もくじ
糖質の働きとは
糖質はダイエットの大敵ではありますが、しかし身体にとってはある程度の量は必ず必要な成分です。
なぜなら糖質は身体を動かし、心臓を含めた内臓を働かせ、脳を活動させるための主要なエネルギー源だからです。したがって、必要量の糖質を摂取していないと、すぐ疲れるようになったり、脳の働きが衰えて集中力がなくなったり、ぼうっとしたり、最悪の場合は意識障害をもたらしたりするのです。
また糖質は食品の甘みの主成分という印象がありますが、それだけではなく食べ物の「おいしさ」そのものを実現している成分でもあります。ですから糖質0の食品を食べた場合、代わりに甘味となる成分を入れたり、調理方法を工夫したりしないと、非常にまずい食べ物になってしまいます。
糖類を摂りすぎた場合のデメリット
しかし一方で糖質を摂り過ぎた場合は以下のようなデメリットがあります。
糖類を摂りすぎた場合のデメリット
肥満
1つはまさに糖質はダイエットの大敵、という言葉の通り、糖質は肥満をもたらすという点です。
糖質が肥満の原因になる仕組みは2つはあります。
1つ目は糖質を摂りすぎると、血液中の糖分量、つまり血糖値が急激に上がるということです。
血糖値が急上昇するとそれを下げるためにインスリンが大量に分泌されます。しかしインスリンには同時に糖質を脂肪に変えて体内に蓄える働きもあるので、その結果肥満になってしまうのです。
2つ目は糖質の摂り過ぎが脂肪の燃焼を妨げるということです。
普段の人間のあらゆる生命活動のエネルギーは、体内の脂肪を燃焼させることで得られています。
しかし糖質は脂肪よりも速く燃焼するので、糖質が体内に大量にあると、脂肪を燃焼させる代わりに、糖質を燃焼させることだけで必要なエネルギーが足りてしまいます。すると体内にある脂肪が減らないだけではなく、食事でとった脂質がそのまま体内に蓄積され増えていくので、結果的に肥満になるのです。
虫歯
糖類は虫歯ももたらします。
なぜなら虫歯菌は、糖質の中でも特にショ糖という種類のものをエサに繁殖し、ネバネバした不溶性グルカンを作って歯の表面にこびりつき、歯を溶かすからです。
糖尿病による疾患
糖質を摂りすぎると血糖値が急激に上昇します。すると上でも挙げたように血糖値を下げようとインスリンが大量に分泌されますが、しかしそれでは足りずにインスリンさえ枯渇していきます。これが常態化すると糖尿病を発症します。
その結果血液中の糖質の影響で全身の血管や神経が傷つき、さまざまな臓器にトラブルが起きます。
その1つが三大合併症と言われるものです。それは、目の血管が詰まり視覚障害が発生し、最悪の場合失明することと、2つ目は腎臓炎が発症し体内に毒素が蓄積してしまうこと、そして3つ目は手足の感覚がマヒし、悪化するとその部位の切断が必要な壊疽(えそ)になることです。
また、脳梗塞や心筋梗塞も高い確率では発症し、さらにはガンや認知症の発病率も高くなると言われています。
身体にとって必要な糖質摂取量とは
以上のように摂りすぎると怖いのが糖質ですが、しかし身体にとって必要十分な糖質を摂らないことも、先ほど書いたように健康トラブルの原因になります。
ではどの程度の糖質が身体にとって必要かというと、一般的には1日に必要なカロリーの約60%です。
一般女性の1日の消費カロリーは約1,800 kcalですから、その60%は1,080kcalになります。糖質は1gは4kcalを生み出しますから、1,080kcalを糖質に換算すると270gです。これはご飯に直すと、お茶わんでだいたい4杯分です。
逆に言えばこの60%以上の量の糖質を摂ると、上で書いたように肥満をもたらすわけです。
糖質カットダイエットの基本
したがって、太らないようにするためには糖質を1日のカロリーの60%抑えることが重要です。さらに体重を減らす、つまりダイエットをするためには、糖質を摂る量をそれよりも低くしていく必要があります。これが糖質カットダイエットです。
でも炭水化物が大好き!
しかしこの記事をお読みの方の中には、炭水化物が大好きという人も多いでしょう。特にお米、麺類、パンなどは女性の大好きな食品です。その場合、どのように糖質カットダイエットをすればよいのでしょうか。
糖質カットダイエットの糖質の摂取量の目安は、およそ通常の50%にするということです。したがって一般的な女性の例でいえば、糖質を130g前後にするということです。逆に言えばその量までは炭水化物を摂ってもよいのです。
しかし単にご飯の量を半分にすると、お腹が満たされず、日常生活に支障をきたします。ではどうしたらよいのかと言えば、糖質が少ない炭水化物に普段のご飯を置き換えていけばよいのです。
普段の炭水化物を糖質オフのものに変更
それは具体的に言えば以下のような食品にしていくということです。
お米→玄米、発芽玄米、こんにゃく米など
まず普段食べているお米を、玄米や発芽玄米、あるいはこんにゃく米に置き換えたり、お米の中にそれらを混ぜて炊くようにしましょう。
それによって糖質量はどの程度減るのかというと、以下の通りです。
まずお米はお茶わん1杯で、糖質55.2gを含みます。これを玄米に置き換えると53.9gと、1.39g減ります。
1日のトータルで糖質を130gにするということは、逆に減らす量も130gにするということです。したがって、1日にご飯を4膳食べるとしたら、お米を玄米に代えることでその130gのうち5.2をg減らせることになります。
さらに発芽玄米は51.9gなので、3.3g減ります。これもお米に置き換えれば、1日に糖質を13.2g減らせます。
しかし以上の数字で分かるように、玄米や発芽玄米は糖質は減らせますが、それだけではなかなか130g減に足りません。そういう場合は、こんにゃく米を利用しましょう。こんにゃく米の糖質量は10.0gですから、1日で180.1g減と、これだけでダイエットが実現できます。
ただしこんにゃく米だけで食べると食感があまり良くないので、そういう場合はお米とこんにゃく米を半々に混ぜて炊きましょう。それによって1膳の糖質量は32.6gになりますから、1日4膳で130.4gとこれでもダイエットの目標値は達成できます。
パン→ふすまパン、大豆パンなど
またお米よりもパンが好きで、パン食中心の食事にしている人も多いでしょう。その場合はどうしたらダイエットできるのでしょうか。
パンの糖質は食パン1枚で26.8gあります。これをたとえば、ふすまパンに置き換えてみましょう。
ふすまパンと言ってもイメージわかないかもしれませんが、これには2つ種類があります。
1つはパンの原料である小麦粉を皮がついたまま挽いて作る、いわゆる全粒粉パンです。これは1枚あたり糖質25.5gなので、1枚を置き換えれば1.3g減らせます。1日に6枚食べているとしたら、すべてを全粒粉パンにすることで7.8g糖質を減らせます。
これでは目標の130gにはなかなか届きませんが、しかし全粒粉パンは血糖値を急激には上げないので、脂肪を体内に蓄積する率は低くなります。したがって、糖質カットと、血糖値を上げないことのの相乗効果で、ダイエットが可能になります。
またもう1つのふすまパンは、小麦粉や砂糖を一切使わず、小麦の皮であるふすまの粉を中心に作ったものです。これは糖質が5g前後なので、通常のパンに比べれば糖質摂取量が23.5gマイナスと激減します。1日6枚の全てをこれに置き換えれば、141gの糖質カットに成功します。
あるいはなかなか市販されていませんが、大豆パンを自分で作ってこれに置き換えてもよいでしょう。一般的な大豆パンの糖質量は約8gなので、これでも1枚17.5g減、1日で105g減になります。
大豆パンは、大豆粉、卵、ベーキングパウダー、豆乳などを適量混ぜて、炊飯器やパン焼き機で焼けば簡単にできます。
ラーメン、うどん、パスタ→こんにゃく麺、大豆麺など
またお米やパン以上に多いのは、麺好きの人たちでしょう。麺好きと言っても、パスタが好きな人や、うどんが好きな人、あるいはラーメンが好きな人まで様々です。
しかしこれらの1食あたりの糖質量はパスタ55.6g、うどん52.0g、ラーメン69.7gとお米1膳並みか、あるいはそれ以上あります。これらをどう糖質カットすればよいのでしょうか。
1つは「こんにゃく麺」を食べて麺類への食欲を満たすことです。こんにゃく麺は市販されていますが、中には糖質0gというものもあるので、それを選べばパスタに対して55.6g、うどんに対して52.0g、ラーメンに対して69.7gの糖質カットが実現できます。
1日3食麺類という人はいないでしょうが、ランチを麺類にしているのであれば、たとえばラーメンをこんにゃく麺に代えるだけで、必要な糖質カット量の約50%は達成できます。あとは朝と夜の糖質カットでダイエットに成功できるでしょう。
また「大豆麺」という選択肢もあります。大豆麺も市販されていますが、どの商品も1食分の糖質は1g程度とほぼ0です。ですからこんにゃく麺と同様に、1食の麺類を大豆麺に代えるだけで、1日に必要な糖質カット量の50%は達成できるのです。
食事習慣の改善でもダイエット効果がアップ
また以上の糖質カットに食事習慣の改善を加えれば、さらにダイエット効果がアップします。具体的には以下のような点に気をつけましょう。
咀嚼の回数を増やす
主食を歯ごたえのある食材にすると、それをよく噛まざるを得なくなり、その結果ゆっくり食べられます。すると急激な血糖値の上昇を抑えることができるので、糖質が脂肪になって体内に蓄積されることを防ぐことにつながります。
ですから、ご飯であれば硬めに炊き、パスタも硬めのアルデンテにしましょう。パンの場合も食パンではなく、硬いフランパンがベストです。
まず野菜で満腹感を得るようにする
ダイエットの天敵は脂肪だけではなく、そもそもの空腹感です。したがってその空腹感を何らかの方法で満たしてあげれば、糖質を摂らなくても我慢できるようになります。
そのためには、食事の際にはまずサラダなどの野菜を食べ、主食は後に回しましょう。野菜によって満腹になるので、全体の食事量も減らせ、糖質もカットできます。さらに野菜の食物繊維が代謝が活性化させるので、痩せやすい体質になります。
主食以外の糖質を多い食物を避ける
お米などの主食を糖質の少ないものに置き換えても、それ以外の食品で糖質を摂っていたら、糖質カットになりません。
ですから主食以外の糖質の多い食品も避けましょう。たとえば、ニンジン、かぼちゃ、トマト、イモ類、とうもろこし、ナス、たまねぎなどの野菜が該当します。あるいは牛乳、ソーセージ、ちくわなどの練り物、きなこ、コーンフレークなどの食品や、ドレッシングなども避けましょう。
まとめ
いかがでしょうか。
糖質は全く摂らないと返って身体に害を及ぼしますが、しかし必要十分量以上に摂れば、肥満だけではなくさまざまな疾患をもたらします。
ですから以上で解説したように、普段食べている炭水化物をほかの食品に置き換えて、上手に糖質カットを行いましょう。そうすれば特に苦労をしなくても、驚くほどダイエットに成功するはずです。
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