もくじ
普段料理をしていて、もう捨てることが流れの一部となっている野菜のヘタや皮。
しかしこの野菜の皮やヘタなど本来捨てる部分から、おいしいスープができることをご存知ですか?
またその逆に、野菜や肉類をスープで煮込むことで旨みや栄養を閉じ込め、贅沢にスープのみを使う場合もあります。今回はそんな素材の旨みを利用した2つのスープと、それぞれがどんな料理に適しているかをご紹介します。
ベジブロスってどんなもの?
ベジブロスって聞いたことありますか?普段捨てていた野菜のヘタや皮・芯の部分を煮て作るスープ(出汁)のことです。
食材は丸ごと使えるのなら使いたいという人はいるのでしょうが、それまでの習慣として、人参や大根であれば皮を捨て、ヘタは取り、 芯の部分は硬いからと考える間もなく捨てています。
しかし、野菜の皮やヘタには栄養が集まっており、第7の栄養素として注目される「ファイトケミカル」が詰まっています。
このファイトケミカルは強い抗酸化作用を持っていることで知られます。
習慣として捨てることが当たり前になっていますが、化学調味料に頼らずおいしくて優しい味わいを感じられ、さらに身体にもとてもいいのであれば、捨てていた部分こそお宝となります。
野菜くずといってもさまざまで、一般的にアクの強い部分は苦味が多かったりと食べづらいものもありますが、自分で調節しながら作るのも楽しそうです。
ベジブロスをとることで得られるメリットとは?
ベジブロスをとることで得られるメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。
素材を無駄にしない
通常いつも捨てる部分を満遍なく利用するので、栄養的なことはもちろん、気持ち的にも満足感が生まれます。
普段口に入れているものに気をつける人であれば、有機野菜など安心できる素材を選んで購入しているでしょう。
普段の近くのスーパーで全部有機・無農薬を求めることはなかなか難しく、農薬が気になる人は多いですね。
しかし有機野菜が手軽に手に入る環境にいる人は、特にくずを無駄にせず利用してみましょう。
捨てる部分にこそ含まれる栄養と旨みを充分に感じられるでしょう。
栄養をしっかり吸収できる
ファイトケミカルはヘタや皮・種などに多く含まれており、それを弱火でじっくり煮込むことでその栄養素をスープにたっぷり引き出すことができます。
過食部分はにも栄養はありますが、調理の仕方によっては身体にしっかり行き渡らないということも多々あります。
食は人それぞれパターンや好みがあり、身体を作るものとして重視する人もいれば、快楽と捉える人もいます。快楽と健康が共存することもあります。
研究家でなければ、どの栄養素がどんな調理で失われるかはっきり分からないことが多いのではないでしょうか?
身体にいいとされているから食べたりしますが、調理方法次第では素材の持つ栄養をきちんと吸収できているか分かりません。
その点ベジブロスは、栄養のある部分を余すことなく吸収できるのが魅力です。
使う野菜ごとで味が変わるので、研究するのが楽しい
野菜といってもさまざまな種類があり、煮込むことでダイレクトにスープに味がうつるため、入れるものによって随分と味が変わるのがベジブロスです。
前述の通り、一般的にはアクの強い部分は苦味が強いので、たとえばゴーヤのくずやかぼちゃの種などはベジブロス初心者には向かないかもしれません。
ビーツなどは色が濃く、スープに色移りするので、ベジブロスを使うつもりのメニューを選びます。
しかし、今回はこの野菜のくずを使おう!とその都度試していればバリエーションは無限大で味の違いを楽しむことができます。
また、それ以外にも抗酸化作用をはじめ、美肌効果や便秘改善も期待できるようです。
ベジブロスはもちろんですが、後にご紹介するボーンブロスでも飲み続けることで便通が良くなったという声があります。
ベジブロスの作り方
それでは早速ベジブロスの作り方をご紹介します。
用意するもの
- さまざまな野菜のくず …両手いっぱい
- 酒 …少々
- 水 …1300~1400cc
この分量は1000ccのベジブロスを作るためのものです。1000ccに対して水が1300~1400ccと覚えてください。
作り方
- 鍋にすべての材料を入れて火にかける。火は弱火。
- アクが出ても取らない(ファイトケミカルが含まれるため)。
- 弱火で30分ほど煮込む。
- スープをこす。
工程は以上です。とても簡単ですね。
できあがったらそのまま冷まし、保存容器に入れて冷蔵庫で3日以内に使いましょう。使えなければ冷凍保存します。
基本の作り方は前述の通りですが、たとえば使う野菜くずの種類が少ないのであれば、粒胡椒やハーブ(ローリエやローズマリーなど)・出汁の出やすいものを一緒に煮込みます。
出汁の出るものとはたとえば、昆布や干し椎茸・干しエビなどです。
また、玉ねぎの皮は色合いが良くなるので、ぜひ入れて作りましょう。
ベジブロスはどんな料理に使える?
そのようにしてできたベジブロスはどのような料理に使えるのでしょうか。
おすすめの使い方
- リゾットやお粥の出汁として
- シンガポールチキンライスや炊き込みご飯の出汁として
- さまざまなスープや味噌汁のもととして
- ポトフやカレーなどの煮込み料理
- 煮物の出汁として
など、おおよそさまざまな料理に使うことができます。料理をする時に水分を足すものであれば使うことができるのが魅力。
また、ただベジブロスに梅干しや塩・味噌・しょうゆなどを足し、お茶(スープ)のように飲むこともできます。
ボーンブロス(鶏ガラ)の作り方
次にご紹介するのはボーンブロスです。ボーンブロスとは骨のスープという意味。
鶏や豚・牛の骨と野菜・ハーブなどを使って煮出すのですが、家庭で作りやすいのは鶏の手羽元(骨付き)を使ったボーンブロスでしょう。
前述のベジブロスは野菜だけの旨みですが、こちらは動物性食材のコクのある旨みが足され、食は人生の楽しみ・快楽として捉えている人にもおすすめです。
鶏の骨付き肉は手羽元が一番手軽ですが、もちろん丸鶏でもしっかり出汁はとれるでしょう。
しかし丸鶏を長時間煮込むのももったいないので、その場合は過食部分は適度な大きさに切り別で煮て、柔らかくなったらスープと合わせて食べましょう。
用意するもの
- 鶏の手羽元 …8~10本
- 水 …3000cc
- 人参(ざく切り・皮ごと…1本
- 玉ねぎ(茶色の皮部分も)…1個
- ミニトマト(ヘタも)…4個
- セロリ(ざく切り) …12センチほど(葉の部分も)
- クローブ …1個
- ローリエ(破って傷をつける)…1枚
- イタリアンパセリやハーブの茎…3本ぐらい
- 塩 …小1
作り方
- 野菜は適当な大きさにざく切りする。
- 大鍋に水・手羽元を入れて火にかけ、アクを取る。
- 塩・野菜類・ハーブ類を入れる。
- 再び沸いてから、40分ほど煮込む(弱火にせず、小さめの泡が出ているくらい)。
これは透き通ったスープになりますが、強火で長時間煮込むことで白濁したスープになります。
今回ご紹介したボーンブロスは一番簡単に作りやすい洋食メインに使えるものですが、ハーブ類や野菜を除き、かわりに昆布など食材を変えると和食をはじめとするさまざまな料理に使えますね。
丸鶏を丸ごといただく韓国のサムゲタンも、ボーンブロスの旨みと漢方の味わいそのものといえ、自然の素材そのものの優しく深い味わいでじんわりと温まります。
ボーンブロスはどんな料理に使える?
おすすめの使い方
- リゾット
- 煮込み料理
- 鍋料理
- シチューやカレー
- ミネストローネをはじめとするスープ
- ラーメン
特にリゾットやミネストローネなど、イタリア料理は本当に相性がよく、味わいが深く優しくなります。
ハーブ類と野菜類をのぞいて、手羽元と昆布だけで煮たものであれば、ラーメンやフォー・鶏鍋などにしてもとてもおいしいです。
丁寧にとったブロード・塩・オリーブオイルと素材の旨みが充分引き出されるので味付けはこれで充分です。
だしをとった後の鶏肉を美味しくおしゃれに調理!
基本的にじっくり煮込むことで栄養分も旨みもスープにうつるため、その後使わなくていいのですが、アレンジも可能です。
チキンときのこのマリネ
- ブロードに使った手羽元 …全部
- きのこ …手羽と同じくらいの量
- セロリ …1/3本
- 玉ねぎ …半分
- レモン汁 …小1~1.5
- ワインビネガー …大1.5~2
- オリーブオイル …大2~3
- 塩 …適宜
- 黒胡椒 …適宜
- パルメザンチーズ …好きな量
作り方
- 手羽元をさき、食べやすい大きさにする。柔らかい軟骨部分も細かくカットする。
- 好きなきのこをオリーブオイルで炒める。
- セロリと玉ねぎはみじん切りにする。
- オイル・レモン汁・ワインビネガー・塩を合わせる。
- 鶏肉と軟骨・野菜類・炒めたきのこ・4を混ぜ合わせ冷蔵庫で2時間ほど寝かせて馴染ませる。
- お皿に盛り付けたら胡椒とパルメザンチーズをふる。
市販のブイヨンを使う時もこうすればおいしさアップ
身体にいいことは分かっているけど今はそんな時間がない!そんな時は、市販のブイヨンに手を加えるだけでよりおいしいスープになります。
鍋に水を入れて固形・粉のブイヨンを溶かすだけでコンソメスープができあがりますが、そこに野菜くずを入れるとそれだけで深い味わいになります。
トマトを湯むきした皮を入れたりするとよりおいしく!
ブイヨンは手軽な調味料ですが、ちょっとひと手間加えるだけでできあがりが変わるのでおすすめです。
化学調味料を使わずに、身体に優しく深い味わいを楽しもう
さまざまな料理に活用できるスープ・出汁は、市販の固形/粉末のモトに頼るしかないと思っている人は多いかもしれません。
筆者は長い間そう思っていたのですが、インターネットなどで情報を得られる時代になった今、知らなかったこと・知って嬉しいことを日々の生活に落とし込めるのがいいなと思います。
実際に作ってみるととてもおいしいです。化学調味料は便利ですが、それよりも深く優しい味わいになるので、ぜひ一度お試しください。