ヨガでは呼吸がとても大事!
ヨガで【プラーナヤーマ】といわれる呼吸法。プラーナヤーマのプラーナとは「生命エネルギー」「生命力」、ヤーマは「運ぶ」という意味があり、呼吸により生命エネルギーを循環させ、満たすという方法です。ヨガの基本とされ、呼吸を正しく行うことによって心身を整え、各機能を向上する効果があるといわれています。これにアーサナ(ポーズ)を通して、呼吸と動きを連動させるのがヨガであり、呼吸を正しく行うことによりアーサナの効果も発揮されます。
またひとくちに呼吸といってもヨガには様々な種類の呼吸法がありますが、多く用いられているのは鼻とお腹を使う、鼻呼吸と腹式呼吸が基本となります。
ヨガで用いられる鼻呼吸って?
鼻呼吸とは、名前の通り鼻で呼吸をする方法です。鼻から息を吸い、鼻から長く息を吐きます。【鼻呼吸健康法】という言葉があるように、鼻呼吸をすることで様々なメリットがあります。鼻から息を吸う時に身体を活動的にする交感神経と、鼻から息を吐く時に身体をリラックスさせる副交感神経が共に活性化し、よって自律神経が整います。また空気中の埃やウィルスなどを鼻毛や粘膜がフィルター代わりとなり、体内に入り込まないようにする働きをし、病気を防ぎ、免疫力が上がるとされています。
鼻呼吸といっても私達は常に左右どちらかで呼吸をしています。一定時間で右と左を切り替えバランスをとっていますが、これを意図的に左右の呼吸を調整し、心身のバランスを整える方法を【片鼻呼吸法】と呼びます。
普段何気なく呼吸をしていると思いますが、よく観察してみると自分の心身の状態が分かります。右と左の鼻のどちらかの通りが良いのか見てみると、右の鼻の通りが良いときは活動的な交感神経が働き、左の鼻の通りが良いときはリラックスの副交感神経が働いていると考えられます。鼻のつまりがあるなどで鼻呼吸ができないとき、通りが良くないときはなにかしら身体に不調があると考えられるので、呼吸を意識的に整え、不調を改善することもできます。
左右の鼻呼吸をバランス良く行うことで心身のバランスを整えることができ、これを目的にヨガでは用いられています。
鼻呼吸の効果
- 自律神経を整える
- 病気の予防(埃やウィルスの侵入を防ぐ)
- 肺への負担を軽くする(吸った空気を暖める効果)
- 脳の働きを良くする(脳へ酸素を送る働き)
- リラックス効果
- 口臭改善・予防(抗菌作用のある唾液を保つ)
- 虫歯や歯周病の予防(唾液の蒸発を防ぐ)
- 免疫力アップ(ウィルスなどの侵入を防ぐ)
- 冷え性の改善・予防
- 小顔効果(姿勢や舌の位置を改善)
- 美肌効果(水分の蒸発を防ぎ、肌が保湿される)
- 安眠効果(たくさんの酸素を取り込むことで熟睡効果)
- 疲労回復効果
- ダイエット効果(代謝アップのため)
- デトックス効果
鼻呼吸の方法
では鼻呼吸法を練習してみましょう。鼻で行い長くゆっくりと行うことがポイントです。
1・右手人差し指で眉間を押さえます。
2・右手親指で右の鼻を押さえ、鼻の穴をふさぎます。左の鼻は薬指をそっと添えます。
3・開いている左の鼻からゆっくりと、息を吐き切ります。
4・息を吐き切ったら、そのまま左の穴から息を吸い、吸ったら薬指で左の鼻を押さえ、鼻の穴をふさぎます。
5・親指を緩め、右の鼻を開き、ゆっくりと息を吐き切ります。
6・息を吐き切ったら、そのまま右の穴から息を吸い、吸ったら親指で右の鼻を押さえ、鼻の穴をふさぎます。
これを交互に行って練習します。呼吸は深く、吐くときは吐き切り、吸うときは吸い切りましょう。ちなみに左手でもできるので、やりやすい方で行って下さい。
慣れたら日常にも取り入れたい
上記で述べたように、呼吸を鼻呼吸にすることで様々な効果やメリットがあります。鼻呼吸法は気づいた時にいつでもできるので、ぜひ日常的にも鼻呼吸を取り入れることをおすすめします。
慣れるまでは、気づいた時には口で呼吸をしていることも多いと思います。そんな時に鼻呼吸に切り替えるようにし、意識を向けると慣れていき、自分の呼吸が心地よく感じられたり、どんどん変わっていく心身の変化にも気づけるようになるので、ぜひコントロールするようにしましょう。
鼻呼吸は気がついたときはもちろん、朝起きたときやリフレッシュしたい時、寝る前などに行うのもおすすめです。一呼吸つくことができ、心地よく感じられます。
また人間は鼻だけでなく口呼吸もできるようになっており、口呼吸にもメリットはあります。一度に大きく息を吸いたい時などは有効だったり、リフレッシュ効果があるためヨガの準備段階に用いられることもあります。ですが日常化してしまうと、口から埃やウィルスなどが入りやすくなる、殺菌成分のある唾液が蒸発してしまい口臭や歯周病等の原因になったり、口から体内の水分が失われ乾燥肌や肌トラブルを招く、などと様々なトラブルが生じてしまう恐れがあるので、ヨガの最中以外にも、日常的にも鼻呼吸をするように心がけましょう。
まとめ
生きる基本である呼吸。呼吸が整えば自分自身も、生活自体も前向きに健康的になり、より生きやすくなり、ただ呼吸するのではなく意識してコントロールすることで呼吸の質が上がり、心身の健康をもたらすことが分かりました。
ヨガで目的とされている心身のバランスを整えるというのは、呼吸を整えること。呼吸を整えるということは生きるための基本を整える、ということなのではと考えられます。ヨガは一生付き合っていくような深さがあるといわれますが、生きることを根源としたツールだからではないでしょうか。はるか昔から、長い間受け継がれている理由もそこにあるような気がします。
ヨガを通して、心身を見つめて自分を知り、前向きに人生を送っていきたいですね。