前屈ポーズの効果
ここでは立位の前屈ポーズについて説明します。(→座位の前屈については別項参照。)サンスクリット語で「ウッタナーサナ」と呼ばれ、太陽礼拝を行う時の一連の流れのなかに登場する馴染み深いポーズです。その効果は以下の通りです。
- 背中を引き締める
- 目の疲れを緩和する
- 気持ちのリラックス
- 太ももとふくらはぎのストレッチ
シンプルなポーズですが、身体への効果は非常に高いものです。ただし、きちんと行わないと腰などを痛めてしまうこともあります。呼吸を意識しながら丁寧にトライしてみましょう。
やり方
STEP1 落ち着いて、安定した床の上に立ちます。山のポーズ(タダーサナ)の姿勢から、両手を腰に添えて準備しましょう。親指の付け根・小指の付け根・かかとの三点で床を押します。
STEP2 息を吸って背筋を上へと引き上げて伸ばし、吐きながら上半身を前へと倒していきます。この時に、身体を腰から曲げるのではなく、脚の付け根(股関節)から前へと倒していくようにしましょう。
前屈し始めたら、頭が前に引っ張られているようなイメージで行うと背骨も伸びやすくなると思います。身体の前側をつぶさないように長く使っていきます。
STEP3 背筋が伸びた状態を保ちつつ、穏やかに前屈していきます。背中が丸まってしまう方は膝を曲げて行っても大丈夫です。両脚は大地に根付かせます。頭や首のまわりは力が入りやすくなるので、ゆるやかにリラックスさせましょう。
STEP4 上半身と脚が準備できたら、腰から手を離して、脚の膝以外のところに軽くそえるか、そのまま床に手を置きます。両手は両足の少し前か両足の脇に置きましょう。深い前屈ポーズに入ります。
STEP5 起き上がってくる準備をします。両手を腰に戻し、息を吸いながら、前屈してきた時と同じように、背筋を伸ばしながらゆっくりと起き上がってきましょう。腰の力だけに頼らず、お腹の力も使って上半身を戻していきます。
最初の姿勢に戻ったら腕を腰から離して解放し、身体の横に戻します。最後は山のポーズで終わりを観察しましょう。
効果を感じるヒント
ポーズを行う時には吸う・吐くの呼吸のタイミングを合わせると、より深まりを感じます。STEP4の状態になったら、その状態で三呼吸してみましょう。ひと息毎に身体が深まっていくことでしょう。
前屈の時は、身体の裏側にある背筋が伸びていること、太ももの裏側のハムストリングが伸びていることが身体へのアプローチになります。 身体を無理に折り畳もうとして背中が丸まったりしないように気をつけましょう。
また、お尻のしっぽ、座骨を天井方向に向けるイメージで行うと、太ももの裏側の筋肉であるハムストリングの伸びを感じられるようになると思います。横から見たときにかかとの上にお尻がくるのが理想的です。
私たちは普段の生活で、直立して行動することが多い動物です。これは頭が上にある状態になります。前屈によって、自分の後ろ側・背中の広がりを感じ、頭を下方に下げることで気持ちの良い解放感を感じられるようになると思います。
注意すること
先にも述べましたが、腰から身体を曲げていくと腰を痛める原因になります。必ずお腹の筋肉を使って自身の身体を支えながら、股関節から前屈して、戻ってくるようにします。
少しきついなと感じる方は、両脚を腰幅くらいに開いてトライしてみます。下半身が安定すると共に、前屈の角度も少し深まるかもしれません。STEP4で脚に手をおいても不安な方は、床の上にヨガブロック(あるいはぐらつかない安定した物、例えば椅子や低い棚を使ったり本等を何冊か積み上げて)を置いて、その上に手を置くのもOKです。(身の回りにあるものを活用しましょう!)
もしくは「半分の前屈(アルダ・ウッタナーサナ)」を行います。
座骨神経痛をお持ちの方、椎間板に疾患がある方はこのポーズは避けましょう。同じく、身体に不自然な痛みを感じる方もポーズはお休みしましょう。
最後に
いかがでしたか?身体を前屈していくには、柔軟性ももちろん大切です。しかし、勢いを使って無理に身体を折り曲げるよりも、自分の身体のひとつひとつの部分を意識しながら、丁寧にポーズをしていくことのほうがより重要です。焦らずに、ぜひチャレンジしてみてくださいね。