敏感で繊細さん「HSP」の特徴とは?気持ちを和らげるためのヨガや呼吸法を紹介!

部屋にある時計の音が気になってしまう、人の顔色や機嫌を過剰に気にしてしまうという人はHSPの性質があるのかもしれません。最近メディアや書籍で話題になっているHSPについて深掘りしながら、その気質をヨガのポーズや呼吸法、瞑想で和らげる方法についてご紹介します。

5人に1人があてはまる性質「HSP」とは?

仕事が終わって家に着くと、一人になった瞬間どっと疲れが出てしまう、ということはありませんか?長い時間同じ空間に人と一緒にいると気疲れする、相手の一挙手一投足が気になってしまう、人だけでなくかすかな音や匂い、光も感じ取ってしまうことも。周りに相談しても、気にしすぎと言われてしまうこの性質のことを「HSP(エイチエスピー)」と呼んでいます。

HSPは、Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の頭文字を取った略称で、アメリカの心理学者エレイン・アーロン博士が提唱した概念です。最近日本でも、HSPをわかりやすく「繊細な人」という表現でメディアでも取り上げられるようになりました。生まれつき感受性が強く敏感な気質を持ったHSPは、5人に1人がこの性質に当てはまると言われています。 

「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本
武田友紀 (著)
飛鳥新社
単行本(ソフトカバー):1,324円(税込)

「気がつきすぎて疲れる」が驚くほどなくなる 「繊細さん」の本/武田友紀 (著)

自分もHSPの性質があるかも?HSPの特徴

自分は人とは感じ方が違うのかも?と思ったり、気にしすぎじゃない?と言われたりすることがある人は、HSPの気質があるかもしれません。

先程ご紹介した本の中で、アーロン博士によるHSP自己テストが紹介されていますので、一部抜粋してご紹介します。参考にしてみてください。

・他人の気分に左右される
・忙しい日々が続くと、ベッドや暗い部屋などプライバシーが得られ、刺激から逃れられる場所にひきこもりたくなる 
・明るい光や、強い匂い、ざらざらした布地、サイレンの音などに圧倒されやすい
・短期間にたくさんのことをしなければならないとき、混乱してしまう
・あまりにもたくさんのことが自分のまわりで起こっていると、不快になり神経が高ぶる

これら挙げたもの以外にも、繊細な人が気づくことはたくさんあります。繊細な人と繊細でない人の違いは、何なのでしょうか?それは、脳の神経システムに違いがあります。繊細な人とそうでない人が同じストレスにさらされたとき、神経の高ぶりや警戒しているときに分泌されるホルモン、コルチゾールが多く分泌されることがわかっています。

人間だけでなく、ネコやイヌ、サルにも刺激に対して敏感に反応する機能があり、その反応のしやすさの比率は全体の15〜20パーセントといわれています。種として生き延びるために刺激に反応する機能が発達し、その中でもより反応しやすい慎重な個体が生まれたのではないかとも考えられています。

繊細な人は、突然物事に反応しやすくなったのではなく、幼い頃からその気質があるといわれています。他の子供よりも敏感で気付きやすいことで、親がその気質に悩んでしまうこともあるようです。以前よりもHSPに関する研究も進み、関連書籍も多く出ていてメディアでも取り上げられています。一読するだけでも気持ちが和らぐこともありますので、是非参考にしてみてください。

ヨガを取り入れて敏感な気持ちを和らげよう

外部からの刺激に敏感なHSPの気質を持つ人におすすめなのがヨガです。ヨガでは、呼吸や体の動きに意識を向けることで、外からの刺激から意識を逸らせます。意識が外側に向いているなと感じたときや心身が疲れてしまったときに短時間でできる方法をご紹介します。

1. 猫のポーズ

呼吸に合わせて、背筋を丸めたり伸ばしたりするポーズです。ヨガのポーズでもウォーミングアップで取り入れられ、背中の力を緩めてリラックスすることができます。寝る前に行なうとリラックスして眠りにつくことができますし、朝の目覚めのあとは睡眠中に凝り固まった背中の緊張をほぐす効果があります。

1. 両手を肩幅に開き、前方に伸ばして床に手をつきます。このとき、指先は前方に向けるようにします。
2. 足は膝で立ち、つま先を立てて腰幅に開きます。
3. この状態で目線を床に向け、息を吐き切ります。
4. 息を吸いながら背骨一つひとつを反らせるようにして頭と尾骨でアーチを作り、目線を斜め上に向けます。
5. 次に息を吐きながら、両手で床を押してお腹をへこませて背中を丸めます。このときに目線はおへそを見るようにします。
6. 4と5のポーズを呼吸に合わせて自分のペースで3〜5回程度繰り返します。

2. ボックス呼吸法

アメリカ海軍特殊部隊のネイビーシールズで取り入れられている呼吸法です。息を吸う・止める・吐くを一定のカウントで繰り返し、四角の形をイメージしながら行なうので、ボックスブリージングと呼ばれています。ヨガでも瞑想に入る前や気持ちが外れてしまわないよう集中するために呼吸法を行ないます。呼吸法のよいところは、思いついたときにいつでもどこでもできることです。緊張しているときや焦っているときこそ、呼吸法を行なう良いタイミングです。 

1. 少し背筋を伸ばして、肩の力を抜いてから、自分のペースで鼻呼吸を数回繰り返します。
2. 鼻から吸うタイミングで4カウントします(下から上)。
3. 次に軽く息を止めて4カウントします(左から右)。
4. 鼻から吐いて4カウントします(上から下)。
5. 軽く息を止めて4カウントします(右から左)。
6. 2〜5を4〜5回繰り返し、吐く息のタイミングのあとに自然な呼吸に戻します。

3. トラータカ(目の浄化法)

目の前にあるボールペンや、窓の外の木など見つめる対象を決めて、じっとその対象を見続けることをトラータカといいます。ヨガではろうそくの灯りを見つめること一般的で、まばたきをせずに対象を見つめることで涙を流す浄化法の一つです。ただじっと対象を見つめることで、外に向いている気持ちをそらせる効果があります。

1. 近くにあるもので見つめる対象を決めます。ろうそくの火や星がおすすめです。対象が見つからない場合は、親指を立てて腕を前に伸ばし、親指の先を見つめます。
2. 見つめる対象が近くにある場合は、1mほど離しておきます。対象の1点を1分ほど、ただ見つめます。
3. 終わったら、両手を目の上に当てて目の筋肉をほぐすようにまばたきを数回繰り返します。

ヨガの効果を取り入れて繊細な自分と上手に付き合おう!

 HSPの気質がある繊細な人は、他の人には気づかない小さなことも目を向けることができます。外部からの刺激に振り回されてしまうこともありますが、その性質があるからこそ気づくこともあります。今回ご紹介したヨガの効果を取り入れることで、繊細な自分と上手に付き合って前向きに楽しく過ごしていきましょう。

フリープランナー兼エディター。
2020年3月にインド政府公認校認定ヨガ指導者養成講座ヨガ哲学コース修了。ヨガ哲学に魅せられて、日々カルマヨガに専念しています。
「ヨーガ・スートラ」や「バガヴァッド・ギーター」を参考に、哲学や瞑想の視点から毎日の生活が楽しくなるヒントを伝えていきます。
マイブームはスパイスカレー作りとジャパ瞑想。
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