すべきことをせずにあっという間に時間が過ぎてしまうなんてこともあるのではないでしょうか。
スマートフォンの普及やネットワーク環境が整ったことで、私たちはいつでもどこにいても世界中のニュースや情報を手に入れられるようになりました。ところが、いつも見聞きしているほとんどのニュースは、ハッピーで前向きなことよりもネガティブで未来への不安を煽るようなことばかりです
人は生存本能のために、ネガティブな情報をいち早く仕入れようとします。それで自らの身を危機から救おうとするのです。
しかし、そのニュースは本当に私たちが感じる危機から救ってくれる情報なのでしょうか?感情を抜きに考えると、流れてくるニュースのほとんどは実際に私たちの身に降りかかっているわけではありません。自分以外の誰かの身に起きたことに対して、不安に感じたり、悲しくなったりしているだけなのです。
その多くの出来事は、自分の力で変えることはできません。そして、自分の力ではどうにもできないことに対して、私たちは多くの時間を費やしていることに気づかなければなりません。
「ニュースダイエット」で心の平安と余裕を取り戻そう
スマートフォンをはじめ、デジタルデバイスの普及によって及ぼされる影響を訴える人は多く、最近ではそういったデジタル機器から距離を置く「デジタルデトックス」という言葉も聞かれるようになりました。
仕事に活かすためのアウトプットのために、多くのインプットが必要という人もいるでしょう。先述した通り、インプットする情報もなんでもかんでも仕入れるのではなく、自分にとって必要なことかどうかを見極める力が必要です。
では、どのようにしてその見極める力をつけたらよいでしょうか。
ニュースによって引き起こされる心の落ち着かなさや不安感を感じること、ニュースで報じられていることが自分にとってどれだけ無関係であるかなど、ニュースの消費がもたらすさまざまな問題を取り上げた書籍が今回ご紹介する「ニュースダイエット」です。
「ニュースダイエット」とは?
ロルフ・ドベリ (著), 安原実津 (翻訳)
サンマーク出版
価格:1,870円(税込)
News Diet(ニュースダイエット)/
ロルフ・ドベリ (著)、安原実津 (翻訳)
著者のロルフ・ドベリ氏は、あらゆるニュースを見聞きしない「ニュース断ち」を推奨しています。その理由として、ニュースは知識をつけてくれるという思い込みからニュースに依存し、ニュースを見聞きせずにはいられない「ニュース中毒」に誰もが陥る可能性があることに危惧しているからです。
朝起きてすぐにスマホを立ち上げて、SNSやニュースポータルサイトをチェックするという人は多いと思います。通勤時間だけでなく、信号を待っている間などちょっとした隙間時間に何か新しいニュースはないかと探す癖がついているのです。
脳は刺激の強いニュースほど過度に反応するようになっており、よいことよりも悪いことの方が重要だと感じてしまう性質があります。そして、取得する情報量が多ければ多いほど知識がたくさん増えると勘違いをして、もっとニュースを見たい、知りたいと思うようになります。
隙間時間に数秒、数分だけニュースをチェックしているつもりでも、その時間を合計すると一日に58分から96分消費しているという研究結果が出ています。それはニュースを見聞きしているだけの時間で、更にそのニュースについて考える時間や派生する情報を調べる時間を合わせると一日あたり一時間半をニュースに費やしている計算になります。
私たちは一日の中でやりたいことや成し遂げたいと思っていることがいくつかあります。時間がないと言い訳をして先延ばししているにも関わらず、自分ではコントロールできない事象を報じるニュースに対してはいくらでも時間を費やしているのです。
「ニュースダイエット」は、本当に必要なトピックスを見極める力を身につけて、自由に使える時間を増やそうというのが目的です。
こんな人にこそ「ニュースダイエット」がオススメ!
体重を減らして好きな服を着たいといった身体のダイエットと同じように、「ニュースダイエット」を行なうにも目的が必要ですよね?これから挙げるチェックリストを参考に、あてはまる項目が多い人ほど「ニュースダイエット」をオススメします。
・ヨガや英会話など習い事を始めたいが時間がない。
・料理や家事をする時間がなく、生活が落ち着かない。
・睡眠時間をあと1時間増やしたい。
・長文の文章が読めなくなった、本を読む機会が減った。
・自分と向き合う時間がなく、外の情報で気を逸らせることが多い。
・芸能ニュースやゴシップネタに一喜一憂することがある。
まずは1か月間「ニュースダイエット」を試してみよう
それでは早速「ニュースダイエット」を試してみましょう。ポイントは、まずは1か月間試してみることです。
書籍の中でも「30日過ぎたらまたもとの生活に戻ったっていい。でもそれまではがんばり通そう」と言い聞かせることが大切であると書かれています。
30日という日数が、自分にとってニュースが大事かどうかわかる分岐点になります。30日経ってそれでもニュースを見聞きしたいと思えば、再開してもよいのです。
そのときには始める前よりも知るべき情報を見極める力がつき、ニュースを見聞きする時間も少なくなっているでしょう。
1. 朝のニュースや情報番組を見る代わりにお気に入りの音楽を流す
朝起きたらすぐにテレビのリモコンに手が伸びていませんか?BGMで朝のニュースを流しているのであれば、代わりにお気に入りの音楽を流してみてはいかがですか?
朝の時間帯はただでさえバタバタしがちで。テレビから流れる映像に気が散ってしまい、準備が疎かになってしまうことも。
無音だと気持ちが落ち着かないのであれば、お気に入りの音楽を流してご機嫌な朝の始まりを迎えましょう。
2. 天気予報は天気アプリを活用する
朝のニュースは、天気予報を確認するために見ているという人も多いでしょう。一日の天気を確認するはずが、朝から心痛むニュースが飛び込んできて気持ちが落ち込むきっかけになることもありますよね。
天気予報はスマホの天気アプリを活用します。テレビから流れる天気予報よりも、さらに細かい位置情報で天気をチェックできますし、リアルタイムで天気の移り変わりを確認することができて便利です。
紫外線や花粉、空気の乾燥といった美容や健康に関する情報も知ることができます。
3. スマホからニュースサイトにつながるものを全て排除する
通学通勤の電車の中や信号を待っている間など、ちょっとした隙間時間にスマホを開く癖が付いていませんか?あらゆる情報が入手できるスマホから、ニュースサイトにつながるものは一旦削除することをおすすめします。
ニュースアプリやブラウザのブックマーク、ニュースアカウントのフォローなど、ニュースにつながるきっかけはたくさんあることに気が付きますよね。
いつもの癖でチェックしたくなったら、その行動に気が付いてぐっと我慢することもニュースダイエットの心掛けになります。
4. 知りたい情報は自分で調べずに友人に聞く
身近で起きた災害など緊急のニュース以外は、基本的に自主的に見聞きしないようにするのが「ニュースダイエット」です。
しかし、「ニュースダイエット」を始めたばかりのときは、情報が気になってしまうこともあるでしょう。そんなときは、友人や知人に聞くという方法を取ります。
ニュースに関しての話題は大抵の場合、答えてくれるものです。むしろ、自分が今まで知り得なかった情報までも教えてくれることもあります。
会話のきっかけにもなりますので、知りたい情報は友人や知人に聞くという方法はおすすめです。
「ニュースダイエット」で情報を見極める力を身につけよう!
自分の力で変えられるものと変えられないもの見極める力を身につけることは、心の平安をもたらしてくれます。
悲しい出来事や不安に思うことは、時に自分の身に降りかかる危機から救う場合もあります。しかし、そのほとんどは心が疲弊するだけです。
自分の力ではどうにもならないことに見切りをつけるためにも、「ニュースダイエット」で情報を見極める力を身につけましょう。