もくじ
緊張するのはなぜ?
人前に出て話すときや大事なテストのシーンで、緊張したことがない人はいないと思います。あがり症でない人でさえも、胸が少しざわつく感覚を味わったことがあると思います。大切なシーンで緊張せずに、実力を出し切りたいと思う人は多いのではないでしょうか。
そもそも、人はなぜ緊張するのでしょうか。そして、どういったシーンで緊張するのでしょうか。
【仕事】
- 会議
- 上司への報告
- プレゼンテーション
- 新年会・忘年会でのスピーチ
- 新しい職場での仕事
【プライベート】
- 初対面の相手と話す
- 結婚式のスピーチ
- 電話で人と話す
- 資格取得
項目を見ていくと、人前で話す機会や能力を判断されるシーンで人は緊張を感じやすいのがわかります。
緊張のメカニズム
緊張は、血液中のノルアドレナリン値が上昇して起こります。ノルアドレナリンは覚醒や興奮に関係している神経伝達物質で、緊張や不安を感じるときに分泌されます。
このノルアドレナリンが大量に分泌されることで、動悸や血圧上昇、発汗、震えなどの症状が体に現れ始めます。これが緊張しているときの体の状態です。
緊張した状態からリラックスするためには、緊張を自分の手でコントロールすることが大切です。
緊張をほぐすためにできる10のコツ
プレゼンテーションや会議で緊張するのは、誰もが味わう経験だと思います。できれば緊張を伴うシーンを避けたいところですが、社会に所属する限り、そう簡単にはいきません。
私たちができることといえば、緊張をコントロールすること。緊張をコントロールする方法を見ていきましょう。
1. 他者のやり方を観察する
緊張をしないためには、まずは自信を持つことが大切です。
プレゼンテーションで自信を持つには、他の人のプレゼンテーションをよく聞いてメモを取ることです。 話者がボディランゲージで何を伝えようとしているのか、どのくらいの時間を使って話しているのか、アイコンタクトはとっているかなどに注目をしてメモをとるようにしましょう。
これらの詳細をメモしておくと、自分のプレゼンテーション中にどうすべきなのかが見えてきます。人前で上がらずにうまく話せるようになるには、「いいな」と思った人のやり方を見て、そして真似をして、自信をつけることが重要です。
注意しなくてはならないのは、本番直前に他者からインスピレーションを受けること。アイデアを受けること自体は良いのですが、比べてしまい自信喪失してしまってはいけません。
自信のつけ方は人それぞれで、ご紹介したのが唯一の方法ではないというのを覚えておきましょう。繰り返し練習をしたり、苦手な部分を克服したりするなどして自信をつけていきましょう。
2. 緊張を受け止める
緊張している自分を認めてあげることが大事です。「緊張してはダメだ」と考えると、余計緊張してしまうのが人間です。「自分は緊張している。それでいい」というように、緊張を認めてあげることで、心を落ち着かせられます。
また緊張を押し殺そうとしてしまうと、行動の道筋が見えません。自分の緊張を認めてあげることで、自分がどうやって緊張をコントロールできるのかを知ることができます。
自分の感情を我慢することは、自分の心を無視することでもあります。自分の気持ちを無視することで、意識は外に向くようになります。意識が外に向くことで、他者中心の考え方になってしまい「あの人は私をどう思うだろう」「失敗して笑われたらどうしよう」というように考えてしまい、余計に緊張します。
自分が抱えている気持ちをできるだけ受け入れてあげることで緊張をほぐしていきましょう。
3. カフェインを減らす
緊張を避けるために、プレゼンテーションやテストの前にはカフェインを取らないようにしましょう。
カフェインを摂取することにより、脳が覚醒、心拍数の増加、汗腺が過活動状態になります。これによって、たとえ緊張していなくても手が震えることさえあります。
緊張をしない人は、カフェインを取ることで集中力を高めることができるのは事実です。しかし緊張しやすい人は、できるだけプレゼンテーションや大事なテストの前はカフェインを避けるようにしましょう。
4. 緊張を「力」に変える
適度な緊張は、力に変えることができます。緊張状態になると、筋肉機能が向上し、パフォーマンスが向上することがわかっています。
緊張を力に変えるには、やはり自信を持つことが大切です。練習を繰り返したり、失敗を怖がらずに「失敗から学ぶ」という意識を持つことで、緊張を力に変えることができます。人前で話す機会があるのなら、筋肉機能を使っていつもより大きな声で話すことで、脳がリラックスした状態になることが期待できます。
また、睡眠や食事などをしっかりとって、体と心の健康を維持することも大切です。緊張を自分自身でコントロールするためには、健康な身体が大事な鍵になります。
5. シミュレーションする
人は緊張しているときには大抵、将来に起こることを考えて不安になっている場合が多いです。事前にシュミレーションをしながら起こり得ることを想定しておくことで、先に起こることを心配する必要がなくなります。
プレゼンテーションや会議をする場所、受験会場などを下見しておき、頭の中で起こり得ることを想像するのをおすすめします。そうすることで、本番も自分の話している内容のほうに集中できます。内容を感じることができて、周りの視線を忘れられるでしょう。
内容に集中するには、シュミレーションも大切ですが、内容をしっかりと理解しておくことも大切です。内容を理解していないと、意識があちこちへと飛んでしまうことが考えられます。
とくに緊張は気持ちのウエイトを大きく占めやすいので、緊張するとエネルギーが緊張のほうにシフトしやすいです。内容をしっかりと把握して、意識があちこちに飛ばないように気をつけましょう。
6. 他者を意識しない
緊張は自意識によって生まれます。自意識とは、「自分はどう思われているだろうか」「笑われたらどうしよう」などといった自分に対する意識を指します。
適度な自意識は、自分自身を客観的に見つめることができ、自分を大切にして生きることができます。しかし過度の自意識は、あなたの心と身体を緊張させます。筋肉をこわばらせ、意識を混乱させるのです。
過度な自意識を防ぐためには、自分をよく見せようとしないことです。
- 練習してきた分の力を見せられれば十分!
- 人は他人のことにそれほど関心がない
- 完璧な人はいない!0か100ではなく、60%出せればそれで良い
- 与えられた役をこなすだけだ
というように、自分に声をかけてあげることで、力が抜けて気持ちが楽になるでしょう。自意識を単に否定するのではなく、上手に味方につけて緊張をほぐしましょう!
7. 関係ないことを考える
プレゼンテーションや会議の前に、「自分はどう思われるだろうか」「失敗したらどうしよう」といった、緊張を生み出してしまうようなことを考えるときがあると思います。
そういうときは何も考えないことが1番です。メディテーションと深呼吸をして、動悸を落ち着かせることが重要です。
とはいえ、何も考えないことって難しいですよね。そんなときは、全く関係ないことを考えましょう。プレゼンテーションには何人が参加しているのか、今日の夜ご飯はなんだろう、あの人の洋服が素敵!など、別のことを考える意識をすることで、緊張を生み出している思考をシャットアウトすることができます。
8. 緊張をとくストレッチをする
緊張すると、特に関節周りがこわばります。スピーチの前などに「緊張する部分」をほぐしてあげることで、緊張を和らげることができます。
①ひざの周りをたたく
両手を軽く握り、片足を少し上げます。ひざの周りを15回ほど優しくたたきます。
②足首を回す
手の指を足の指の奥まで押し込みます。大きく円を描くように、右に5回左に5回ずつ回します。
③肩甲骨周りをほぐす
肘をうしろに引きます。手のひらを上にして5回引きます。そのあと手の甲を上にして5回引きます。
④ジャンプする
身体の重心を下げることで、心は落ち着きます。テストやプレゼンテーションの前に数回ジャンプをするだけで重心は下がり、リラックスして本番をむかえることができます。
9. 聴衆を味方につける
スピーチを聴く相手を味方につけましょう。聴衆とコミュニケーションを取ったり、知人を呼ぶ、ポジティブな人に向かって話すなどして自分の味方を増やします。
こうすることで、会場が温かい雰囲気に包まれるだけでなく、話す方もリラックスした状態で進められます。
よく聞くのが、「聴衆をジャガイモだと思いなさい!」という言葉。一時的であれば緊張を消す効果を発揮する可能性があります。しかし、同時にプレゼンテーションへの熱が冷めきってしまい、緊張をいい方向へと変えることができなくなることが考えられます。
プレゼンテーションをおこなう前には、できる限り聴衆との仲を深めておきましょう。そうすることで、和やかな雰囲気で挑むことができます。
10. できることに集中する
競争心を持つことで、相手の言動がより気になるようになります。相手が気になるようになると、より意識が外に向くようになり緊張します。
相手のほうが自分より優れていると認識した場合、ネガティブな気持ちが増えます。一方で、自分のほうが相手より優れていると認識する場合も、傲慢な態度をとって争いのもとになるかもしれません。
競争心から生まれた感情をポジティブに捉えて、相手を素直に評価できることもあります。自分を成長させる原動力になることも考えられます。
しかし、緊張している場ではネガティブな感情が優先されやすいです。緊張の場では、競争心を抱いて相手との違いにフォーカスするよりも、できる限り自分ができることに集中することで、瞬時に落ち着きを取り戻すことができます。
緊張は悪いことではない!
緊張は悪いことのように思われがちですが、何か良いことのサインであるとも認識できます。自分の快適な空間・場所(コンフォートゾーン)にいる人は、あまり緊張することがありません。常に快適に感じていると思います。
しかし、緊張を経験している人は、自分の実力より少し上のこと、もしくはかなり上のことに挑戦している可能性が高いです。そういった人は、キャリアなどを前進させていると自信をもってください。
いつの日か、今あなたを緊張させている状況があなたの成長の軸となり、そこから新しいアイデアを生んだり挑戦する機会をつくり出すときが来るでしょう。
緊張を和らげるコツを掴んで、実力を発揮しよう!
いかがでしたでしょうか。今回は、緊張をコントロールする10のコツをご紹介しました。
筆者が緊張するシーンは、ダンスを人前で踊るときです。何度とやっているはずなのに、動悸を感じ、足が震え、表情がこわばることさえあります。
そのことを先生に伝えると、先生は「人前で踊るときに緊張するのは当たり前。100%出せることは滅多にない。100%出すことにこだわるのではなく、70%だったとしても観客に素晴らしいと思ってもらえる踊りを見せられるように意識することが大切」と話してくださいました。
完璧な人などいません。完璧を目指すのではなく、目標の視点を少しずらして努力し続けることで、緊張が和らいでいくのではないでしょうか。
緊張をコントロールする方法を身につけて、上手に緊張と向き合っていきましょうね!