もくじ
いつかは挑戦したい憧れのポーズ「頭立ちのポーズ」
「頭立ちのポーズ」とは
上下が逆さまになる「頭立ちのポーズ」。上半身で身体を支えるこのポーズは、アーサナの王様(ヨガポーズの王様)とも呼べれています。様々な要素が必要になってくるアーサナで、普段の基礎的な練習を積み重ねて培われる要素が合わさり熟練させていくことで完成していくポーズです。つまり、日々の練習の先があってこそ完成するポーズということです。
効果・効能
様々な要素が合わさった「頭立ちのポーズ」には、様々な効果や効能が期待できます。
- 全身の血行促進
- 下半身のむくみ改善
- バランス感覚を養う
- 集中力を養う
- ストレス解消
- 上腕三頭筋強化
- 二の腕のシェイプアップ
- 前鋸筋強化
- バストアップ
- 姿勢改善
- 体幹の筋力を養う
- 顔のたるみ改善
- 内臓の活性化
禁忌
以下の症状がある方は、練習を控えましょう。また、初めてこのポーズに挑戦する場合や初心者の方は指導者のもとで適切なアドバイスをもらいながら練習して下さい。
- 首腰・肩・腰を怪我している方
- 高血圧の方
- 頭痛がある方
- 緑内障の方
- 網膜剥離の方
- 生理中の方
- 妊娠中の方
「頭立ちのポーズ」への道
ポーズのポイント
頭立ちのポーズのポイントとなるのが、「二の腕」、「肩周り」、「体幹」、「内転筋」。柔軟性よりも支える力が大切なため、身体が硬い人でも挑戦しやすいとも言えます。ベーシックなアーサナで、これらのポイントを強化していくことで頭立ちのポーズの完成形に近づくことができます。言い換えると、ポーズができないのはポイントがしっかりと準備できていないからとも言えます。
二の腕と肩周りで支える
頭立ちのポーズの最も大切なポイントと言っても良いほど、「二の腕」、そして「肩周り」は重要なポイント。頭はマットに少し触れるくらいの感覚で、肩周りで支えることを意識します。練習を始めたばかりの頃は、首に負担がかかりがちに。普段の練習から、二の腕、肩周りを鍛えるようにして、きちんと土台作りをしてから取り組むようにしましょう。
コアを使って脚を持ち上げる
頭立ちのポーズで脚を伸ばすには、足をけり上げて行うのではなく、少しずつつま先を顔に近づけながらお尻を持ち上げていきます。この時に必要な力が体幹(コア)をバランス良く使うこと。また、脚の内転筋(内腿)の力も重要になってきます。お腹周り、背中周りの筋肉を使いながら、内腿を引き締めながら脚を持ち上げていきます。
集中力
頭立ちのポーズでは、バランスを取りながら足をゆっくり持ち上げていく必要があるので、様々な部位を微細にコントロールしていく必要があります。コントロールするためには、自分の身体に意識を向けて集中。頭の真上まで脚が上がってからもポーズを安定させるために常に身体全体に意識を向ける必要が。少しでも気が緩んでしまうことで、ポーズは安定性をなくし倒れてしまいます。
恐怖心を突破する
「倒れるのが怖い。」初めてポーズに挑戦する方や初心者の方誰しもが、頭立ちのポーズに挑戦する際に感じることです。そんな気持ちは身体まで硬くしてしまいます。人は恐怖を感じた時や危険にさらされた時に自分の身を守るため無意識に反射機能を兼ね備えています。
頭立ちのポーズに挑戦する際に、「怖い…!」と感じると無意識に、胸が縮こまり、顎が引いてくる人が多くいます。
頭立ちのポーズは危険を伴うポーズでもあります。ポーズの理屈を理解するということはポーズが安全にできるということをまずは理解して下さい。また、安全性が確保された状態で練習すること、練習し始めの方は壁を利用した練習方法(後述する「初心者は壁を使った練習方法がおすすめ」を参照)で自信を積むようにするのがおすすめです。
準備ポーズ
「呼吸法」で集中力UP
ポーズの練習時には必ず呼吸法を用いて「集中力」を高めましょう。余計なことを考えない、自分の身体の細部までに意識を向けられる状態にすることで、未然に怪我を防ぐことができます。
「ウジャイ呼吸」は、ヨガのフロークラスによく用いられる力強い呼吸法。別名「波の呼吸」とも呼ばれています。吐く時に喉の奥の方で波のような音を出すことからこのように呼ばれています。寒い時に、自分の手の平を温めるため「はー」と息を吹きかけるように、ウジャイ呼吸では、そのまま口を閉じて音を出すイメージしてみると分かりやすいかもしれません。
ウジャイ呼吸には集中力を高める効果があると言われてます。緊張したり、身体がこわばることで、呼吸は止まりがちになるため、「はー」と大きめな音を出すように意識するのがおすすめ。
「ドルフィンポーズ」で腕と肩周りの強化
- 四つんばいの姿勢になります。前腕を床の上に置いて、肩が手首の真上、両膝が腰の真下にくるように。両手の平でマットを強く押し合わせて、前腕をマットへ押します。
- 足指を立てて、息を吐きながら両膝を床から持ち上げます。両膝を少し曲げて、最初は両かかとは床から離しておきます。尾てい骨を軽くたくし込んで、坐骨は天井の方へ向け反り腰に。両脚の内側を足首の内側から鼠蹊部(脚の付け根)まで引き上げて下さい。
- 前腕でマットに押し続け、肩甲骨を背中に押し広げます。
- できる人は、両膝をまっすぐ伸ばします。(背骨の上のほうが丸くなるようだったら、膝は伸ばさす曲げておきましょう。)
- 両腕、肩周り、コアを意識してポーズをホールド。
「門のポーズ」でコアを目覚めさせる
- 膝立ちになり、右脚を右へ伸ばし足を床へ。左膝は左腰の真下に、右かかとと左膝が同じライン上にあるようにします。骨盤をやや右へ。左腰が右腰よりも前になるようにするのがポイント。なおかつ胴体上部は左へ。膝頭が天井のほうへ向くように、右脚を外側に向けます。
- 息を吸いながら両腕を横に伸ばして広げ、床と平行な状態に。手の平は下向きにします。右脚の上に向けて上体を曲げて、右手をすね、足首、または右脚の外側の床に下ろします。胴体の右側面を縮ませ左側面を伸ばしていきます。尾てい骨をたくし込んで、コアを意識していきます。吸う息で、左腕を左耳の後ろへ伸ばします。
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息を吸いながら上体を起こし、胴体を垂直に。右膝を左膝の脇に戻し、反対側を繰り返します。
「フォーアームプランク」で上腕とコアから内転筋までを鍛える
- 四つんばいの姿勢になります。前腕を床の上に置いて、肩が手首の真上、両膝が腰の真下にくるように。両手の平でマットを強く押し合わせて、前腕をマットへ押します。
- 足を後ろに引いて、頭から足まで一直線になるように保ちます。
- 踵を後ろへ押し出しながら、上腕とコアそして、内転筋も意識してポーズを支えます。
- お尻の位置が下がり過ぎたり上がり過ぎたりしていないか注意して下さい。
「頭立ちのポーズ」にチャレンジ!
初心者は壁を使った方法がおすすめ
頭立ちのポーズを初めてチャレンジする場合は、指導者から適切なアドバイスをもらいながら挑戦して下さい。また、初心者の方が自宅で自主的に練習をする場合は壁を使った方法がおすすめ。ただし、壁を「支え」として使用するのではなく、壁を「補助」として使用するという意識を持って下さい。
- 壁に背中を向けて正座の姿勢で座ります。
- 膝から手のひら一個分の所で手を組み、後頭部を包み込むように当てます。
- お尻を持ち上げて、両足で壁を上がっていきます。
- 両足がお尻と同じ位置まできたら、肩周り、上腕でしっかりと身体を支えていることを確認して、両足を壁から離します。
- 脚を片腿ずつ胸に引き寄せます。
- コア、そして内転筋を使いながらゆっくりと脚を伸ばしあげていきます。
頭立ちのポーズ完成型
- 手を組み、後頭部を包み込みます。首がすくまないよう、肩を耳から遠ざけ、脚を片腿ずつ胸に引き寄せましょう。
- 腕の土台がしっかりとしていることを確認したら、両腿を内側に寄せながら脚をゆっくり伸ばしていきます。お腹周り、背中周り、そして内転筋を意識しながらするのがポイント。
クールダウンで肩や首周りをほぐす
頭立ちのポーズの後は、得に頑張ってくれた肩まわりの緊張をほぐすようにクールダウンのポーズを忘れずにしましょう。おすすめは「鋤のポーズ」です。
鋤のポーズ
- 仰向けになります。
- 下半身を持ち上げ、両手を腰にあててサポートしながら、ひざを曲げて額に近づけます。
- 息を吸いながら両足を伸ばしてつま先を床につけ、両手を組んで後ろに伸ばします。
コツコツ練習することが成功の鍵
「頭立ちのポーズ」に限らず、いくつもの要素が必要となる上級者のポーズは普段のベーシックなアーサナの練習が何よりも大切です。常日頃の練習をひとつひとつ丁寧にすることで、完成形に近づきます。是非、毎日の練習を続けて下さいね!