もくじ
その肌、お手入れをしすぎていませんか?
季節が変わるたびに、デパートの化粧品コーナーでは次々と新商品が発売されます。インターネットでもコスメの口コミで溢れて、いろいろ試してみたくなるものです。ホルモンバランスや食生活、ストレスによっても日々変化する肌の状態。内側からのケアはもちろんですが、まずは目に付く外側の状態を一刻も早く改善したいと思うのが人の心理ですよね。
皮脂の過剰な分泌で肌がテカってしまったり、逆に乾燥しすぎてカサカサしてしまったり、吹き出物ができてしまった日には外出するのも嫌になってしまいます。その都度、化粧品や乳液などの基礎化粧品を変えて、スキンケアジプシーに陥ってしまうことも。基礎化粧品だけでなく、美容液やパック、オイルなど過剰なスキンケアで吹き出物や肌荒れが酷くなることもあります。
適度なスキンケアは肌を健康な状態に保ちますが、過剰なお手入れは逆に肌の機能を疲れさせてしまっているかもしれません。肌の状態が悪いとついついスキンケアをプラスしてしまいたくなりますが、一旦止めてしまうという選択肢もあります。そこで今回ご紹介するのが「肌断食」という方法です。
肌本来の機能を取り戻す「肌断食」とは?
最近のメイクアップアイテムは落ちにくい、崩れにくいといった機能が高まっている分、クレンジング剤でしっかり落とさなければなりません。シミや赤みなどが目立ちにくくなるようにカバー力の強いコンシーラーやファンデーションも同様です。肌に汚れが残らないように洗浄力が高いクレンジング剤を使用することは、肌本来の油分も洗い流してしまう可能性があります。そのため、化粧品や乳液といった基礎化粧品でしっかり保湿する必要があります。また、肌の潤いを高めるために美容液やパックといったものを使用することもあります。メイクを落とすためにクレンジングを行ない、そのクレンジングで失った潤いを保湿アイテムで保護するといったことを繰り返していくうちに、肌本来の機能が低下して肌に負担がかかって、トラブルを招くといった悪循環が起こってしまいます。
「肌断食」は、洗顔料やクレンジングを行なわずにぬるま湯で顔を洗い、化粧水や乳液といった基礎化粧品は使用しません。かさつきやつっぱりが気になる場合のみ、ワセリンを少量使用します。また、メイクについては洗顔料を使用せずに落ちるもののみを使用します。このように、カバー力の強いコスメや過剰なクレンジング、保湿ケアに頼らずに肌本来の機能を元に戻す方法が「肌断食」です。
「肌断食」のことがよくわかる書籍
「肌」の悩みがすべて消えるたった1つの方法
最新版 肌断食: スキンケア、やめました
著者:平野卿子
出版社:河出書房新社
価格:1,430円(税込)
クレンジングをやめたら肌がきれいになった
著書:北島寿
出版社:文藝春秋
価格:1,540円(税込)
「メイクをしないで人前には出られない!」という人には、クレンジング剤を使用しなくても石鹸だけでメイクを落とすことができる「石けんオフコスメ」をおすすめします。最近では「石けんオフコスメ」を扱うコスメブランドも多く登場し、注目されています。
肌がきれいになる石けんオフメイク
著書:石けんオフメイク研究会
出版社:文藝春秋
価格:1,540円(税込)
崩れにくいメイクと過剰なスキンケアは肌本来の機能を低下させる?
カバー力の高いファンデーションや落ちにくく崩れにくいマスカラなどのアイメイクをしっかり落とすには、強力なクレンジング剤が必要になります。更には洗顔料によるダブル洗顔によって皮脂が過剰に取れすぎてしまいます。洗顔のあとはつっぱり感や乾燥は、皮脂が取れすぎてしまったことによって引き起こります。
そのつっぱり感や乾燥を防ぐために、化粧水などの保湿剤で水分を補いますが、保湿もしすぎてしまうと肌を弱らせてしまうことがあります。肌が吸収できる水分量にも限度があり、過剰な保湿は肌本来が持つ潤い機能を低下させてしまいます。
化粧水で潤いを補ったあとは、その水分が蒸発しないように乳液やオイルなどでフタをして保護をします。しかし、乳液やオイルには油分が含まれており、たっぷり塗りすぎてしまうと肌に油分が残って酸化する場合があります。すると酸化した油分が肌を刺激して、吹き出物や肌の黒ずみといったトラブルを招きます。
このように、いつもルーティーンで行なっているスキンケアに頼りすぎないように必要最低限のケアだけを行なうのが「肌断食」です。
「肌断食」にチャレンジしてみよう!
完全な「肌断食」は、メイクアップやスキンケアを一切行なわない方法になります。しかし、仕事などで人前に出ることもありますし、外出時の日焼けなども気になる人にとって、ノーメイクでいるのはかなり抵抗があることでしょう。そこで、今回ご紹介するのは、最低限のコスメを使用しながら肌に極力負担をかけない「肌断食」の方法です。
洗顔はぬるま湯、または石けんを使用する
肌に一番負担をかけるのが、クレンジングや洗顔であるといわれています。カバー力の強いものや汗や涙で落ちにくい、崩れにくいメイクアイテムをしっかり落とすには、相当のクレンジングが必要になります。肌断食ではクレンジング剤や洗顔剤を一切使用しません。顔を洗うのは極力ぬるま湯のみとします。
メイクをする場合でも、専用のクレンジング剤やダブル洗顔をしなくても落とせるものを選ぶようにしましょう。石けんも化学物質を使用していない無添加のものをおすすめします。石けんはしっかり泡立てて、肌を擦りすぎないようにすることもポイントです。
「石けんオフメイク」を上手に取り入れる
洗顔方法がぬるま湯か石けんとなると「メイクができないのでは?」と思われる方もいるでしょう。そこで取り入れるのが「石けんで落ちるメイクアイテム」です。
紫外線吸収剤やシリコーン、合成ポリマーといったケミカルな成分はクレンジング剤を使わなければ落ちにくく、肌に残ったままだと肌荒れなどを引き起こします。石けんで落ちるメイクアイテムは天然由来の成分を使用しているため、ぬるま湯や石けんだけで肌に負担をかけることなく落とすことができます。最近では日焼け止めクリームやファンデーションだけでなく、発色のよいアイメイクやリップなどバリエーションもたくさんあるので「肌断食しているからメイクができない!」といった悩みに陥ることはありません。
乾燥が気になるときには「ワセリン」を使用する
クレンジング剤や洗顔剤を使用せずにぬるま湯だけで顔洗ったとしても、肌質によってはつっぱり感がある、口元などが乾燥する人もいるでしょう。肌断食を始めたばかりの頃は、洗顔後に何もつけないことに抵抗がある人もいると思います。肌断食をしているときに使用するスキンケアアイテムは「ワセリン」のみです。
「ワセリン」の原料は原油になります。原油を高い純度に生成してつくられたものをワセリンと呼びます。ワセリンそのものに肌を潤す、栄養を与えるといった効果はありませんが、肌を外部からの刺激から守ってくれる保護膜のような役割があります。
ワセリンにもいくつか種類がありますが、高純度で精製して不純物を取り除いた「白色ワセリン」がおすすめです。
容量:50g
価格:1,060円(税込)
ワセリンは少量でもよく伸びるので、指先に取ったら手のひらで一旦広げたあとに顔全体に薄く伸ばすように塗ります。先述した通り、ワセリンそのものには肌を潤す効果はないので、乾燥が気になる場合は化粧水をつけてからワセリンで保護するとよいでしょう。
「肌断食」の注意点
始めは外出しない休みの日にチャレンジして様子を見る
今まであらゆるスキンケアを使用していた、常にメイクをしている状態の人にとって「肌断食」はハードルが高いものになるでしょう。始めは、メイクをせずに室内でスッピンの状態でいられる日にチャレンジして様子を見ます。肌をお休みさせると同時に、睡眠や栄養をよく取るようにしましょう。徐々に肌断食をする日数を増やしていって肌を慣らしていきます。
外出時には石けんで落とせる日焼け止めアイテムを使用する
「肌断食」は肌本来の機能を高めるため、ターンオーバーを促す効果があるといわれています。とはいえ、スッピンのまま外出するのは肌のためにもよくありません。純度の高いワセリンは太陽光の影響を受けにくいともいわれていますが、紫外線を防ぐものではありません。夏の紫外線の強い時期や日焼けが気になる方は、石けんで落とせる日焼け止めアイテムを使用するようにしましょう。
乾燥や赤みなど肌に不調が起きた場合は中止する
「肌断食」を行なうと、稀に好転反応(状態が良くなる過程で起こる不調のこと)を起こる場合があります。乾燥がひどくなる、赤みや吹き出物が出るといった肌に不調が起きた場合は、無理せずに肌断食を中止しましょう。肌の状態がひどくなる前に専門医に相談するようにします。
「肌断食」でお肌のバランスをリセットしよう
心身の調子が悪いときは睡眠を十分に取る、栄養を十分に摂って内臓を休めるといった対処をするように、お肌も時々休めることが必要です。お肌にとってスキンケアは大事なことですが、やりすぎは禁物。お肌の調子が良ければ、機能性の高いメイクアイテムに頼ることも少なくなるでしょう。いつものお手入れに加えて「肌断食」を取り入れることで、お肌のバランスをリセットし、健康的な肌を目指しましょう。