もくじ
情報過多・スマホ依存・現代の早いスピードなどに心も脳も疲れ気味な現代人。ストレスや精神バランス・ホルモンバランスの乱れなどで100%元気!なんていう日が少ない人も多いのでは…?
何か美しいもので疲れた脳や心身を癒したい…。そんな時に音楽を聴くという人も多いでしょう。
今回は低音で心身を優しく癒してくれるチェロの美しい音楽と、チェロをおすすめする理由をご紹介・解説します。
チェロってどんな楽器?
「チェロ」とはどんな楽器でしょうか。ヴァイオリンの方がよりメジャーでよく知られていますね。ヴァイオリンの音色といえば美しい高音で、聴いたことのある方は多いでしょう。
チェロはそのヴァイオリンの仲間でサイズをもっと大きくしたものです。ヴァイオリンのように顎に挟んで演奏するのではなく、椅子に座ってエンドピンといわれるピンを床に刺してバランスを取り、両足の間に挟むように置いて演奏するものです。
高音のヴァイオリン・中音域のヴィオラに続いて低音のチェロと音域が低くなるにつれ、楽器のサイズも大きくなります。
なぜチェロの音楽に癒されるのか?
人はその時の気分に応じてさまざまな音楽を楽しみますね。お気に入りのアーティストの音楽に浸ったり、シチュエーションや雰囲気を演出したり、楽しみたい時には気分の上がる音楽を選び、泣きたい時には感情を揺さぶる音楽を選びます。
では癒されたい時はどんな音楽を聴きますか?好きなアーティストの音楽であれば疲れた心が回復しますね。心身とともに脳が疲れた時、気分を変えるために音楽を選ぶことはよくありますが、その疲れにそのまま寄り添い、音とメロディの持つそのものの美しさから心身や脳の疲れを丸ごとヒーリングしてもらえることがあります。
イメージとしては、「辛い時にはこの曲を聴いて頑張ろう」というものではなく、ただ聴いていたら脳の疲れも気持ちの疲れも癒された…というものですね。
男性の声域と同じくらいの音域
ヴァイオリンの仲間の中では1番低音域のチェロは男性の声と同じくらいの音域といわれます。しかし低音ばかりで他楽器のサポートばかりというわけではなく、メロディ楽器として高音も美しく歌いあげます。
アナログの美しい音色と「1/f¹」のゆらぎ
脳が疲れきった時にはできるだけアナログのものに触れたいもの。「1/fのゆらぎ」というものを知っていますか?これは人間が心地よいと感じる波動で自然界にも私たちを取りまくものにあります。
この「1/fのゆらぎ」の中にも「1/fº・1/f¹・1/f²」の3種類があり、もっとも癒しをもたらすのが「1/f¹」というゆらぎ。「1/fº」は刺激が強いゆらぎで、激しい音楽や地震など。「1/f²」は単調なゆらぎで電子音や時計の秒針などです。
人間がリラックスしている時にはα波が出ますが、このα波がもっとも出るのが「1/f¹」です。
この「1/f¹のゆらぎは」、
- 般若心経
- 川のせせらぎ・波の音
- クラシック音楽
- 木の木目
- 小鳥のさえずり
- ろうそくの灯
- 心臓の鼓動
などにあります。脳や心身が疲れた時に優しく癒されるには、自然の音や、音楽であればクラシック音楽が効果的なのですね。お坊さんが唱える般若心経と同じ効果があるというのですから驚きです。
引用: https://www.health.ne.jp/library/detail?slug=hcl_3000_w3000566&doorSlug=st_buster
低音の癒し
アナログ楽器と演奏者の卓越した技術・音楽性と作曲家の残した楽曲だけで、長年ずっと人々を魅了し続けるクラシック音楽。
クラシック音楽にはさまざまなジャンルや楽器があります。ソロで弾く場合もあればピアノとメロディ楽器で弾くもの・2名~複数名で演奏する室内楽というジャンル・オーケストラで演奏するもの。
どの音楽もそれぞれ特徴があり、作曲家や楽器ごとの魅力も底知れない深い世界です。
チェロはオーケストラや室内楽などだと、他楽器のサポートをする場合もありますが、旋律楽器として主役となる楽曲には本当に情緒的で美しい作品が多く、またやはり低音から高音まで幅広く奏でられます。
疲れた時にはちょっと低めの音で柔らかく寄り添って欲しいもの。他楽器の音色やさまざまなジャンルの楽曲にもそれぞれの魅力は充分にありますが、チェロならではの音楽にはやはり暖かい毛布で包まれるような魅力があります。
癒されること必須。チェロのさまざまな音楽
それではチェロの魅力たっぷりの美しい名曲をご紹介します。ソナタなど複数楽章があるものは全楽章通して聴くのがおすすめですが、ここでは入門の方のために特におすすめの楽章を載せていきます。
ラフマニノフ:チェロソナタ・第3楽章
ロシアの作曲家、セルゲイ・ラフマニノフの「チェロとピアノのためのソナタ Op.19 ト短調」の第3楽章。
映画音楽のようなラフマニノフのチェロソナタの3楽章。ピアノとチェロのための室内楽曲で、終始穏やかなテンポのなか、チェロと波のようなピアノが息長く対話しながら進む様子は恋人同士の会話のようです。泣けるほど美しい曲ですよ。
他楽章とのコントラストも鮮やかです。
ショパン:チェロソナタ・第3楽章
ピアノの詩人ショパンの「チェロとピアノのためのソナタ Op.65 ト短調」の第3楽章。こちらも泣けるほど美しく、穏やかなテンポの中シンプルで美しいフレーズのメロディが繰り返され、ドラマティックに転調しながら進みます。
旋律を奏でるチェロとピアノが役割を交代し、時にチェロがベースを奏でる部分も。
シューベルト:アルペジオーネソナタ・第1楽章/第2楽章
「歌曲の王」といわれるオーストリアの作曲家、フランツ・シューベルトの「アルペジオーネソナタ D821 イ短調」。全3楽章から成り、全楽章通して聴くのがおすすめですが、特に冒頭が印象的な第1楽章・ただただ素直にシンプルに美しい穏やかな第2楽章はぜひ聴いてみてください。
この曲はもともと「アルペジオーネ」という楽器のための楽曲ですが、アルペジオーネ自体が衰退し、主にチェロ(またはヴィオラ)で演奏されています。
歌曲の王といわれるシューベルトならではの、「歌」を感じさせる叙情的な音楽。
ブラームス:チェロとピアノのためのソナタ No.2・第2楽章
ブラームスは2曲のチェロソナタを作曲し、両曲ともに名曲です。この「チェロとピアノのためのソナタ第2番 Op.99 ヘ長調」は4楽章からなり、こちらも全楽章通して聴くのがおすすめですが、特に第2楽章は終始穏やかなテンポの中、徐々に情熱的なドラマティックさを迎え、また徐々に落ち着いていきます。
1本の美しい映画を観たような感覚が持てるかもしれません。
J.S.バッハ:無伴奏チェロ組曲
これまでご紹介したのはピアノとのデュオ曲ですが、こちらはチェロ1本で演奏される楽曲。全6曲あり、1曲の中は6曲ずつで構成されます。
チェロ奏者なら必ず通る道というほど大事な楽曲で、全6曲に含まれる前奏曲・アルマンド以外は舞曲。さまざまな書籍やウェブ上に楽曲解説されているのでここでは割愛しますが、チェリストが生涯かけて取り組む名作です。
何番のどの曲がおすすめ、ということでなく、チェロ1本で奏でられる美しい音楽を丸ごと楽しんでみてください。
ベートーヴェン:チェロソナタNo.3・第1楽章
5曲あるベートーヴェンのチェロとピアノのためのソナタの第3番は特に演奏される機会の多い名曲。全楽章通して聴くのが良いですが、特に第1楽章の冒頭など印象的で、聴き終わった後に心がすっきりと軽くなります。
ドビュッシー:小組曲・No.3メヌエット
ドビュッシーがピアノ連弾のために作曲した小組曲(Petite Suit)。全4曲からなり、どれも短く軽いので聴きやすく、ふわっと情景が浮かぶようなメロディが印象的です。
4曲にはそれぞれ題名が付き、1・小舟にて/2・行列/3・メヌエット/4・バレエとふっと状況を思い浮かべられそうな感じが素敵です。
連弾曲として有名ですが、近年チェロとピアノ版が出て、こちらも大変雰囲気が柔らかく美しいためおすすめです。
全曲通しても12分ほどなので全部聴くのがおすすめですが、ここでは特に美しい第3曲のメヌエットをご紹介します。
ヤナーチェク:おとぎ話
チェコの作曲家・ヤナーチェクのおとぎ話は3曲の小品からなる組曲で、全体を通しても11分ほどの短さ。前述したドビュッシーはフランスの香りですが、こちらのヤナーチェクはチェコ(東部のモラビア)の雰囲気たっぷりで、こちらもまた独特な美しさが魅力です。
美しい音色を取り入れた生活を
今回は癒されるチェロの名曲を8選ご紹介しました。小品から室内楽・協奏曲までとにかく名曲の多いチェロの楽曲ですが、まずふっと心に寄り添ってくれるようなソロやピアノとのデュオ曲を中心にご紹介しました。疲れた時はぜひ聴いてみてください。