もくじ
深刻なプラスチック汚染…
広い太平洋の真ん中に浮かぶ島「英国領ピトケルン諸島ヘンダーソン島」。この島は、最も近い都市でさえ5000キロ以上離れているほど、世界中のどの大陸からも遠く離れています。
【地図】ヘンダーソン島の位置
ヘンダーソン島は、人間活動とは縁がなく、5〜10年に1度、調査を理由に来る人のみが上陸を許されています。南太平洋に浮かぶ島・人間活動とは無縁と聞くと、自然豊かな美しい光景を思い浮かべるのではないでしょうか。
しかし現実には、この島には各国から流れ着いたゴミが海辺に散乱しているのです。島を覆うのは約3800万ものプラスチックゴミ。毎日3500以上のゴミが流れ着いていると言われています。
【動画】ゴミで溢れるヘンダーソン島の現状
なぜこんなにも、プラスチックゴミで溢れているのでしょうか。
それは毎年世界中では4億トンものプラスチックが生産されており、そのほとんどはゴミとして捨てられるためです。意図的に陸上で捨てられたり、海上で捨てられたり、さらに農業や漁業を行う過程では、不本意であってもゴミの排出者として大量のゴミを作ってしまい、海や土壌中にゴミを残してしまうのです。
プラスチック問題には、世界が注目しており、特に「海洋汚染」に関しては、国連や首脳会議でも大きく取り上げられています。研究者たちも、プラスチックの発生源や汚染による影響などを突き止めるべく研究を進めています。
スウェーデン発「Plogging(プロギング)」とは
深刻なゴミ問題を受けて、世界でも取り組みが施されてきています。そのなかでも、今回注目した活動が、スウェーデン誕生の「Plogging(プロギング)」。
Ploggingという名前は、Jogging(ジョギング)とplocka upp(スェーデン語の「ピックアップ」)から来ています。
いったいどんなことを行うのかというと、ゴミ袋を持ったランナーが、ランニング中またはウォーキング中にゴミを拾うという、なんとも一石二鳥なアクティビティ。捨てられているゴミを拾うことで、環境汚染を止めるだけでなく、スクワットの姿勢を取ることから、一般的なランニングよりもより激しく効果的なワークアウトが期待できます。
Ploggingを実行することのメリットを簡単に説明すると、自然の中でリラックスして運動できることに加えて、ランニングまたはウォーキングの途中でゴミを拾うことで気持ちもスッキリするところ。多くの場合、ゴミを見ると悲しい気持ちになったり、マイナスな感情が生まれたりします。さらに、ゴミを見つけたとしてもそのまま歩き続けるしかなく、その行為に対しても罪悪感などが発生します。ゴミを拾うことで、環境に良いことをしたという感情が生まれ、心も温かくなるというわけです。
Ploggingの始め方
Ploggingの良さは、実行するのに多くの準備が必要ないこと。費用をかけずに環境改善に向けた行動を取ることができ、自分の心にも良いPloggingにはメリットが多いと人気を高めています。
始め方は簡単です。
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Ploggingを行うことを妨げるのは「汚い」という感情でしょう。手袋を着用することや、捨てるはずであったリュックサックなどを利用してゴミ袋を運ぶなど、工夫しながら汚いという感情に打ち勝ってPloggingに参加しましょう!
Ploggingによる5つのメリット
1. 運動による健康効果
ランニングであってもウォーキングであっても、習慣的に体を動かすことは、病気のリスクを減らすこと、メンタルヘルスの向上、睡眠改善など、十分なメリットがあります。
2. 地域とのつながりを持つことができる
地域のゴミを拾うことで、地域に貢献しているという気持ちが生まれます。また、Ploggingを行うことで、普段はあまり関わることのない地域の人々に挨拶をしたり、会話をするなどのチャンスができます。
3. 探検する機会ができる
普段は見過ごしてしまう場所を探索するよい機会になります。私たちは普段から一息つく時間をあまり持つことがありません。Ploggingをすることで森林を歩く機会を得ることができ、自然と触れ合う時間を作ることができます。これは、良好なメンタルヘルスを維持するために重要です。
4. 動物たちを救う
ゴミを捨てることで動物たちがそれを食べ、最悪の場合死んでしまいます。動物たちは、ゴミなのか食べ物なのかを正確に判断することができません。ゴミを捨てない・捨てられたゴミを拾うといった行為は、多くの動物たちを救います。
5. 新しい視点で物事を見る
Ploggingに参加をすることで、どれだけゴミが道端に捨てられているのかを実感することができます。これらを知ることは、何かの活動の起点となる場合があります。
世界に広まるPlogging
スウェーデンで始まったPloggingですが、現在は世界中にPloggingの活動が広まっています。世界的なPloggingイベントも開かれており、各都市での活動がシェアされています。Facebook上では、Ploggingのコミュニティも作られており、拾ったゴミの写真を投稿して共有する姿も。
【写真】世界中にPlogging参加者がいます
【写真】集めたゴミをInstagramでシェアする姿も!
ソーシャルイノベーションジャパンが、日本初となるPloggingのイベントを開催したのを始めとして、Ploggingの活動が日本でも広まってきています。
「プロギングジャパン」と呼ばれる、日本でのプロギングコミュニティも設立され、ジョギングを楽しみながら環境に貢献する日本人が全国に増加中です!
Ploggingは、貢献で生まれる幸せを参加者に与える
私たちは、誰かの役に立ったり何かに貢献すると、自分でも思いがけないほどに嬉しい気持ちを味わっています。それにも関わらず、その気持ちを忘れがちです。1日にひとつ誰かの役に立つことや、貢献することで、あなたの体と脳は自主的に良い行動を起こすことができるようになり、やる気や自信につながります。
Carnegie Mellon大学の研究では、ボランティアを定期的に行った50歳以上の大人たちが、ボランティアをしていなかった被験者よりも、高血圧を発症する可能性が低いことを発見しました。高血圧は、心臓病、脳卒中、および早期死亡の原因となるため、健康にとって大変重要な指標です。さらにこの研究では、ボランティア活動に時間を使うことで、社会的つながりを感じることができるため、孤独やうつ病を防ぐ効果があることが明らかになっています。
貢献からメンタルヘルスを向上させるのに重要となってくるのが、「誰かに貢献したい」という気持ちです。自分のためにと考えるより、相手を助けてあげたいという気持ちが強くないと、メンタルヘルスに良好な効果が得られないこともわかっています。
Ploggingをする理由は、地球環境を保護するためと明確です!この気持ちがあれば、自然と私たちの心にも「貢献」することから生まれる幸せが広がるでしょう。
ランニングをして寄付!アプリ「Charity Miles」
ランニングから貢献する方法は他にもあるんです!
iOSとAndroidで利用可能なアプリ「Charity Miles」は、アプリを起動しながらランニングやウォーキング、サイクリングをすることで、寄付金を稼ぐことができます。
運動を始める前に支援したい慈善団体を選びます。慈善団体の例としては、自然環境保護団体である「WWF」や、女子が学校に行き、潜在能力を最大限に発揮できるように支援する「Malala Fund」など、の団体があります(2020年4月現在)。
自転車の場合は1マイル(約1.6キロ)で10セント(約13円)、ウォーキングとランニングは1マイルで25セント(約30円)をアプリの提携スポンサーから寄付してもらう仕組みになっています。スポンサーはあなたにお金を寄付する代わりに、アプリを開いている間に広告を提示します。つまりアプリユーザーは、広告料の代わりに、運動量分の寄付金を企業から無料でもらうことができるというわけです。
ページごとに、トータルマイルと稼いだ支援金が表示されます。
このアプリを利用して得られるメリットは、社会に貢献できているという感情を持つことももちろんですが、支援するチャリティー団体に関しての知識がつくことや、社会で起こっていることに対して敏感になれるというところです。
ランニングで稼いだお金を寄付する行動から、社会に大きな変化を与えたかどうかを目にすることは少々難しいですが、このアプリを通して社会貢献に興味を持つことで、別のボランティアに参加をすることを後押ししてくれたり、チャリティー団体を設立する可能性をつくってくれたりすることも。そんなきっかけを作ってくれるアプリなのです。
#ploggingをInstagramで検索してインスピレーションを!
「誰かが拾う」という考え方を捨てて、私たちから進んでゴミを拾うことで多くの動物や自然を助けることができます。ゴミを捨てないということはもちろん大前提!Instagramでは日々世界中の人がPloggingに関する写真を投稿しているので、みなさんもぜひ活動をチェックしてみてくださいね!彼ら/彼女たちと一緒にPloggingに挑戦してみましょう。