エシカルコーヒーとは
エシカルとは
最近よく耳にする「エシカル」という言葉。エシカルは直訳すると「倫理的な」「道徳的な」という意味になります。
この言葉の意味をさらに紐解くと、「社会・地球環境に配慮した考え方や行動」を意味します。近年、気候変動に伴う温暖化、資源不足や食糧危機、グローバル格差が広がり問題視され始め、一般的に使用されるようになりました。
「エシカル」と聞くと、なんだか難しいように感じるかもしれませんが、実はとってもシンプル。エシカルという言葉が広がる前から日本でも、「もったいない」「お互いさま」といった言葉がつかわれていたことを考えると、エシカルな行動を取るのは、そんなに難しいことではないはずです。
私たち一人一人が少しでも意識することで、今の世界を、人や自然にやさしい世界へと大きく変えていくことができるのです。
エシカル消費
人や環境にやさしい行動はたくさんありますが、まずは身近なことから始めるのがおすすめです。その1つが、エシカル消費。
一人当たりの「コーヒー国別消費量」によると、日本は第4位にランクインするほどのコーヒー大国です。朝起きて必ずコーヒーを飲んだり、仕事の息抜きにコーヒーを飲んだりする方も多いはず。
コーヒー大国に暮らす私たちが意識して、生産者を搾取しないブランドからコーヒーを買ったり、環境負荷の低いコーヒーを買ったりことで、世界で起こる問題の解決に貢献することができるのです。
コーヒーから考える「エシカル」
そんなエシカルの名がついた「エシカルコーヒー」。エシカルコーヒーとは、論理的に正しく取引されたコーヒー豆を買いつけることを意味します。
一般的に、コーヒー豆は途上国で生産されることが多く、コーヒー豆を買い付けるブランドのなかには、コーヒー豆農家に十分なお金を払わずに、コーヒー豆を安く買うブランドがあります。国のヒエラルキー(階級構造)が、コーヒー業界にも顕著にあらわれているのです。
また、コーヒー豆を精製する過程で出るカスが大量に廃棄され、環境問題になるという問題も抱えています。
エシカル消費を生活に取り組むためにも、身近なコーヒーから取り組んでみるのはいかがでしょうか。
エシカルなコーヒー豆を選ぶ、意外なメリット
エシカルなコーヒー豆を選ぶことで、地球環境への負荷を抑えるのに加え、やさしく公正な労働環境を促すことができます。
また、品質の高いおいしいコーヒーを飲めるようになるという、飲む人へのメリットもあります。ブランド側がコーヒー豆農家に、公正な賃金を支払うことで、農家はそのお金をコーヒー豆の品質向上に回すことができるようになるのです。
環境問題・社会問題にも配慮し、そのうえ品質の高いおいしいコーヒーを飲めるのはうれしいですよね!
エシカルコーヒーについている認証ラベル・マーク
エシカルコーヒーを購入するときに覚えておきたいのが、認証ラベル・マーク。これを覚えておくことで、環境や社会に配慮した暮らしを積極的に実践できるようになるでしょう。毎日のお買い物で、エシカル認証マークを探してみることから始めるのをおすすめします。
国際フェアトレード認証
出典:fairtrade-jp
「国際フェアトレード認証」がついている製品は、フェアトレードされたものであることを示しています。
この認証は、コーヒーはもちろん、私たちがよく買うチョコレートや紅茶、ワインや洋服などの製品につけられることが多いです。見たことがある方も多いのではないでしょうか。
先進国が途上国に工場をつくったり、途上国の人々の安い労働力を搾取することが問題視されていて、解決策として注目されているのがフェアトレードなのです。
国際フェアトレード認証を取得するまでには、原料の調達から製造工場までくまなくチェックされます。認定された団体は定期的に監査を受ける必要があるため、認証マークの信頼性が高いことで知られています。
レインフォレスト・アライアンス認証
「レインフォレスト・アライアンス認証」がついた製品は、自然資源や環境保護、社会、経済の基準を満たした農園に与えられる認証です。
環境に配慮した農業をおこなう農園に与えられる認証で、より持続的な世界を目指すためのものです。
また、労働者が安全な環境で働いていること、公平な賃金をもらっていること、児童労働や強制労働をしていないことを証明する認証でもあります。
カエルなのには理由があって、環境に配慮した場所ではたくさんのカエルが生息することを示しているのだそう。
FSC認証®
出典:jp.fsc.org
「FSC認証」は、森林管理における環境・社会・経済的影響を考慮したプロダクトにつけられる認証です。
コーヒーをいれるペーパーカップは、木材からできています。世界各地で森林の破壊が深刻な問題となっていて、森林破壊が進むと、動物たちの住処が失われてしまうのに加え、地球温暖化も悪化します。
そのため、木が絶えることがないように計画的に木を切って、植えることで森林を守っていこうとする「FSC認証」を取得するコーヒーショップが増えているのです。
FSC認証が与えられたプロダクトは、10の厳しい条件に基づいて定められているため、信頼度が高く、国際的にも知られています。
有機JASマーク
出典:maff.go.jp
「有機JASマーク」は、農薬や化学肥料などの「化学物質」に頼らずに、自然の力で生産された食品に与えられるマークです。
しばし農産物や加工食品、飼料および畜産物につけられていて、国産品も輸入品もすべてを対象としています。
このマークなしで「オーガニック」や「有機」の表示をすることは禁止されています。厳しい基準を合格したプロダクトのみが取得できる認証なので、このマークがついている製品は安心して使用できますね。
ちなみに、マークのデザインは太陽・雲・植物をイメージしているのだとか。
【国内】エシカルコーヒー豆
COFFEE COUNTRY(コーヒーカウンティ)
出典:coffeecounty
福岡県久留米市のコーヒーショップ「COFFEE COUNTY(コーヒーカウンティ)」。中米の生産農家のコーヒーを主に取り扱っています。
コーヒーカウンティの魅力は、「個性」のあるコーヒー豆を提供しているところ。ここでいう個性とは、生産者の個性が出ているコーヒー豆を指します。お店で提供するコーヒー豆はブレンドではなく、シングルのみ。同じ国の同一な品種であったとしても生産者が違えば、混ぜないようにしているのだとか。これがコーヒーカウンティが考える「個性」なのです。
「出来る限り産地に赴き、直接買い付けしてきた豆を提供していきたい」と話す代表の森さん。そのような姿勢が人気を呼び、コーヒーカウンティは多くのファンを増やしていきました。
コーヒーカウンティのコーヒー豆は、店舗またはウェブサイトで購入可能です。ウェブに並ぶ各商品をクリックすると「誰がつくったのか」「コーヒー農家さんの物語」「農園にまつわるお話」といった情報を得ることができます。
- エシカル:ダイレクトトレード
- ロケーション:日本 福岡
- 購入場所:店舗またはオンライン
カリオモンズコーヒー
「カリオモンズコーヒー」では、産地のコーヒー農園から直接買い付けたコーヒー豆を提供しています。
「ダイレクトトレード」をおこなうことで、味や品質、豆の育った背景、生産者がどのような信念でコーヒーと向かい合っているかを知ることができます。こだわりや想いが詰まったコーヒーって素敵ですよね。コーヒー豆ができあがった背景を知ることで、よりおいしく感じるのではないでしょうか。
ウェブサイトには、ダイレクトトレード先の生産者さんとの、出会いに関するエピソードや、人柄について書かれています。ブランドと生産者さんとの間に築かれた、良好な関係をうかがうことができます。
- エシカル:ダイレクトトレード
- ロケーション:日本 長崎
- 購入場所:店舗またはオンライン
店舗では、コーヒーにまつわるイベントも開催しています。気になる方は、ウェブサイトをチェックしてみてくださいね!
Galitebe Coffee(ガルテンビコーヒー)
「Galitebe Coffee(ガルテンビコーヒー)は、エチオピア現地の農家さんに直接会って、そこからクオリティの高いコーヒー豆をつくっているコーヒーブランドです。
ブランドで販売するコーヒー豆は、人柄や職場の雰囲気を重視して選んだ農家さんがつくっています。農家さんが納得できる価格でダイレクトトレードをおこなっています。
田代珈琲
田代珈琲は、「持続可能性」を経営理念に掲げ、環境や人権に配慮したコーヒー豆を提供しています。
海外の生産地に足を運び、気候条件・土壌の質・コーヒーの苗木育成を含むあらゆるプロセスにこだわり、話し合いを重ねながらコーヒー前を調達しています。
品質と生産者の賃金を公正に、コーヒー豆の価格に反映させているのもポイント。
オンラインでは、売られているコーヒー豆のページに、それぞれの農園オーナーのメッセージや農園の歴史などが記載されています。生産者の顔がみえるコーヒー豆は、味だけではなく「経験」としても楽しむことができるのではないでしょうか。
- エシカル:ダイレクトトレード
- ロケーション:日本 大阪
- 購入場所:直営ショップまたはオンライン
海ノ向こうコーヒー
「海ノ向こうコーヒー」は、アジアのコーヒーを中心に販売するコーヒーブランドです。フィリピンやミャンマー、タイを含む7カ国で取れたコーヒー豆を取り扱っています。
同ブランドも、環境や社会に配慮したコーヒー豆を展開しています。例えば、農薬や化学肥料に頼らずにコーヒー豆を栽培していたり、コーヒー豆の精製過程で出る廃水を浄化するシステムを導入したりしながら環境面に配慮しています。
社会面では、農家さんと長期契約を結ぶのではなく、その都度、価格を提示するようにしています。農家さんがコーヒーを売るかどうかを選ぶ側になってもらうことで、農家さんとの信頼関係を築くことを目指しているのです。
ホームページでは、各産地のストーリーを読むことができます。どんな場所でどんな人たちがコーヒーをつくっているのかを知ることで、よりコーヒーを楽しむことができるのでしょう。
- エシカル:環境や社会への配慮
- ロケーション:雲南・タイ・イエメン・ラオス・ミャンマー・バリ
- 購入場所:店舗またはオンライン
【海外】エシカルコーヒー豆
Wonderstate Coffee(ワンダーステートコーヒー)
出典:wonderstate
「Wonderstate Coffee(ワンダーステートコーヒー)」は、ダイレクトトレード&オーガニックコーヒー豆のブランド。環境と人権に配慮した「ソーシャルグッド」なコーヒーブランドです。
環境への負荷を最小限に抑えるために、ソーラー焙煎(太陽光発電による電気で、コーヒーを焙煎すること)を取り入れているのだそう。
また、公正な価格をコーヒー豆に設定するために、生産者の元を毎年訪問してコミュニケーションを取ることを大切にしています。
仲介業者を介さずに、直接生産者から買い付けをする「ダイレクトトレード」をおこなえるのも、ブランドが生産者との親密な関係を築いているから。ダイレクトトレードなので、コーヒー豆のクオリティも期待できます!
- エシカル:ダイレクトトレード・オーガニック
- ロケーション:ウィスコンシン州 ミルウォーキー
- 購入場所:オンライン
Cafédirect(カフェダイレクト)
「Cafédirect(カフェダイレクト)」は、30以上のGreat Taste Awards(グレートテイストアワード)を受賞しており、高品質のコーヒーとして、イギリスでは知らない人がいないと言っても過言ではないほど有名!
世界各地のコーヒー・紅茶・カカオ農家とダイレクトトレードしており、人々と地球に優しいブランドとして評価され、フェアトレードの認証とゴールド・スタンダードの認証を取得しています。
また、利益の3分の1を、生産者やコミュニティに再投資するように取り組んでいるのもポイント。
- エシカル:フェアトレード
- ロケーション:イギリス ロンドン
- 購入場所:オンライン
よく飲むコーヒーから、エシカル消費を!
近年、気候変動に伴う温暖化、資源不足や食糧危機、グローバル格差が広がり問題視され始め、一般的に「エシカル」という言葉が使用されるようになりました。
「エシカル」と聞くと、なんだか難しいように感じるかもしれませんが、実はとってもシンプル。環境や社会に配慮した考え方や行動を指します。
人や環境にやさしい行動はたくさんありますが、まずは身近なことから始めるのがおすすめです。その1つが、コーヒーのエシカル消費になるのではないでしょうか。
一人当たりの「コーヒー国別消費量」をみると、日本は第4位にランクインするほどのコーヒー大国です。コーヒー大国に暮らす私たちが意識して、生産者を搾取しないブランドからコーヒーを買ったり、環境負荷の低いコーヒーを買ったりことで、世界で起こる問題の解決に貢献することができます。
サステナブル(持続可能)な社会の実現に向けて、行動を起こしたいと考えている方は、ぜひ環境や社会に配慮したコーヒーを選んでみてくださいね!