広い層を悩ませる冷え性
近年、冷え性に悩まされる人は増えています。冷え性に悩む人は、女性でも半数いると考えられています。
冷え性は女性特有の悩みのような気もしますが、最近では、男性や子どもにまでその層は広がっています。「冷え性は女性のもの」という固定観念に縛られるのではなく、男性も冷え性の対策を講じる必要があります。
そもそも冷え性とは、手足や腰など、体の部分が冷たく感じられる状態が約6ヶ月感じられることを指します。西洋医学には「冷え性」という病名はないものの、東洋医学では、さまざまな病気は「冷え」からくると考えられています。冷えは不調の信号(シグナル)でもあるのです。
そのため、「体質だから...」と言って、冷え性をそのまま放置しておくわけにはいきません。冷え性はさまざまな病気を引き起こす引き金であり、多くの危険性をはらんでいます。
冷え性の怖さ
腰痛・肩こり・頭痛になる
冷え性が理由で腰が冷えると、腰痛、肩こり、頭痛になることがあります。
腰が冷えて静静脈が滞ると、その部分の筋肉が硬くなります。そして骨盤にゆがみが生じ、腰痛へとつながります。
腰は体の要(かなめ)と言われているのはご存知でしょうか。その骨盤に、冷えが原因でゆがみが生じることで、背骨全体に影響し、肩こり、首のこり、頭痛へとつながるのです。
おりものの量が増える
冷え性は、婦人科機能を低下させます。低下すると、細菌性の膣炎を起こしやすくなり、おりものの量が増えるのです。腰回りの冷えが原因の「骨盤内の静静脈の滞り」によって、おりものの量が増えることもあります。
また、冷えは血行を悪くして、生理痛を促進させます。
食事と運動で骨盤内の静静脈の滞りを改善させ、婦人科機能・冷えを改善させることができます。
性生活にも影響
冷え性が原因で、性交痛を起こすことがあります。これも骨盤内の静静脈の滞りにより、女性ホルモンの分泌がうまくおこなわれず、膣が潤わないために起こります。
むくみやすくなる
冷え性に悩む人で「顔がむくむ」「手足がむくむ」という問題を抱えている人は多いです。これは、水分を汗や尿で排泄できず、体に溜まった余分な水分がむくみと同時に冷えを招いている証拠です。
余分な水分を体の外に出すには、内臓機能を高めて排泄を活発化させることです。運動によって体を温めて、水分の代謝を高めるようにしましょう。
肌が荒れやすくなる
肌荒れが起こるのは、血液循環が悪く、排泄機能が低下するためです。毛細血管の流れが悪くなることで、栄養が肌の表面まで行き届かなくなります。不必要なものが皮膚に行き渡ってしまい、乾燥、赤み、ひびなどの肌荒れを起こすのです。
冷え性チェックリスト
冷え性の状態が続くと、冷え性であることに気づかないことがあります。冷え性チェックリストをおこなって、冷え性なのかを認識するきっかけにしてください。
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思い当たる症状が3つ以上ある方は、冷え性の可能性が高いです。
冷え性には、末端冷え症・下半身が冷えるタイプ・内臓が冷えるタイプ・全身が冷えるタイプがあります。自分のタイプを知って、冷え性改善に必要な対策をとるようにしましょう。
冷え性を改善しよう!日常の工夫
歩くことでうっ血を防止!
足は「第2の心臓」と言われています。現代では、足を動かす機会が減っています。足の冷えの原因も、こうした運動不足によるものであることが多いのです。
足の裏のツボや足の筋肉が歩いて刺激されることで、毛細血管の血液の循環が活発になり、うっ血解消や冷え性を緩和できます。
また、歩くことは自転車に乗るよりも2倍以上の運動量があるのでダイエットにもおすすめです。普段の移動を徒歩に変えるだけで、全身の筋肉をまんべんなく動かすことができて、いつもより多くのカロリーを消費してくれます。
無理なく下半身を動かすことができる徒歩を、習慣に入れてみてはいかがでしょうか。
足を組まない
イスに座るときは足を組まないよう意識しましょう。下にくる足に体重が乗りすぎて、血行が悪くなります。足を組むのが癖の人は、なるべく足を組み替えるよう意識しましょう。
同じ姿勢を長い時間続けないのも、足を冷やさないポイントです。お尻の血行が悪くなり、足が冷える原因になります。デスクワークをする人は、1時間ごとに軽いストレッチなどをして、体を動かすようにしましょう。
冷えを防ぐファッション
体が冷えるのを防ぐ服装を選ぶようにしましょう。
首、お腹、足首、足先を衣服で温めることで、冷えを改善できます。タートルネック、手袋、腹巻きはこれらの部分を温めるのに優れています。
保温性・吸湿性のある素材を選ぶのもコツです。コットンとレーヨンは保温性・吸湿性のある素材として人気があります。
体を締め付けるタイプの服もなるべく避けるようにしましょう。血行が悪くなり、体の冷えにつながります。
冷え性の人は、お風呂を済ませベッドで眠りにつくときでさえ手足が冷えています。この冷えが原因で、不眠症を悪化させる人も少なくありません。冷えが原因でなかなか眠りにつけなかったり、手足の冷えや尿意で何度も目を覚ましてしまう人は、眠るときに靴下を履くのをおすすめします。
足枕で冷えを防ぐ
足は常に体の1番下にくるため、老廃物や水分が溜まりやすいです。
足用枕(フットピロー)を置いて寝ることで、足が高く上がり、滞りがちな静脈血が心臓に戻ります。血行が良くなるため、足の冷えを防止することができます。
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タオルをいくつか重ねて高さを作っておこなうのでもOK!
お風呂に入る
冷え性にはお風呂であると聞いたことがある人は多いと思います。入浴には温熱効果があります。お湯で体が温められることで、血液とリンパの液の循環が良くなります。
また、リンパ管と血管が広がったり縮んだりを繰り返すことで、疲労とむくみが解消されます。忘れてはいけないのがお風呂から上がる直前に、冷たいシャワーを足元にあてること。こうすることでお風呂上がりの湯冷めを防ぎます。
お風呂はできるだけじっくりと浸かることが大切です。じっくりと浸かることで体の中が温められるためです。温度は38〜40度くらいがベスト。ゆっくりと浸かって冷えを撃退しましょう。
温かい朝食をとる
朝食はその日の熱を生産するエネルギー源となるため、温かくて消化しやすいものを食べるようにしましょう。朝に冷たいものを摂取し続けると、冷えを溜めこむ体質になってしまいます。体が温かくなる食事を摂って、体の内側から冷えを追い出しましょう。
【冷えを退治する朝の朝食】
- お味噌汁
- スープ
- 温かいお茶
- 雑炊
- おかゆ
- お豆腐の料理
無理なダイエットはしない
若い女性の間で冷え性が多い理由として、極端なダイエットによる体の弱体化があげられます。
極端な食事制限などのダイエットをすることで、体の中で体温をつくることができなくなってしまいます。体内のカロリーや栄養が低下することで、低血圧や貧血を引き起こし、体温調節がうまくできなくなるのです。
冷え性にならないように、体の虚弱化につながるようなダイエットはしないようにしましょう。
冷え性の改善におすすめ!ストレッチ&ヨガポーズ
冷え性改善のためには、下半身の下半身の大きな筋肉に包まれている動脈を刺激することが重要です。「第2の心臓」を鍛えることで、血流を良くして冷えを改善しましょう!
片足つま先立ち
【手順】
- 真っ直ぐに立つ
- ひざをぴったりつける
- 呼吸をしながら片足のつま先で立つ(10秒)
足の指ストレッチ
【手順】
- 両足を伸ばし座る
- 手は体の後ろに置く
- 指先をできる限り広げる(5回繰り返す)
スクワットストレッチ
【手順】
- 真っ直ぐ立つ
- 右足を後ろに持ち上げ、手で足をつかむ
- 大腿四頭筋のストレッチを感じながら、かかとをお尻に向かってそっと引く
- もう片方の足の膝を、曲げている足に近づけるのを意識する(15〜30秒間姿勢を保つ)
ヒップ&バックストレッチ
【手順】
- 足を真っ直ぐに前に向けて座る
- 右足を持ち上げ、左足に交差させる。左足はまっすぐにする
- 右足を胸に引き、体幹をひねって右肩を見る(15〜30秒間姿勢を保つ)
椅子のポーズ
【手順】
- あごを引いて肩の力を抜き、脚の裏全体でバランスをとりながら立つ
- 両もものつけ根を後ろに引きながらひざを曲げる
- さらに腰をおろしながら、両手を頭上に上げて背中をまっすぐにする
- 尾骨を下ろし、下腹部を引き締める
三日月のポーズ
【手順】
- 両手と両ひざを床につける
- 手は肩の下に置き、ひざは骨盤の下に置く
- 右足を大きく前に踏み出し、かかとをひざの真下に置く
- 上体を起こし、両腕を上に伸ばしながら胸を開く
- 尾骨を下ろして下腹部に力を入れる
半分の猿神のポーズ
【手順】
- 四つん這いになる
- 右足を両手首の真ん中に置く
- 手はカップハンズにする
- 右足のつま先は天井
- お尻をゆっくり後ろに引く
- 上体を前に倒す
体側を伸ばすポーズ
【手順】
- 両手と両足を横に大きく広げ、右足は外側へ開く
- 右ひざを曲げる
- 右足の外側に右手を置いて、上体を倒す
- 左手を遠くに伸ばしながら左の足裏で床を踏みしめて、体側を伸ばす
上向きの弓のポーズ
老廃物排出を助けるポーズです。自律神経のバランスを整えることができます。
【手順】
- 両足を腰幅に開き、ひざを立ててあお向けになる
- 両腕を体の横に置く
- 息を吸いながら、頭頂を床につけて腰を持ち上げる
- 両手を耳の横につき、ひじを後方へ向ける
- 手のひらをしっかりと押しながら胸を前に出して、頭頂部を床につける
- 息を吐きながら、両足で床を踏みしめて、頭を持ち上げて腕と足を伸ばす
ストレッチ・ヨガを習慣にして、冷え性を改善しよう!
若い女性だけではなく、幅広い年齢層の女性・男性・子どもにまで広がる冷え性。10代のダイエット、偏った食生活、不規則な生活習慣などが問題となっている現代では、冷え性を訴える人が増加しています。
冷え性は、体の不調のシグナルです。「冷え性は体質だからどうすることもできない」と言って放置するのでは、不眠症・ホルモンバランスの不調和による婦人科系疾患・生活習慣病などの大きな病気につながってしまいます。
そのまま放置するのではなくて、日常生活のなかで冷え性を改善させる工夫をしてあげてくださいね!
【今回、撮影に協力してくれたのは...】
MEIさん
今回フォトグラファーとして、ストレッチ写真の撮影に協力してくださいましたMEIさんです。上智大学英語学科で学ぶMEIさんは、人と自然の関わり合いに興味があり、自らの周りで起こっている出来事を写真で表現しています。撮影にご協力いただきありがとうございました。